トニー
2025-03-13 21:07:55
13803文字
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中華BL初心者ガイド

中華BLを全く知らない人の
「中華BLってなに?どんな作品があるの?何が魅力なの?どうしたら読めるの?」という疑問への回答から、
中華BLを読んでみたくなった人への最初の3歩くらいまでを網羅的に解説します。
用語集もあります。
(25/8更新)

目次

中華BLとは
中華BLの魅力
日本への中華BLの上陸状況
中華BLの特殊事情
中国のネット小説規制と各国版の存在について
初心者におすすめの中華BL
続きが出るのが待ちきれなくなったら
ラジオドラマ(オーディオドラマ)について
二次創作をしたくなったら
コスプレについて
FAQ
TIPS
用語集



中華BLとは


 中華BLとは「中国で書かれたBL小説と、それを原作とするメディアミックス」のことを指します。
 長髪で漢服姿の美男子が活躍するアニメを目にしたことはないでしょうか。
 日本で有名なのは「魔道祖師(まどうそし)」「天官賜福(てんかんしふく)」をはじめとする墨香銅臭(モーシャントンシウ)先生の作品です。
 中華BLにはブロマンスに改変してドラマ化される作品も多くあり、魔道祖師を原作とする陳情令や天涯客を原作とする山河令と言った作品が特に人気です。
 (なお、日本人作家が書いた中華風BL作品が中華BLと呼ばれているケースもありますが、そちらは「中華風BL」と呼ぶのが正しいです)
 ちなみに中国ではBLは「耽美(ダンメイ)」と呼ばれています。


中華BLの魅力


 「BLの本場は日本なのに、なんでわざわざ中国のを読む(見る)の?」「イケメンがたくさん出てくるからいいの?」って思いますよね。私もこの世界に足を踏み入れる前はそう思っていました。
 中華BLの魅力はズバリ、「BL要素を抜きにしても世界に通用するような圧倒的な小説としてのクオリティを持ちながら、キャラクターの魅力とBLのときめきの全てを兼ね備えていること」にあります。
 大げさでもなんでも無く、中華BLには世界的大ベストセラーのファンタジーや歴史小説やSF小説と同等のクオリティの作品が数え切れないくらいあるのです。
 そして、そのようなBL作品は私の知る限り中国にしかありません。
 (私はファンタジーやSFやヒストリカル・ロマンスが好きで、評価の高い作品は海外のものを中心に多数読んできました。また、日本のBL小説も欧米のBL小説とも言うべきMMロマンス小説も読んできましたが、トップレベルの中華BLに匹敵するBL作品は残念ながら存在しないと思います)

 また、物によりますが受けの自立心や能力が高く対等な関係のカップルの作品が多いのも魅力的な点です。
 更に、物語のスタート時点では「何がどうしたらこの二人がカップルになるの?」と聞きたくなるような作品が多いです。
 つまり、外見で簡単にくっつくのではなく、生死を共にするような紆余曲折を経てじっくりと信頼関係を構築した先にやっと恋愛が成就するような作品が多いです。
 (日本のBL新書10巻~20巻分くらいかけてやっと恋愛が成就するような作品が多いです)
 外見は受け攻めともに背が高くてスリムながら筋肉質なキャラクターが多く、顔立ちの好みは日本人の美意識と共通しているので、すんなり好きに慣れると思います。
 中華BLというと古装の長髪キャラをイメージする方も多いと思いますが、実際には様々なジャンルの作品を内包していて現代作品も無数に存在するため、短髪のキャラもたくさんいますよ。


日本への中華BLの上陸状況


 日本への中華BLの上陸は2020年に魔道祖師のアニメが放送されたことで本格的に始まりました。
 また、2021年以降に魔道祖師の原作小説の日本語版が出版されたり天官賜福のアニメが放送されたりしたことで人気と知名度が徐々に上がってきました。
 その後もほぼ魔道祖師と天官賜福のみしか上陸していない状況が続いていましたが、2023年頃から他の作品も少しずつ増え始め、2025年現在は上陸作品が関数的に増え始めるフェーズに入ったところかと思われます。
 ただし、完結まで日本語版の出版が完了しているのは2025年8月現在も魔道祖師、鎮魂(priest先生著)のみとなっています。


