【マウモア】悴む夏

モア海2の世界観で半神半人の英雄と無垢な勇者、果たして余裕がないのはどちらなのかの話。映画ネタバレ独自解釈捏造要素有。
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 星たちのお喋りがぽつりぽつり小さくなる頃、水平線の彼方が俄かに白み夜明けを告げる。
 「(ドキドキするでも、いつもと違う……なんでだろ)」
 まっさらな一日の始まりを真正面から受け止め眺める。じんわり体から夜の色が抜け朝の色に染まる温もりに目を細めた。
 ふと自分を胡坐の中にすっぽり収め後ろから抱き締め囲うマウイも同じだろうか、なんてモアナが首を捻る前に大きな掌が覆い被さるように視界を遮ってきた。如何やら顔を見られたくないらしい。
 夜に逆戻りする視界を再び正面に戻せば、やおら手が離れて行くので完全に離れてしまう前に捕まえ自ら火照る顔に添え頬擦りした。体の強張りを溶かすマウイの熱にモアナは微睡み、彼の手のひらにふっくら厚みのある唇を遠慮がちに押し付けながら秘めていた想いを紡ぐ。
 「あのね、私あなたにもっと触れてほしいの」
 モアナの唇が触れた時点で力が入っていたマウイの手が石のように固まった。
 「触れられた場所と顔がカッと熱くなって、胸がぎゅうって切なくなって」
 「──モアナ」
 重い口を開け名を呼ぶ言の葉は懇願が色濃く残っていた。
 「私の所為にして構わない。だから、マウイ……私に触れてほしい。二人の熱が交じり合って境界線が曖昧になるくらい」
 大海原から産声を上げた煌めく金色の光がモアナの伏せた目に掛かる睫毛と嫋やかな髪を輝かせ、怯懦と憂慮に囚われ蹲っていたマウイの心をいとも簡単に外へ連れ出した。

 「それで、えっと……私もあなたに触れたいなあって、いい?」

 そして、無自覚でやっているであろうモアナ渾身の上目遣いとおねだりの力によってマウイの心に蔓延り蝕んでいた闇は完全に消滅しただけではなく、隙を窺っていた衝動を無いも同然に近い理性をかき集めた変換させた特大嘆息を彼が吐いたお陰で、彼女は何か間違った事を言ってしまったのだろうかと大いに慌てふためいたのだった。