sousakuyamamusume
2025-02-24 22:25:53
3125文字
Public 一次創作
 

赤と白(小説版)


決戦

 魔王を倒し、大陸全土を覆っていた黒い影が消えた。それを確認するやいなや、先ほどまで背中合わせだった相手に剣を向ける。
「さあ――これで、邪魔は入らないな。」
……はじめようか。」
 最初で、最後の、本気の殺しあいを。

「どうした、その程度か、ヴァイス!」
「こちらのセリフだ、ロッソ……!!」
 立場上、相容れない相手だった。戦争をしているというのもある。こちらがただの騎士で向こうが騎士団長だからというのもある。共通の敵がいる間はともかく、いなくなったからには背中合わせで戦うことなんてできやしない。それから、これは個人的な話だが、あいつが何考えてるのかがわからないのも不気味だ。戦場で僕を見るやいなやそれまでの戦いを一切捨てて僕と戦おうとする意図がわからない。
 何度切り結んだのか、それすらも忘れた。覚えておく必要がない。魔王討伐にあたって互いに傷だらけだが、それでも――戦わないという選択肢がないことだけは、僕とあいつで同じ考えだった。
 赤色が舞う。どちらの血なのかも、最早わからない赤色が城の床を赤黒く染め上げる。ぼやける視界の中でも、『常勝の紅き騎士団長』の姿だけは、はっきりと捉えられる。

 煌めくような太刀筋を見た。戦場を駆け抜ける白い閃光を見た。それを、運命だと認識した。
「息が上がっているぞ、ヴァイス」
「そちらこそ、左手が動いてないようだな、ロッソ」
 何度、夢に見たか。ヴァイスの剣が、私の腕を切り飛ばす姿を。足の筋を断つ姿を。……私の首を、はねる姿を。その度に飛び起きては、笑みを浮かべる己の顔を隠して平静を保とうとした。無駄なあがきと知りながら。
「ならば、互いにこの一撃が最後か。」
……僕は、まだやれるぞ。」
 ひょんなことから共闘することになり、1つわかったことがある。彼は――ヴァイスは、はったりを現実にするだけの力がある。今まではそれに助けられてきた。だから、いい。例えそのはったりが、私の命を切り飛ばすことになっても、許そう。

 ああ、やっとわかった。
 ロッソは、ヴァイスに、惚れていた。