饂飩粉
2025-04-10 19:57:58
4868文字
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UNBROKEN

 ほぼセリフのみのブルーロック糸師凛夢小説です。
 糸師冴への憎しみ爆発〜ブルーロック入寮前の糸師凛とホラー映画の話をする高校2年生の夢主という設定です。
 セリフに出てくる映画のタイトルはほぼ全て作者の趣味です。




8月


 約束の日。
 約束の時間。
 約束の場所。
 映画が終わる頃を過ぎても、凛は来なかった。


9月

…………
……
…………
……最近『ディセント』を観た」
……
「それ系統のを他にも観た。『地下に潜む怪人』『カタコンベ』『地獄の変異』」
……
「どれも洞窟の中で悲惨な目に遭う映画だ」
……
「特に『ディセント』は、そうだな……主人公達は付き合いの長い友達グループなんだが、化け物達に襲われて、自分達が実はそんなに仲良しのグループじゃないのかもしれないって、気づき始める」
……
「仮初だったんだ。嘘や建前、沈黙で自分達が仲が良いってことにしていた——
「私達も、そうなの?」
……
「今までここで映画の話をしたり、映画を観たりしたことに、何か嘘があったの?」
……
「それとも、私のことうざかった? ——ごめん、今の質問がうざいよね」
……ぬりぃ」
……
「どうして怒らねえんだ。俺は壊したんだ。約束も守らなかった。そうだよ、嘘だよ。全部嘘だ。普通怒るだろ。俺にムカついてんだろ。なのに、お前はどうして……
……同じようなこと、お兄さんにもされたの?」
「兄ちゃ——糸師冴(あいつ)のことは関係ねぇだろ!」
「図星だ。私も怒ると思った? 凛のこと、嫌いになると思った? 甘く見ないで。凛がサッカーを一番に考えてることくらい知ってる。凛のことを此処に縛り付けようだなんで思わない。行きなよ。お兄さんのこと、壊すんでしょ。こんなところに来てないで、サッカーやれよ!」
「っ——言われるまでもねえ。もう此処には来ない。最初から、それを言うつもりだった」
「わかった。わざわざ来てくれてありがと」
……糸師冴(あいつ)も、最後は俺に会いに来たからな」

 凛は視聴覚室の扉を開けて外に出て行った。
 堪えていた涙が、コップを傾けたみたいに流れてきた。
 今日はアレクサンドル・アジャの『ハイテンション』でいいかも。オチがすごい映画で、なんというか、今の私にはぴったりかもしれない。
 結局、凛に聞けなかった。
 ここで私と映画の話をするのが、楽しかったのかどうか。
 いつか、その話ができるといいな。
 五〇人は収容できる視聴覚室は、当たり前のように広く感じる。でも凛と一緒にいた時は、なんだか家のリビングくらいの空間のようだった。
「あーあ、結局『ウインド・リバー』見逃しちゃった」

 それが、私の密やかな恋の終わり。