HQ【佐久日】ログ

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佐久日のSSまとめです


25.4.29ワンドロ「忘れもの」


「なぁそれほんと今日じゃないとだめなの?」
「今日じゃないとだめなんですっ」
この1週間、飽きるほどしたやり取りに俺は苦笑いをする。

新加入した選手たちのインタビューを雑誌に載せるということで取材を受けるはずだったのに、誰かのちょっとしたミスで俺だけ予定していた日に受けられないという事態が発生。
会社の広報さんやら編集部の人やら協会の人やら色んな大人に頭を下げられて、どうにかこうにか日程を調整し直してもらった。
んだけど。
「は?その日オフだろ」
それを許さなかったのが恋人である臣さんだった。
この日になりました、と報告をしに行ったら臣さんはこれでもかと眉間に皺を寄せてそう吐き捨てた。
「なんで何も悪くないお前が譲歩してるわけ?」と、待って待ってと慌てる俺を抑えつけ各所に抗議をし出して、またまた色んな大人が半泣き(だったかどうかは知らないけど侑さんが面白がって言ってた)になりながらリスケってやつをやってみたけど結局かなわず最初に調整した日に落ち着き、さすがの臣さんももうゴネることなく渋々受け入れてくれた。その場で響いた舌打ちはすっげぇ怖かったけど。あと、後日黒尾さんから『チビちゃんの彼氏怖い』とラインがあったことは内緒にしてる。

「お前は優しすぎる」
「そうですか?これでも結構希望とか言ったんすけど」
実際時間とか色々注文をつけた気がする。オフにするルーティン等を細かく伝えて、それらに支障がない時間帯で調整してもらったし後日代休ももらってる。
「でもその日俺がオフじゃねぇ」
臣さんてばそんなに俺と一緒にいたいんですか?」
冗談で言ったつもりだったのに、何故か臣さんの顔がほんのり赤くなった気がした。
そうだよ、悪いか」
ちょっと乱暴に俺にキャップを被せた。
「忘れものだ」
「あ、すみませ、んっ」
顎を掴まれキスをひとつ。
唇が離れたあと手首を耳の裏にそっと擦り付けられてびっくりしていると、ふわっと臣さんの香水が香った。
フルーツみたいに甘いのにちょっとエッチなやつ。
「お、おみさ、」
「終わるの、12時ぐらいって言ったよな」
「は、はい」
「迎えに行く。12時きっかり。過ぎたら強制的に連れて帰るから」
その目はマジだと俺は背筋を伸ばした。
「あの、臣さん」
「ん?」
「ちなみに、どれが忘れものだったんですか?」
どれだと思う?」
わぁ、その顔はずるいなぁ
俺だけに見せてくれる笑顔にキュンとして、「キスだと嬉しい、です」と俺からキスをした。

ちなみに、俺がこんなアダルトな匂いをさせて現場に来たせいで大人たちはまた青ざめ、そして本当に12時ぴったりに迎えに来た臣さんを見て震え出したのは言うまでもない。