sousakuyamamusume
2025-03-09 21:31:52
3552文字
Public 一次創作
 

悪役令息

悪役令嬢(男):アトラス・フォン・ノックス(アトラス=耐える者。ノックス=夜)
親友くん:ザイン・メンシス(ザイン=存在する。メンシス=月)

出会い

「よ。隣あいてる?」
……そのスカーフ、平民か。随分と口の利き方がなってない。」
 彼のひと言でがやがやしていた食堂が静まりかえった。そそて、「ノックス家といえば知らない人も少ない伯爵家だってのに」だの「あの平民は命知らずか?」というひそひそ声が聞こえる。
 無視!きっぱりと無視!言いたいことあるならはっきり言えって話。そうじゃないなら聞く必要なんてない。それが俺の持論。
「悪いね。苦手なんだ、名前とか顔とか覚えるの。だからクラスメイトって枠組みでしかみてないから、そこんとこよろしく。で。隣あいてる?」
「見ての通りだ、言わんと分からんか?」
「わかんねーのよそれが。さっき『そこ彼女来るから』って邪険にされたばっかでさー。」
「なれなれしい。」
 結構ツンケンされるけどこいつ喋るときにちゃんとこっち見る。そして食い方が綺麗。うーん、さては良い奴だな?
「じゃ隣失礼。」
……勝手にしろ。」

 なれなれしい平民だ。平民だからなれなれしいのか、それともこいつは素でこうなのか。
「名前なんだっけ。」
「アトラス・フォン・ノックスだ。覚えていないのか?ザイン・メンシス。」
「苦手なんだよー。……って、俺の名前覚えてるし。すげー。」
 目の前の平民……ザイン・メンシスはからからと笑いながら昼食を食べている。一口が大きい。
「ノックス家の一員として当然のことだ。」
「うわあ、俺なら半年も持たねぇ。」
「だろうな。」
「そこは嘘でも褒めてくれよー。」
 やかましい奴だ。悪い気はしない、というのが不思議なものだが。天性のものだろう。……私とはまるで正反対だ。
「で、アトラス。次の時間錬金術だったよな。俺錬金術からっきしでさー、ちょっと教えてくれね?」
「人の名前を随分気軽に呼んでくれるものだ。」
「え、友達の名前呼んじゃダメなのか?じゃああだ名考える?なにがいいかなー。」
 そういう、問題では、ない。