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ろころころ
2025-06-02 17:46:28
12413文字
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pk擬/小話詰め②
自宅単品もうちよそ要素も混じってます
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なかまづくり/ルビステ+マギア
昼下がり。いつも通りトレーナーと大喧嘩をして頬に大きなアザを作ったルビーは、暇を持て余し何か面白いものは無いかと徘徊していた。今日の夜に大好きなルナアーラの少女とディナーの約束をしているが、それまでは時間があった。スタジアムの控え室前の廊下を通った時──────
「嫌っ、離して
…
!
…………
あっ
…
ち、違うの
…
ごめんなさい、拒絶した訳じゃなくて
…
!」
(この声は
……
マギアちゃん?)
マギア。ルビーと同じ寮で暮らす、マフォクシーの少女。ほのおタイプのアタック型という意味でも共通点の多い彼女のことは、この寮では数少ない女の子ということもあってよく覚えていた。
「ごめんなさい、違うの
…
!違うから
…
!ごめんなさい
…
ごめんなさい
…
!」
(なーんかめちゃくちゃ謝ってね?怪しーわー、これは事件の香りがプンプンするってワケ)
控え室の扉に耳を近づけずとも、ルビーの大きな耳はその声を聞き取ることが出来る。その場の壁にもたれ掛かるようにのらりくらりとしながら、耳を澄ませば──────
聞こえてくるのは男の怒鳴り声。
ガラスのコップのようなものがパリンと割れる音。
少女の怯えたような声。
「いや!ダメじゃん!犯罪だろ!!!!」
バァン、と無駄にでかい音を立ててルビーは控え室の扉を蹴り開けた。
「なっ!?誰だ!?」
「──────あ
……
」
目を白黒させ怒鳴りつけてくる男は、ブリーダーの証を首から下げている。
(こいつ
……
カゲのとこのトレーナー?)
そういえばマギアはカゲと同じトレーナーの元に着いていると言っていたか。出身地方が同じだと同じトレーナーを担当に付けられることは多々ある。現にルビーの大嫌いなトレーナーだってそうだし、リザードンのホムラのトレーナーなんて3体のポケモンを担当していると聞いた。
ふと、カゲがこんなことをボヤいていたなと思い出す。
『マギアがトレーナーのことを怖がっている』
「あーなるほど?それの原因ってこれってワケね?」
「な、なんなんだお前!出ていけ!ここは出場選手以外は立ち入り禁止だ!」
「はーー?うるせーー!女の子に酷いことする奴はカスって決まってんだよヴァーーーーカ!!!」
ルビーは中指を立てた。
それはもう綺麗に、ビシッと。
「マギアちゃん、こんな男より俺と一緒にアイス食べに行こうぜ!」
「
…
えっ?
……
ちょ、ちょっと
…
!?」
「えいっ」
プシューっ
ルビーはスプレーを男に吹きかける。
「何をするんだっ!?
…
うっ
……
!?」
男が倒れ込んだ隙に、少女の手をむんずと掴み取り走り出す。
廊下を駆け抜け、中庭に飛び出した。
「ま、待ちなさいって
…
!
…
ちょっ
……
ホントにどうするのよ!?あいつ、絶対にカンカンに怒って
…
」
「いーやそれはないね。さっき俺がアイツに吹きかけたスプレーあるじゃん?あれさ」
遠くから地鳴りのような音と、それに合わさった振動が二人を襲った。
「な、なにごと──────はぁ?」
顔を上げたマギアは、表情を失った。
二人の視界いっぱいに広がったのは
…
「と、トレーナーが
………
めちゃくちゃ大きくなってる
…
!?」
「
…………
ぶふっ
……
ぎゃっはははははは!!!」
唖然とするマギアの横で、ルビーは腹を抱えて笑い転げていた。
そう、ルビーが男に吹きかけたのは『Gマックス粒子スプレー』と呼ばれるもの。ガラル地方特有のキョダイマックス
…
に必要なエネルギーを詰め込んだ特殊なスプレーで、振り掛けた物は一定時間キョダイマックス出来る
…
というどう足掻いても大災害を引き起こしかねない代物だった。
「人間の身体じゃでかくなるだけでエネルギー不足を引き起こすから、デカくなったところですぐに寝るらしーぜ?効果時間も5分あるかないかだし?いやー便利便利」
「どこが便利よ!むしろ最悪じゃないの
…
誰が弁償するのよ
…
」
現に建物の一角が破壊されている。今は一般公開期間では無いため事務所内に観客はいないものの、多くのスタッフやポケモン達が慌ただしく駆け回る姿が目に映った。
「実はさっきカゲに控え室一帯のカメラの映像を改造しておいてってメールしといたわけよ。いやー流石はルビーちゃん!あのスプレーの在処は俺んとこのトレーナーの部屋だし、アイツに全部押し付けられて一石二鳥ってワケ!」
「アンタねぇ
…
」
呆れたように首を振るマギアの様子などルビーは気に止めることも無く、さて
…
と立ち上がった。
「俺さ?前からマギアちゃんと話してみたかったのよ。マギアちゃんに頼みたいことがあってさ〜?」
「
…
な、何よ
…
今助けてあげたんだから言うこと聞け
…
ってこと!?」
「違う違う。別に嫌だったら断って貰ってもいーんだけど?