中華BLの特殊事情


 一番有名な魔道祖師を例に出すとpixivの投稿作品数が数万点に及ぶほど人気が高いのですが、同人ジャンル化していないので規模や人気度合いが掴みにくく、外からファンダムの実態が見えにくくなっています。
 なぜ同人ジャンル化していないのかというと、中国の特殊事情により通常の同人活動を自粛する自治ルールが徹底されているためです。

 【中国の特殊事情】
  ・検閲が存在する(検閲されていない書籍の出版は重罪)
  ・具体的な性描写はポルノとみなされて(ポルノは法律で禁止)検閲を通らない
  ・BL作家が逮捕、起訴、収監された事例が複数ある
  ・ファンが過激化して事件化し、関連作品に出演していた俳優が活動自粛に追い込まれた事例がある
  ・作家自身がファンに向けたルールを設定している場合がある(中国ではファンのコントロールは作家の責任とされるため)

 日本では墨香銅臭先生作品が先陣を切って上陸し、人気も圧倒的なため、墨香銅臭先生によるファンへのお願い=通称MXTXルールが同人活動自粛の根拠になっているようです。
 MXTXルールには「同人活動の商用ライセンスは承認していない」という項目があり、それが「営利目的の同人活動の禁止」と解釈されています。
 ここまでは日本の通常の二次創作同人活動を禁止するようなものではないはずですが、先に述べたような特殊事情を鑑みて「BL二次創作同人誌がアンチの手に渡った結果、作家が通報されるのではないか」と考えた先人たちが「広く一般の手に渡るような頒布方法は自粛する」という自治ルールを敷きました。

 その結果、基本的にはイベントや同人誌通販サイトで同人誌を頒布するような、一般的な同人活動全体が自粛されています。
 細々と同人誌やグッズの物々交換が行われたり、P4Pと呼ばれるコストを折半する方式+自家通販での頒布という形式が採られることもありますが、ネット上での作品発表がファン活動の大半となっています。
 
 上記のような事情により、ファン活動はほぼSNS上に限られているため、外部からは人気度合いが見えにくいという事態が発生しています。


中国のネット小説規制と各国版の存在について


 中華BL小説の多くは中国の課金できる小説サイト「晋江文学城」で発表され、そこから人気が出た作品は出版されたりメディアミックスされたりといった道を辿ります。
 「ポルノを掲載した」として晋江文学城が当局の家宅捜索を受けたり罰金刑を受けたりするたびにどんどん晋江の自主規制は厳しくなり、晋江のBL小説の多くは閲覧不可になったり性描写が削除されたりしてきました。
(このへんの経緯と考察はこちらの記事にまとめてあります)

 晋江上のBL小説で現在閲覧できるものは「ラブシーンはキスまでに留める」「性行為の記述をそれとわからないくらい曖昧な描写にする」「ラブシーンのみ(検閲の目をかいくぐりやすい)別の媒体で発表する」等の対策が取られているようです。
 なお、上記は晋江での話であり、出版される場合はキスシーンも削除される作品が多いようです。(中国で出版された書籍は「簡体字版」と呼ばれます)

 では、激しい性描写のある作品の「完全版」はどうやって手に入れるかと言うと、ファンは「中国以外の国で出版された書籍・電子書籍を買う」のです。
 たいていは台湾で出版された書籍(繁体字版)が完全版となります。
(中国と台湾はともに中国語が使われていますが、中国では簡略化した字体「簡体字」が使われているのに対して、台湾では簡略化されていない字体「繁体字」が使われています。字体は異なりますが、翻訳不要なので繁体字版は出版されやすいようです。)
 ただし、台湾には売り切りで増刷しない出版慣習があるため出遅れると入手困難になります。また、台湾では中華BLの電子版は出ていないそうです。(台湾BLの電子版はあり)
 他にアメリカや韓国、タイ等で翻訳版が出ている作品もあり、ファンは日本の洋書店や海外通販、海外通販代行業者等を通して取り寄せています。(韓国の電子書籍は日本からでも読めます)

 なお、日本語版が出版されている場合はもちろん性描写が削除されていない「完全版」となります。


初心者におすすめの中華BL


(日本語化されている作品のうちメジャーなもの、すでにある程度の分量が出版/連載されているもの、比較的翻訳が読みやすいものをセレクト。プレゼン内容は極めて主観的です)
※【】内は簡体字表記。検索する時などに。

