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呪里
2025-03-10 21:40:56
4141文字
Public
Code_Abyss 小話
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〈何歳になっても怖いから〉
呪里と類の二人が遊園地に行った時の小話です。
1
2
3
『
……………
ねぇボス?』
「ん?なに?」
『ここ
………
もしかして
………
』
二人が訪れた場所は、先程までいた華やかな場所とは正反対の雰囲気の場所だ。
全体的に暗く、草木が
生い茂り
お しげ
、どこからかカラスの鳴き声も聞こえてくる。
目の前に見える大きな大きな日本家屋のような屋敷はどこを見てもボロボロで、窓の一部には血のようなものが付着しているのが見える。
あんなに笑顔だった類の顔はみるみる青ざめていき、呪里の手を握る力が少しばかり強くなったように感じた。
今目の前にあるものが《アレ》とは信じたくなく、呪里から違うという否定の言葉が欲しくなりじっと呪里を見つめて訴えかけてみた。
「
………
うん」
呪里顔を上げて類の目をじっと見た。
「ごめん類。ここお化け屋敷」
『
……………………………………
』
『嫌だあああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』
類は大声で泣き始めた。
「ちょ、ちょっと類落ち着いて」
『落ち着けないよぉ!ボスも知ってるでしょ?!僕怖いの大っ嫌いなんだよーー!!!』
類の目からボロボロと大粒の涙がこぼれだした。
そう、呪里が類に優先券を渡さなかった理由はこれ。
類はお化け・心霊系に弱いのだ。
呪里も知ったのはつい最近の事で、幹部の子達とたまたま放送していた心霊番組を見ていた際に、子供でも嘘だと分かるような内容に類一人だけがぶるぶると震えてソファーの後ろに隠れてしまっていた。
類が帰ってくる前に券を確認した際、別の人に譲ろうかと考えたが、ちょっと面白そうという好奇心に抗えず結局来てしまった。
『こうなるんだったら先にサイトとかCMとか見ておくんだったーー!!やぁぁぁぁ!!』
「事前確認せずに成り行きで行こうなんてするんじゃなかったね」
『ボスはボスでどうしてそんなに落ち着いてるの?!怖くないの?!』
「私?」
類程ではないが呪里もホラー系は得意ではないはずだが、あまりに落ち着きすぎている。
「いや
…
だって目の前でこんなに怖がってるのがいたら逆に冷静になっちゃうよ」
呪里は苦笑いして答えた。
『うえぇん
…
。これ絶対に行かなきゃダメ?』
類はその場にしゃがみこみ、涙ながらに訴えた。
「んー
…
。もう目の前まで来ちゃったし、周りに他に券を渡せそうな人もいないしねぇ。それにほら、あそこ見てご覧」
呪里はアトラクションの入口の方向を指さした。
入口付近には所々布が切れている着物を着たキャストのお姉さんが立っていて、こちらを見てニコニコしている。
「お姉さん待ってるから、もう諦めて行こうよ類」
『うぅぅ
………
』
類は座っている場所から動こうとはしなかった。
190cm越えの大男が40cm近く身長差がある女の子に対して座り込みながら嫌だ嫌だと駄々をこねる姿は、はたから見たら異様な光景だろう。
その後、何度も説得してはみたが類は涙目の状態で断固として立ち上がろうとはしなかった。
(うーん想像以上に頑固ちゃんめ
…
)
類には申し訳ないが、呪里もここは譲れない。今日お化け屋敷なんて生まれて初めて入れるかもしれない。どうせ入るなら類と一緒に入りたいのだ。
(仕方ない
…
)
呪里は類の目の前にしゃがみ込んだ。
「ねぇ類?」
『
………
行かないよ。ボスのお願いでも無理』
類はふるふると首を横に振った。
「
……
今一緒に入ってくれたら、後でぎゅーとよしよししてあげる」
類の眉がぴくりと動いた。
(お?これか?ご褒美だせばいけるか?)
『
………
』
「んー、じゃあ」
「後で食べるご飯で類にあーんってしてあげるのは?」
類はわかりやすく目を逸らした。
(まだ足りないか
………
)
『
…
もう一声』
「んえぇ
……
。それなら帰ったら膝枕でもする?」
『
………
最後にもういっちょ』
どんな表情をしているのかは分からないが、少しばかり口角が上がっているような気がする。
「そうだなぁ
…
。今日とはまた別の日に二人でどこか出掛けようか?」
そう呪里が呟くと、類はすっと立ち上がった。
『
……………
ほんと?』
「うん。ほんと」
『じゃあがんばる
…………
』
薄らと瞳に涙が見えるが、一緒に行く決心がついたのか類はふんふんと鼻息が荒くなった。
「よかった。私もいるから大丈夫だよ。行こ?」
『うん
…
』
呪里は類の手をぎゅっと握り、ゆっくりとお化け屋敷に足を運んだ。
(まさかここまで嫌がるとは思わなかったな。今後はこういう所行こうって言わないでおこう)
呪里はそう心に決めたのだった。
「あ、ちなみにリタイアゾーンあるらしいけどラストまで行くからね」
『え、嘘でしょ?!や、やっぱり行くのやめるぅぅぅぅ!!!!!』
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