…
ステラちゃんと友達にならん?」
「す、ステラちゃん
…
?誰よそれ」
ルビーは首を傾げるマギアに、端末の写真を見せる。
「この子がステラちゃん。俺の彼女。カワイーだろ?」
「なんというか
…
アンタと真逆な子ね?お洋服もお上品だし
…
なんでこんな高嶺の花みたいな子と付き合えてるの、アンタ」
「それがなぁ
………
この耳のおかげってワケ」
ぴょこん、と跳ねるように動くのはルビーのアイデンティティとも言える大きく長い耳。
「マギアちゃんの声もこの耳だから聞こえたんだぜー?」
「
…
そう
………
それで、そんな可愛い彼女となんで私が友達に?」
「いやぁ、そのさ?一緒にデートした時、女の子たちがショッピングしててさ?羨ましそうに見てたのよ」
ルビーは続ける。
「ステラちゃんは色々特殊で、今まで屋敷から出ることがなかったっぽくてさ?それって俺達も一緒じゃん。普段はエオス島から出れないし。だから丁度いいかな〜って思って?」
「ふーん
…………
まぁいいけど」
「まじで!?さすがマギア様!ありがたき幸せ!!!」
「ほんっと調子の良い奴ね
……
」
呆れたようなマギアにルビーは手を合わせて頭を下げた。大袈裟な反応はルビーのお家芸である。
「にしても、ホントに私なんかでいいの?喋るのそんなに得意じゃないわよ、私。同性ってことならフローラとかの方が上手く出来る気がするけど
…
」
「まーフローラは仲良くなるのは得意だけどよぉ?マギアちゃんの方が、ステラちゃんに寄り添えるんじゃないかなーって感じがすんのよね。だってさ?二人とも、ちょっと境遇が似てるし?閉じ込められて、理不尽受けてさ」
「境遇
………
」
「それってステラちゃんだけじゃなくて、マギアちゃんにも何か良いことあるんじゃないかなってルビーちゃんは思うワケ」
同じ境遇のポケモンがいること。そして、彼女はきっとそこから脱出できたのだろう。
それならば、彼女のようにすれば自分もこの地獄から脱出できる?自分が人に話せないような悩みも、同じ苦しみを知っている人なら話せるかもしれない。わかってくれるかもしれない。
そんなふうに、マギアは心のどこかで感じていた。
「
……………
とんだお節介よ全く。アンタがそこまで他人のことに気にかけてるとは思わなかったわ。てっきりサッカーが好きなただのチャラいうさぎだと
…
」
「ちょっ、それは言い過ぎじゃねーですかマギアさん」
彼の反応が面白くて、マギアはくすくすと笑う。その後ろでは例の巨大化したトレーナーが縮んで行くのと、ルビーのトレーナーがスタッフ達に連行されていく姿が見えた。
これから待っている新たな出会いが、マギアの未来に光を与えてくれること。それを、ほんの少しだけ信じてみようとマギアは思う。
「じゃ!俺の可愛いステラちゃんをよろしく!」
ルビーは、名前に恥じぬくらいに輝かしい笑顔でそんなことを言った。
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