・中華BLが初めての方におすすめの作品
 中華BLが初めての方におすすめの作品、それはズバリ、魔道祖師です。
 理由は壮大でドラマティックなストーリーと個性的なキャラクター、中華ファンタジーのしっかりした世界観、濃厚な恋愛描写が含まれていて、中華BLの魅力がわかりやすいからです。また、完結まで日本語書籍(電子含む)が出版されており、メディアミックスが豊富に展開・日本語化されているからです。
 日本における知名度と人気が他作品に比べて圧倒的に高く、中華BL好きのほとんどが履修しているため、情報を得たり仲間を作ったりしやすい作品でもあります。
 まずは小説かアニメかドラマ(陳情令)の好きなものから履修すればいいと思いますが、特にこだわりが無い場合は小説から入ることをお勧めします。改変されておらず、短縮もされていないため、ストーリーや設定がわかりやすいです。ドラマまたはアニメから入る場合、時系列の乱れや仙侠モノ特有の設定や用語を理解するのに少し苦労するかもしれません。
 ドラマ版はブロマンス改変されており、主人公の性格も微妙に異なりますが、非常によくできているので独自のファンも多いです。小説を読んだ方やドラマにあまり興味の無い方も一度見てみることをお勧めします。

魔道祖師【魔道祖师】(まどうそし)墨香銅臭
架空の古代中国を舞台にしたファンタジー小説

ストーリー:
 非業の死から13年後、悪名高い魏無羨(ウェイ・ウーシェン)は何者かによって魂を現世に召喚され、他人の身体を借りて復活する。
 正体を隠して過去と決別しようとする魏無羨だが、少年時代の宿命のライバル藍忘機(ラン・ワンジー)と再び出会ってしまう。
 奇妙な因縁により次々に事件に巻き込まれ、共に解決するうちに、13年前に起こったことの真相が次第に明らかになっていく。

カップリング:寡黙ムッツリ一途な怪力美人攻め×陽キャ ネクロマンサー受け


・2作目以降におすすめの作品
魔道祖師の次は何を読もうかなと思った方は下記の日本語版が出ている作品からお好みに応じてお選び下さい。
(ただし、2025/8現在どれも完結までは日本語化されていません)

人渣反派自救系統【人渣反派自救系统】(じんさはんぱじきゅうけいとう、通称さはん)。墨香銅臭【墨香铜臭】

架空の古代中国を舞台にしたファンタジー小説。墨香銅臭のデビュー作。
ストーリー:
 半分オタク半分リア充の青年沈垣(シェン・ユエン)はネット小説「狂傲仙魔途(きょうごうせんまと)」のラストに憤死したはずが、その小説の悪役「沈清秋(シェン・チンチウ)」に転生してしまう。
 沈清秋は後に魔王となる弟子の洛冰河(ルオ・ビンハー)を虐待した末に復讐され、惨殺される運命にあった。
 運命を変えるべく、洛冰河のご機嫌取りをしようとする沈清秋だが、「システム」を名乗る存在から「キャラクター設定を守らないと死ぬ」というルールを課されてしまう。
 果たして沈清秋は死の定めを回避できるのか?
 辛さがマイルドでコメディタッチのシーンが多い作品なので、辛すぎない話が読みたい人におすすめです。(ただし、愛憎劇が好きな人にも人気があります)

カップリング:泣き虫甘えん坊執着弟子攻め×突っ込み体質男前包容力師匠受け

続きが読める媒体:繁体字版書籍、韓国語版(書籍、電子書籍)、英語版書籍など

 3Dアニメ版「クズ悪役の自己救済システム」(通称クズシス)がテンポと声優さんの演技が良く、早口すぎるツッコミがとっても面白いので、まずはアニメを見てみるのがいいと思います。たぶん中華BLの既存イメージが崩壊すると思いますw
 今現在は主要配信サービスでは見放題になっていませんが、1話無料ならあると思います。1話を見ればハマる人はハマるので是非!

