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呪里
2025-06-04 19:17:40
3658文字
Public
Code_Abyss 本編
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episode:3 第一幕 〈久しぶりに一緒に〉
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五分後
《ピンポーン》
誰かがチャイムを鳴らす音が聞こえた。
「はーい」
憐より少し遅れて食事を終えた呪里が、音に気付いて玄関に向かった。
ドアに付いている曇りガラスの向こう側には、背の高い男が
薄
うっす
らと見えていた。
(いつも通り、時間ピッタリだな)
そう思いながら、呪里はドアを開ける。
そこには、見慣れた制服を着た青年が立っていた。
「おはようございます。
姐
ねえ
さん」
「うん。おはよう、狂ちゃん」
青年の名前は
狂牙
きょうが
。
旧友の一人、吠舞羅の年の離れた弟で、呪里達姉妹とは同い年。
父親と二人で暮らしていて、家が近いからと毎日憐を迎えに来てくれている。
「あとちょっと用意に時間がかかるから、中にいて待ってな?」
「あっはい。わかりました」
狂牙をリビングに連れていくと、呪里は冷蔵庫から麦茶を取り出し、コップに注いで狂牙に渡した。
「ありがとうございます。姐さん」
「んー?ただ待つだけじゃあれかなって。気にしないで」
――――――――――――――――――――
「
…
しっかし、本当に狂ちゃんは偉いね」
「えっ、偉い
………
ですか?」
自身の反対側に座る呪里から思わぬ発言をされ、狂牙は少し困ったような表情になった。
「うん。だって、毎日ピッタリ同じ時間に一緒に学校行くために迎えに来てくれてるでしょ?偉すぎると思う」
狂牙は面と向かってそう言われると、むず痒くなったのか、少し眉を下げて小さく笑った。
「別に偉くなんてないですよ。俺がやりたくてやってる事なんで」
「そう?」
答え方がよかったのか、呪里は狂牙の言葉に笑みを零した。
呪里がコップを片付けにキッチンに向かうと、狂牙は頬を赤く染め、顔を両腕で
覆
おお
った状態で突っ伏してしまった。
(あ
…
あっぶねぇ〜!アイツの実の姉の姐さんに言える訳ねぇじゃんかよ!!)
隠れているので狂牙本人や呪里にも分からないが、少しずつ耳まで赤くなっている。
(憐と少しでも一緒にいる時間が欲しくて迎えに来てますなんて言えるかよ!!)
思春期真っ只中の狂牙は、女子と二人で歩く所を見られたくないのだが、通学路にある大通りに行くまでは同じ学校の生徒がほとんどいない。
そして、迎えに来る時刻から学校へ行けば、途中で会う人が少ない状態で大通りまで向かう事が出来る。
そのため狂牙は毎日決まった時間にやって来るのだ。
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