揃いの恋紐は密やかに

MHRウ教×ハ♀。
両片想い。

紐は恋と想いの象徴。

いつもと同じ碧天へきてんと、お日様。里のみんなの、元気な声。
視線を交わせば「おはよう!」と清々しい、いつもと同じ挨拶。

良かった、気付かれてない、と私はほっと息を吐く。

今、私の後ろに並ぶオトモたちさえ分からなかったのだから、当然といえば当然か。

今日、装備品に結び直して取り替えたばかりの真朱色しんしゅいろ組紐くみひも下緒さげおに、少しだけ触れて、思わず笑みが溢れた。

大切な想いを込めた、大好きなあなたとお揃いの色、結び方をした組紐。
あなたには毎朝、集会所の同じ場所で会える。
私にとって、それは本当に楽しみで。

「おはようございます、ウツシ教官!」
「おはよう、愛弟子! 今日も良い天気で狩猟日和だね!」

あなたの笑顔と元気な挨拶に、私の目元も口角も甘く蕩ける。今日は何処の、何の狩猟にとか、ありふれた愛しい世間話の時間。

その狭間で、私は密かに胸を撫で下ろしていた。気付かれていない、と確信した刹那、大好きなあなたの屈強な指が、私の装備品に向けて伸びてくる。

強くて優しい指先が、取り替えたばかりの、真新しい真朱色の組紐に触れた。

「──この色、俺と、同じだ。ふふふ、嬉しいなぁ……

まさか。

誰も気付かなかったのに。

愛しいあなたの低声は、私の心臓を甘く、激しく震わせる。

「き、気付、い……!?」

情けなく呟く私は、驚喜と、愛しさで、はちきれてしまいそう。
あなたの双眸は、とても優しい三日月を描き、私を優しく見つめてくれて。

「組紐を取り替えるほど、長く狩猟して……強くなったね、愛弟子! さあ、今日も頑張っておいで!俺はいつでも、キミを見守っているよ!」

あなたの声は、言葉は、眼差しは、気付きは、私の命の炎を猛らせ、恋に震える心を包み込んでくれる。

「──行って来ます! ウツシ教官っ!」

あなたは、何でも気付いて、お見通し。
だから、もしかしたら、この気持ちもいつかは筒抜けに。

──そうなる前に、伝えられますように。

恋色をした組紐に、そっと触れながら。

私は今日も狩場へ駆ける、炎色した恋風こいかぜとなった。

@acadine