 吹き替え版(梶裕貴×浪川大輔)もハイクオリティですが、元となった中国語版(字幕版)の沈清秋の演技も是非とも聴いていただきたいです!
 沈清秋は口ではキャラ設定を守ってかっこつけつつも、モノローグではテンションの高い超早口の突っ込みを繰り広げるという役どころです。
 中国の声優、吴磊(ウーレイ)先生(俳優と同名だが別人)の美声と演技の幅に圧倒・魅了されること請け合いです。


天官賜福【天官赐福】(てんかんしふく)墨香銅臭【墨香铜臭】
架空の古代中国を舞台にしたファンタジー小説

ストーリー(公式サイトより引用):
 仙楽国の太子・謝憐(シエ・リェン)は、十七歳の若さで飛昇し天界の武神となった。しかし、自らの行動が原因で二度も天界を追放されてしまう。
 それから八百年後――
 三度目の飛昇を果たし天界に復帰したものの、今や謝憐の信徒は残っておらず、他の神官たちからもはみ出し者扱いされてしまうのだった。
 地道に信徒を獲得しようと下界で一人奮闘する謝憐は、ある日、三郎(サンラン)と名乗る美しい少年に出会う。
 行くあてがないと言われ共に過ごすようになり、慕って くれる彼と仲を深める謝憐。
 だが、なぜか天界や鬼界に詳しい三郎には秘密があるようで――
 
カップリング:年下信徒鬼王攻め×天然清純武神受け

続きが読める媒体:晋江文学城、簡体字版書籍、繁体字版書籍、英語版書籍など(簡体字版発売時に大幅に改定が入っており、改訂前後で登場人物やサブストーリーが異なります。簡体字版と晋江掲載版以外は改訂前のバージョンがもとになっているようです)

 超美麗な2Dアニメが大人気で盛んにコラボカフェやグッズ販売が行われている作品。特に2季の出来がいいので必見です。
 アニメの美麗なビジュアルが好きな人、少女マンガが好きな人、姫と護衛騎士のような関係性にときめく人におすすめです!


千秋(せんしゅう)梦溪石【孟溪石】(モンシーシー)
南北朝時代を舞台にした武侠小説。

ストーリー:
 道教の名門の掌教 沈嶠(シェン・チアオ)は崖から転落して大怪我を負い、視力も記憶も武功も失ってしまう。
 そこへ付け込んだ魔門の宗主 晏無師(イエン・ウーシー)は沈嶠が自分の弟子だと騙し、沈嶠を悪の道に転落させようとする。
 沈嶠は記憶を失っていても倫理観は失っておらず、違和感から自分は魔門の弟子でないことに気づく。
 沈嶠は晏無師と別れ、盲目で病弱、武功を失った状態のまま故郷へと旅立つが、晏無師はその後も何かとちょっかいをかけてくる。

カップリング:30代に見えるアラフィフ からかい好き ダークヒーロー攻め×善意を信じる一見儚げ実は不屈で頑固な正統派ヒーロー受け

続きが読める媒体:晋江文学城、簡体字版書籍、英語版書籍など

 この作品ほど「どうやってカップルになるの?」という声を多く聞いた作品はありません(笑)。二人の紆余曲折をぜひ自分の目で確かめてください。
 多彩な濃いキャラクターや深い人生観、笑わずにいられないコメディシーン、歴史小説のようなしっかりした世界観、硬派な武侠世界の描写などの様々な魅力のある作品で、大人同士の話が読みたい人、「その人ではないとダメ」な理由がはっきりした作品を好む人、笑いが好きな人におすすめです!
(相手を大切にする攻めが好きな人にもおすすめしたいのですが、前半を読んだ時点では「こいつは何を言ってるんだ???」となると思います。最後まで読めばわかります)

