饂飩粉
2025-04-10 19:57:58
4868文字
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UNBROKEN

 ほぼセリフのみのブルーロック糸師凛夢小説です。
 糸師冴への憎しみ爆発〜ブルーロック入寮前の糸師凛とホラー映画の話をする高校2年生の夢主という設定です。
 セリフに出てくる映画のタイトルはほぼ全て作者の趣味です。




4月


 月に一度か二度、放課後の視聴覚室は映画研究会の部室になる。
 一年生の頃、担任の先生がお情けで認めてくれた。我が校では必ず何かしらの部活動に入ることが校則で決まっている。映画研究会は「どこの部活にも入りたくない生徒」の受け皿として機能しているから、実は部員自体は結構いる。ちゃんと活動らしい活動をしているのは、私だけ。
 今日も視聴覚室の隣の倉庫に置いてある映画ソフトの中から気になるものを選んで鑑賞する。それが映画研究会の活動だ。視聴覚室の音響はイマイチだけど、プロジェクターを使っているからスクリーンはちょっとしたミニシアターくらいの規模だ。とはいえ、古いDVDだと粗が目立ってしまうし、Blu-rayには対応していない。
 だけど私はこのちょっとした空間で映画を観るのが好きだった。
 唯一物足りないのは、観終わった後に誰ともその映画について語らう機会がないこと。感想はSNSで発散している。高校に入れば、同じような映画好きが集まって色んな話ができるって期待してたのに、二年生になった今でも映画を一緒に観てくれる人はいなかった。

 視聴覚室の扉が乱暴にひらかれたのは、私がデヴィッド・クローネンバーグの映画を観ている時だった。主人公がずっとリムジンの中で考え事をしたり話したりしている映画だ。ちょっと退屈だけど、不思議と目が離せない——そう思っていた矢先だった。
「映画研究会ってのはここか?」
 背の高い男子生徒——見覚えがないから新入生だろう。羨ましいくらいまつ毛が長くて、綺麗な顔をしている。目元が隠しているかのような前髪が勿体無いと思うくらい。
 私は慌てて映画を一時停止。
「え、あっ、新入生?」
「ああ……なんだ、『コズモポリス』観てたのか」
「知ってるの? クローネンバーグ」
「『ヴィデオドローム』を最近観た」
「マジ!?」
 急に話が通じる人がやってきて、私は天にも昇るような心地だった。
 その後輩の名前は、糸師凛。
 部活動とは別にサッカーの鎌倉ユースチームに所属していて、サッカー部は選べなかったらしい。ホラー映画を見るのが好きだから、映画研究会を選んだのだという。
 それが、私の密やかな、恋の始まり。