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ななき
2025-05-21 19:34:25
15305文字
Public
吸死
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竜のおまじないは夢の中【Web再録】
(ドラロナ)微ホラー表現あり。
2024.5発行のドラロナアンソロジー、「人外さまのお気に入り」寄稿作。
人でない何かに好かれるロナルドくんと人外枠で圧倒的強者である竜の一族としてのドラルクさんがテーマでした。
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主催様、本当にありがとうございました。
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我がドラルク城マークⅡ、またの名をロナルド吸血鬼退治事務所には、妙な客が多い。ポンチ騒動ポンチ吸血鬼ポンチな人間。そして、事務所所長が関知していないお客達。異なる法則に住まうもの、夜より遠い暗闇の住人、怪異と呼ばれるものたちだ。
彼らの狙いは我が城の下男、もしくは事務所所長である男。詩的に表現するなら清廉なる銀と蒼穹の退治人、ロナルドである。
モテないと年中嘆くあのハムカツゴリラ、スペックだけならモテないわけがないのだ。モテないのは、纏わりつく人外の気配を、同族達が直感的に繁殖相手として忌避するから。それだけ、あの男はあちらに好まれる。
まぁ、そうもなるだろう。実に稀な高潔で透明な魂が、この国では珍しい色彩を纏って歩いているのだ。それもひどく無防備に。一度見てしまったら、ただただ欲しくてたまらなくなる。どうして欲しいかもわからないまま、その無防備さに誘われてしまう。
連中と我ら高等吸血鬼は相容れないとはいえ、わからなくもない。
さて、新横浜の銀の弾丸に惹かれてしまった可哀想な怪異たちができることはなにか。
大概のモノは何もできはしない。ファンサを求めるアイドルファンのごとく、遠くから見つめるだけ。やや強いものは退治帰りにしがみついてきたり、事務所ビルまで自力で来たりもする。ではそういうモノたちがどうなるかというと、だ。
「おや、こんな時間から掃除かい」
ギルドから帰ってきたばかりのロナルド君が、廊下掃除用の箒とちりとりを取り出してもう一度外に出ようとしていた。
「なんか下のエレベーター乗り場前からここまで、土? 泥? の塊が落ちてんだよ。別に泥つくようなとこ行ってねぇんだけど」
「へぇ? お客さんでも来てたのかね」
世間体を気にする彼は、まめに事務所周りを掃除している。ビルの管理人もいるはずだが、自分でもやるところが『らしい』。
しかしうっかりである。夕刻、ロナルド君が留守の間にお帰り願った、『お客さん』の残骸を見落としていたようだ。
外は彼に任せて、私は手の中にある郵便物の束へ目を落とす。DM、チラシ、お父様からの手紙、DM、DM、オータムから若造あての書簡、そして。
〝『欲しい』『ホしい』『おいで』『コちらへ』『おイで』『おいデ』『どうか』『こちラへ』〟
あえて言葉にするならそんなところか。人には読めるのか読めないのか。白い半紙に書きなぐられた、あちらの文字。連中にしてみれば精いっぱいの恋文だ。もしかしたら、ひょっとしたら、あの宝石がみてくれるかもしれない、応えてくれるかもしれない。そんな、浅ましくも切実な。
「人のモノに紛れこませれば私が見落とすかもしれない、とでも思っているのだろうね。
……
見落とすわけがないんだがな」
愚かにも私の城に踏み込んできたのだ。容赦など不要だろう。
ほんの少し力を入れれば、身の程知らずの恋文は手の中で崩れて消えた。
◇◇◇
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