 3Dアニメ「山河剣心【山河剑心】(さんがけんしん)」とラジオドラマの出来が良く、どちらにも独自のシーンやセリフがあるため全て履修するのがおすすめです。


二哈和他的白猫師尊【二哈和他的白猫师尊】(ハスキーとかれのしろねこしずん) 通称二哈(には又はあるは)肉包不吃肉
架空の古代中国を舞台にしたファンタジー小説。

ストーリー(公式サイトより引用):
 仙門を蹂躙し尽くし、万民に唾棄される人界の帝王となった踏仙帝君・墨燃(モー・ラン)。
 彼はおよそ十年にわたる治世の末、晩秋の頃に、反乱軍の包囲の中でついに自ら命を絶った。
 一緒に灰となったのは、かつて墨燃の兄弟子で想い人である師昧(シー・メイ)を見殺しにし、墨燃の行く手を阻んだ師・楚晩寧(チュー・ワンニン)の遺体である。
 しかし、再び目を覚ますとそこはどこか見覚えのある妓楼。墨燃は十六歳の頃の自分に生き返っていた。
 師昧に再会して、彼が亡くなる前の時期へと生き返ることができた僥倖を嚙みしめる墨燃だが、まもなく険悪な仲の従弟・薛蒙(シュエ・モン)、そして楚晩寧にも再会し――

カップリング:タイトルはおバカなハスキー犬と彼の白猫のような師尊という意味で、その通りのカップリングです

続きが読める媒体:繁体字版書籍、韓国語版電子書籍など

 タイトルからはお気楽でお手軽なラブコメっぽく聞こえますが、全然違いますw
 濃厚な愛憎劇からムラムラしっぱなしのラブコメ、そして強烈な悲恋劇へと変化していきますが、それぞれのパートの完成度が非常に高いです。
 様々なサブストーリーやプロットを含んでいて話のスケールが大きく、圧倒されます。
 伏線を張るためのプロット自体が質の高いエンタメになっているため、全編通じて何らかの感動があり、伏線を伏線だと気づかせません。
 一文一文に楽しまされたり悲しまされたりするうちに誰にも予想のつかない真相に導かれる構成は圧巻です。
 伏線の張り方や構成が世界最高レベルの小説ですので、小説好きなら一度は読むべきです。
 なお、終盤の焦燥感や悲しみが冗談抜きで強烈ですので、終盤は精神的に余裕のある時に読むのをお勧めします。
 (一応言っておきますが、バッドエンドという意味ではありません)


病案本(びょうあんぼん)肉包不吃肉
中国の架空都市を舞台としたSFサスペンス小説。

ストーリー(出版社サイトより部分的に引用):
 巨大製薬会社の御曹司である賀予(ハーユー)は、国内に4人しか患者がいない特殊な精神病を患っている。
 彼が幼少の頃、賀予専属の医師として賀家に雇われていたのは13歳年上の謝清呈(シエチンチョン)。
 二人は謝清呈の妹、謝雪(シエシュエ)を通じて数年ぶりの再会を果たす。
 何かと反発し合う二人だが、とある事件を契機にかつての医師と患者としての関係性を意識していく。
 新たな事件に巻き込まれる二人だったが、19年前の謝兄妹の両親の交通事故死の真相に迫り……

カップリング:
 小悪魔執着年下攻め×鉄壁冷徹頑固年上受け

続きが読める媒体:晋江文学城(性描写削除版)※完全版を読む方法は有識者に聞く必要あり(私はフォロー外の方の質問は受け付けませんのでご了承下さい)

 二哈と同じく、複雑なプロットと予想もつかない展開にぐいぐい引き込まれます。
 セックスを通じて関係を構築していくタイプの激しい愛憎激で、全編翻訳された暁には日本で出版されたBL小説のうち性描写の濃厚さで最高峰の作品になると思われます。
 私は賀予の謝清呈への蛮行が蛮行過ぎてハラハラしたりするのですが(謝清呈は男性的で強いので大丈夫っちゃ大丈夫なのですが)、小悪魔系攻めが好きな人にはものっっっすごくぶっ刺さる模様です。賀予がかわいいとうなされている方をたくさん見かけます。(病案本を読んだ人は賀予に引くか夢中になるかの二択に分かれるようです)
 どちらにせよストーリーが面白いので読んでみるといいと思います。エロが好きな人にもお勧めです。



黙読(もくどく)priest
刑事&高知能御曹司のバディによる警察サスペンス小説

ストーリー(出版社サイトより引用):
 煌びやかな繁華街と未開発の旧市街が隣り合わせに共存する街・燕城市。
 ある日、若い男の死体が発見される。
 公安局刑事隊の隊長・駱聞舟(ルオ・ウェンジョウ)は早速捜査に乗り出すが、犯罪組織の存在や警察内部の思惑も絡み合い、単純と思われた事件は次第に複雑になっていく。
 事件の真相をつかむため、駱聞舟は「犯罪」の才能があり、同じ男に思いを寄せる恋敵でもある費渡(フェイ・ドゥ)の力を借りることになり……

