呪里
2025-06-04 19:17:40
3658文字
Public Code_Abyss 本編
 

episode:3 第一幕 〈久しぶりに一緒に〉



 「二人とも、忘れ物は無いね?」

 「うん!大丈夫!」

 「俺も、憐を待ってる間に確認したので大丈夫です」

 玄関先で、憐と狂牙は学校に向かおうと歩道に立っていた。

 「じゃあいいや。あ、そうだ狂ちゃん」

 「?はい」

 「知ってると思うけど、今日アイツ帰ってくるらしいから。近いうちに狂ちゃんの顔見に来るんじゃないかな」

 「あぁ……兄貴ですか。朝一で俺の所にメールが届いてましたよ。」

 「そっか」

 「吠舞羅ちゃん帰ってくるの楽しみだねぇ、狂ちゃん!」

 憐から満面の笑みを向けられ、狂牙は思わず息を飲んだ。

 「あ、あぁ……そうだな」

 再び頬が赤くなるのを見られたくないのか、狂牙は憐から少し顔をそむけた。

 「?どうしたの、狂ちゃん」

 「い、いやなんでもない。大丈夫」

 「ほんとぉ?」

 狂牙と憐のやり取りを見ていた呪里は、二人の微笑ましい光景にふっと息を零した。

 「二人とも、そろそろ行かないと遅刻しちゃうぞ」

 二人は呪里の言葉にハッとなり各々のスマホで時間を確認すると、これ以上とどまっていると本当に遅刻してしまいそうな時間になっていた。

 「うえっ?!もうこんな時間?!」

 「まっずい!走るぞ、憐!」

 「う、うん!行ってくるね、お姉ちゃん!」

 「はーい、いってらっしゃーい」

 急いで学校へ向かい走り出す二人の背に、呪里は右手を振った。

 (皆勤費、のがすんじゃないぞーっと)

 二人が完全に見えなくなった事を確認して、呪里は家の中に入った。

 (さて………と)

 時計を見ながら、今日やるべき事を考える。

 最重要事項は夜のバーでの待ち合わせ。

 それまでの空いた時間は組織に顔をだして、暇を潰すとしようか。

 だがその前に

 「皿洗いと部屋の掃除……かな」

 呪里は残った家事を片付けるため、袖をまくりキッチンへと向かっていった。