呪里
2025-05-01 23:05:25
4341文字
Public Code_Abyss 本編
 

episode:2 第三幕 〈掟〉



 「「私が悪いんです」」

 二人が同時に答えた。

 柩は一瞬驚いたような表情になったが、咳払いをしてすぐに先程のような少し怒ったような顔つきになった。

 「そう。私はどっちもどっちだと今の段階では思うのだけど、事の経緯を説明してもらってもいいかしら」

 二人は、今回の喧嘩の経緯を歯切れが悪いながらも語りだした。











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 事の発端はゼロ達が状況を知る三十分程前。

 二人を含めた仮所属の構成員達が、訓練場にて模擬戦をしていた時のこと。

 今いる者達の中で、誰が一番強いのかという話題になり、各々でペアを組み一対一で戦ったそうだ。

 その際のドーラとラディーの戦闘時に、互いに負けたくないという闘争心が芽生え、周りのことはお構い無しに暴れてしまい、穴まみれの訓練場にしてしまったのだという。

 柩は全てを黙って聞いていたが、途中から一つの疑問が頭の中にあった。

 (ざっくりと内容は理解したけど、ボスが一発殴るようなレベルじゃあないわね?どうしてボスはあんなに怒っているのかしら

 「柩」

 いつの間に背後にいたのだろうか、柩はゼロに声をかけられた。

 「あ、あらあらボス。急に後ろに来られたらびっくりしちゃうわぁ」

 「ごめん。そこまで驚くとは思ってなかった」

 「それで、どうしたの?」

 柩が問いかけると、ゼロはじっと二人を見つめて答えた。

 「………私は別にさ、ここを滅茶苦茶にした事は怒ってないよ。いくらでも直せるからね。問題はその後だよ」

 「その後って?」

 ゼロは二人の前にしゃがみ込んだ。

 「ねぇ、さっき私に殴られる前になんて言った?」

 「え

 「えっと……

 二人はゼロから目をそむけた。

 が、しかし

 「言え。なんて言った」

 ゼロからの鋭い視線に耐えられず、小さく呟くように答えた。

 「ラディーのこと草食動物の分際でって言いました

 「私も滅びかけの害悪龍のクセにって言いました

 その瞬間、その場にいた三人の幹部たちの表情がこわばった。

 「あ、貴女達!なんてこと言うの!!」

 柩の怒鳴り声が部屋中に響き渡った。

 二人はビクッとなり、縮こまった。

 他の構成員達も、普段は見ることのない柩の怒り様に怯えている。

 「柩、どうどう。頭ごなしに怒鳴っちゃダメ」

 ゼロは柩の右腕を少し引っ張り、落ち着かせようと気を引いた。

 「………ごめんなさい。ボス」

 「うん。ねぇ二人とも、どうして柩がこんなに怒っているのか、分かる?」

 二人は再び黙り込んでしまった。

 ゼロは先程のような鋭い視線とは違う、諭すような瞳で二人を見つめた。

 「「………掟を、破ってしまったからです」」

 「そうだね。貴女達はやってはいけないことをした」