カップリング:
 ゲイでナイスガイの刑事隊長&複雑な過去を持つバイで人たらしの御曹司(受け攻めはどっちがどっちかお楽しみに)

続きが読める媒体:晋江文学城など

 まず、警察小説として面白いです!
 アクションあり、二転三転する真相あり、ハラハラ緊迫する場面あり、二人の思いがけない急接近や意外な一面の発露ありで、バランスよく書かれているので疲れずに読み進めることができます。
 難しくないのでとっつきやすいという点もいいと思います。
 また、翻訳がすこぶる良く、中国社会と日本社会の違いを踏まえた上での痒いところに手が届くような注釈まで込みで(日本語版の単行本しか読んでいない私からしても)とってもおすすめです。



続きが出るのが待ちきれなくなったら


 小説好きなら、少なくとも上記どれか一つは続きが待ちきれなくなりますよね。
 その場合は中国語版またはすでに出ている各国語版から自力で翻訳しましょう!
 独力で語学を身につけられるならもちろんそれを推奨しますが、私自身はClaudeというAIを使って翻訳しています。
 使い方に癖はありますが、うまくいけば人間が翻訳したのと遜色ないくらいの訳文を出してくれます。
 生成AIに原文を送ると原文が「学習」されるのではないかという指摘がありますが、Claudeに関して言えば、学習するよう設定変更せず、フィードバック(Goodボタン、Badボタン)を送らなければ学習されないと明記されています。
 むしろGoogle翻訳に代表されるようなAIを使わない翻訳アプリの方が学習される恐れがあり、実際に入力データの流出事件も起きているので注意すべきかもしれません。
 どちらにせよ、アプリを使う場合はそのアプリの規約をよく調べてから使ってください。
 晋江文学城への登録方法、利用方法はこちらの記事で、
 Claudeを使った具体的な翻訳方法や指示の与え方はこちらの記事で、詳しく解説しています。
 手順に沿えば誰でもスラスラ翻訳できますよ。
 (とはいえ、日本語版が出版される場合は私は必ず購入していますし、翻訳者さんを心から尊敬しています。)


ラジオドラマ(オーディオドラマ)について


 人気のある作品はラジオドラマ化されます。
 最も有名で配信作品数の多いラジドラ配信サービスは「猫耳FM」です。
 WEBサイトとスマホアプリがあり、一部無料で続きは要課金という形式が多いです。
 「中国語はわからないから無理だ」と諦める必要はありません。私も中国語はわかりません。
 というのも、中国のラジドラはニコニコ動画形式で配信されており、コメントが弾幕できるようになっています。
 この弾幕の仕組みを利用して有志が字幕を入れてくれている作品が多くあり、ChromeやEdgeのブラウザ翻訳を通すことで日本語字幕つきで聴くことができるのです。
 テーマ曲等に非常にお金がかかっており、声優さんの演技も素晴らしい作品が多いのでラジドラ履修はほぼ「必須」ですよ。検閲との戦いではありますが、千秋のように原作よりラブシーンがサービスされているものもあります。(現状は検閲対策のためにキスまでで暗転する作品が多いですが、中国の声優さんは息遣いが巧みなのでキスでもエロスは十分です)
 サイトへの登録方法や課金方法、字幕の設定方法はこちら


二次創作をしたくなったら


 先も述べた通り、中華BLのファンの間では同人イベントに出たり通販委託をしたりといった同人活動が自粛され、物々交換やP4Pのみ可とされています。
 上記はあくまで多数派の解釈であり、イベントに出ても問題ないと考える人や、逆にP4Pもすべきではないと考えている人、本に実名を記入しなければ頒布不可と考えている人もいます。
 人によるOK範囲の解釈の違いも論争の原因になりますので、少なくとも初心者のうちは作品発表はネット上での公開に留めるのが無難でしょう。
(なお、これらは日本の事情であり、台湾、東南アジアのファンは同人イベントに出ている人も多い模様です)

 もう一つ知っておかなくてはならないのが、中華BLでは公式カップリングの解体や逆カプ、公式カプと他キャラとの複合カプが作家により禁じられているケースがあるということです。これもファン同士のトラブルを避けるために設定されていることですので、まずはMXTXルールを始めとする作家の呼びかけをよく調べてから発言したり作品発表したりするよう心がけて下さい。

