峡谷にて、夢見の町と隠者の峠が見いだされた頃。
ネモフィラは、町に遺された『若きスケーター』の物語を辿るにつれて、その姿に既視感を抱くようになっていた。
「アイツとよく似た
思念を
……どこかで、見た気がするが
……」
最後の物語が明かされた日、究極の贈り物の由来を知ったネモフィラは、急ぎ峡谷の交流広場に戻って不死鳥のケープを身にまとった。
かの子は再び夢見の町へと駆け出し、ダイヤ仕掛けのリフトを使って円形劇場へ向かう。
「オレが着てるこのケープが、スケーターの衣装の“模造”であったとしても
……オレ達星の子は、アイツをずっと見守ってきた案内人から、アイツと同じようにこれを授かっている」
祭壇の蝋燭に火を灯した後、ネモフィラはスケーター像を見上げた。
「もしそうなら
……案内人の思念やアイツの思念が、少しでも宿ってるかもしれねえぞ」
瞑想後にたどり着いたのは、小さな町のスケーターが夢を叶えた日の、思い出の世界だった。
遥か昔の月夜の下、無数のライトや花火に彩られ、観客たちの歓声を浴びて。
ネモフィラとスケーターは共に滑り、リハーサルの記憶を思い出しながら演舞を楽しんだ。
そして、夢幻の共演を終える寸前。
ネモフィラは不死鳥のケープに宿る思念と“交信”し、那由多の
光景の奔流へ飛び込んだ。
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.