 色々と特殊な自治ルールが存在しますが、公式カップリングのみ、金銭やり取りなしで活動する分には特に問題ないと考えて大丈夫です。


コスプレについて


 私はコスプレに詳しくないのですが、コスプレに関しても独自のルールがあります。
 MXTXルールではコスプレはグレーゾーンの活動であり、ある条件を守って活動する限り公式は見てみるふりをしてくれるということのようですので、ハマった勢いでルールを調べずにコスしないよう気をつけて下さい。
 「公式衣装または自作衣装」かつ「非営利で」やる場合のみ目を瞑ってもらえるらしいです。(重ねていいますが、私はコスプレに詳しくないので、コスプレしたい方は必ずご自身でルールをよく調べてください)


FAQ


・中華BLってどれくらいあるの?
 晋江文学城の投稿作品は全部で500万点以上ある模様です。
 そのうち1/3くらいがBLらしいので、100万作品以上はあるのではないでしょうか。
 実際、私がこの世界に来てから2年近く経ちましたが、ボリューム感すらまったくわかりません。
 日本への上陸までにかなりのタイムラグがあり、かつクチコミの影響が大きいため、日中の人気作品のラインナップはかなり違っているようです。
 そもそも知名度とクオリティは比例しないため、どれほどすごい作品が存在するのかすら見当もつきません。


・他にはどんな作品があるの?どれがおすすめ?
 Twitterで繋がった同好の士からクチコミで情報を得ている人がほとんどであり、日本語でのまとまった情報が無いのが現状です。
 (そんなにたくさん読めているわけではありませんが)私の読了リストはこちらにありますので、よろしければ参考にしてください。
 日本語で読み書きできる中華BL作品データベースがあったらいいなあと思ってはいます。


Tips


<呼び方について>
 一番最初に身に着けないといけないのは「字(あざな)」に関する知識だと思います。昔の中国では「姓」「名」の他に成人時に通称である「字」をつける習慣がありました。
 名を呼ぶのは失礼なこととされ、呼んでいいのは親や師や主君などの目上の人に限られました。
 「それ以外の人は字で呼ぶ」と解説されていることも多いですが、実際には字で呼んでいいのも同格以上の人や友人等の親しい人に限られるという暗黙の了解があったようです。
 一般の人や仕事上の付き合いに限られる人、目下の人が目上の人を呼ぶ時は「姓+役職」を使います。(「鈴木+部長」のような感じです。現代日本と一緒ですね)
 稀に二つ名のような「号(ごう)」を持つキャラクターもいますが、特に覚えなくても文脈で理解できると思います。

 ごく親しい人は「阿◯」「小◯」(◯は名や幼名の一部)のように呼ぶこともあります。ニュアンスとしては「◯ちゃん」のような感じです。
 「老〇」という呼び方もあり、「◯さん」というようなニュアンスになります。(「老」は年取っているという意味ではなく尊敬の意味です)
 また、年長者を「先輩」と呼ぶこともかなり多いようです。日本では同じ組織に属している年長者にしか使わない言葉ですが、中国では年長者でありさえすればそう呼んでいいようです。


用語集


(私が読んだことのある作品が少ないので、独自設定をさも定義のように言ってしまっているものもあるかもです。もしあったらご指摘下さい)

簡体字(かんたいじ)・・・伝統的な中国語の字体を簡略化した字体。中国で使われている

繁体字(はんたいじ)・・・伝統的な中国語の字体。台湾で使われている

耽美(ダンメイ)・・・中国でのBLの呼び方。ちなみに晋江文学城では「耽美」ではなく「純愛」というワードが使われている(もとは耽美だったが自主規制により変更されたとのこと)

耽改(たんかい、ダンガイ)・・・BL作品がメディアミックスされる際、検閲対策のためにブロマンス改変されること。「耽改作品」というように使用される。

鎖になる/鎖がかかる・・・晋江文学城の小説が閲覧不可になること。ロックが掛かること。例:「81章が鎖になった!」

断袖(だんしゅう)・・・男色のこと。漢の哀帝が目を覚ました際、共寝していた男性の恋人を起こさないよう、下敷きにされていた袖を切り取ったという故事に由来する。

龍陽(りゅうよう)・・・男色のこと

仙侠(せんきょう)・・・仙術(不思議パワーを使った術)を修行する人たちが出てくる中華ファンタジージャンル

修真者(しゅうしんしゃ)・・・仙術を修行して仙人になることを目指す人達

修真界(しゅうしんかい)・・・修真者たちの界隈

閉関(へいかん)・・・修行者が一定期間引きこもって修行に専念すること

師尊(シズン、シーズン、しそん)、師父(しふ)・・・師匠のこと

拝師(はいし)・・・師匠と弟子の間に擬似的な親子関係を作ること。単に入門したのみでは厳密には「弟子」とは言えず、拝師を許されて初めて入室弟子となり直接指導してもらえるらしい。いわば後継者候補になれる。(師匠に対して自称に「弟子」を使うキャラはおそらく入室弟子と思われる)
先に述べたように擬似親子関係であるため、師匠と弟子が恋愛することは近親相姦にも似た非常に不道徳な行為とみなされる模様。(笑)
拝師の儀式では弟子が3度叩頭(こうとう。跪いて地面に頭をすりつけること)してお茶を捧げ、師匠がお茶を飲んだら正式な弟子として認められたことになる。

師兄(シション、シーション、しけい)・・・兄弟子のこと

師姐(師姉)(シジエ、シージエ、ししゃ)・・・姉弟子のこと

師弟(シディー、シーディー、してい)・・・弟弟子のこと

師妹(シメイ、シーメイ、しまい)・・・妹弟子のこと

修為(しゅうい)・・・修真者のレベル。作品によって異なるが、練気・築基・金丹・元嬰・化神等がある。後ろにいくほどスゴイ。ある一定以上の修為に到達すると食事する必要がなくなったり、不老になったりする。

天劫(てんごう)・・・修真者に対して天から与えられる試練のこと。修真者目掛けて雷が落ちたりする。これをクリアすると修為が上がったり飛翔したりとレベルアップする。

渡劫(とごう)・・・天劫をクリアすること。

三界(さんがい)・・・天界=神仙の世界、冥界=死後の世界、人界=この世のこと(中国の死生観には道教の影響がある模様)

御剣(ぎょけん)・・・霊力を使って手を触れずに剣をコントロールすること。または剣の刃の側面上に立ち、霊力を使って空を飛ぶこと。さながら魔法使いの箒。

走火入魔(そうかにゅうま)・・・体内を巡る気が乱れて錯乱状態に陥ること

双修(そうしゅう)・・・セックスを通じて修行すること。気が循環してうんたらかんたらということらしい

飛昇(ひしょう)・・・修行の結果、人が神仙となること。昇仙(しょうせん)とも言う。

武侠(ぶきょう)・・・武術を修行する強者たちを扱ったジャンル。仙侠との違いは仙術=いわゆる魔法的なものがあるかどうか。とはいえ武侠でも結構不思議な術が出てきたりするので、人外が出てくるかどうかで見分けるのが吉かと(人外が出てきたら仙侠)。

軽功(けいこう)・・・気の力を使って身軽になる術。仙術(魔法)が存在しないはずの武侠ジャンルでもこれのせいで空を飛べ(るかのように身軽になっ)たりする

江湖(こうこ)・・・世間のこと。武侠小説では武功を身に着けた人たちの界隈のことを指す。

宗師(そうし)・・・第一級の師と崇められるほどの実力者のこと

中原(ちゅうげん)・・・もとは中華文明の興った黄河中流域を指す言葉だが、古代作品では中華文明が支配する地域や人々を指す。「中国」や「中国人」ぐらいの概念。

武功(ぶこう)・・・気や技を使った武術の強さのこと。「武功を失う」「この人には武功が全くない」みたいに使う。

点穴(てんけつ)・・・ツボを突くこと。ツボを突けばあら不思議、止血したり声を出せなくしたり動けなくしたり、色々できる。

宗主(そうしゅ)・・・家門の長や武術の流派の長

無限流(无限流)(むげんりゅう)・・・中国の小説の人気ジャンルで、様々なチームが集められ、競い合ってルールに従いステージをクリアするような内容を含むもの