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ろころころ
2024-12-31 03:51:04
8785文字
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正義と鉄槌
うちよそ軸のアムリタから彼の正義を解釈しているので、よその子、うちよそ要素が出てきますがあまり気にしなくても読めます。
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「
…………
なぁんてこともありましたけどぉ!にゃっはっはっは!今は幸せですかぁうぇーんくぅん!」
「
……
お前の瞳から俺がそのように写っているのであれば、眼科に行くことを推奨する」
回らない呂律と頭で絡みついてくる銀髪を机に叩きつけると、アムリタは漸く開放された痺れかけている左腕をぶらぶらと振った。
あの時のしおらしい男は何処へやら、結局は酒を飲んではアムリタに絡みつき、しまいには愛しい恋人との惚気話まで一方的に投げつけてくる始末だ。何度本気で消してやろうかと思ったところか。アルバートに止められなければ既に三人位のレオン・クローヴィスはあの世行きだったかもしれない。
「そうです!そうですよぉ!あなた、ラララさんに変なことしてないでしょーねぇ!?」
これは惚気話の導入だな、とアムリタは顔を顰めた。とはいえ、逃げようにも逃げられないのだ。何故ならこれは隊長命令であるため。レオンくんが何やら思い悩んでるみたいだから、幼い頃から彼を知る君に任せても良いかな?との事。他の者からの命であれば巫山戯るなと蹴っていたところだが、あの隊長には一切悪気がない上に、アムリタとしても親愛なる隊長の命令は極力聞いてあげたいのだ。故に、逆らうことが出来ずにこの始末であることは、笑われても仕方の無いことだと思う。
レオンはこうして酒が入るとアムリタに絡んでは、恋人の異界の商人の話をしてくる。アムリタとしては友人の惚気話など心底どうでも良いのだが、とはいえ商人の彼に興味が無いわけではなかった。
──────否、興味というよりかは警戒。
とはいえ、商人の彼本人への警戒という話では無く、異界から人が来たということは、何処かしらでルートが開発されている
…
ということだ。
つまり、新たに彼以外の異界の人物がエデン大陸へ足を踏み入れる可能性があるという話だ。
そして、それが大陸の人間を超越するような存在であった場合──────いや、余計なことは考えるのはやめよう。それこそ、異界から神がやってきて此方の
大いなる天
クソ野郎
とぶつかるようなことが起きれば、アムリタとて悪人駆逐兵器として本気で神々にかからねばならないのだから。
「私のラララさんがぁ、あなたのことを怖がってたんです!私のラララさんを怖がらせないでください〜?私のラララさんを!」
「黙れ」
再び銀髪は机へめり込んだ。
怖がらせるようなことをした覚えは無いが、まぁよく良く考えれば自分のことを殺そうと襲いかかってきた相手を恐れないわけが無いか、と結論着いた。
(そういえば、あの男は"悪い奴じゃない"という評価に不満かあったようだが──────)
悪い奴か否か
…
という判断方法であそこまで怒られたことは今までのアムリタの記憶には無かった為、少々驚いたのは事実だ。何せ仕方ないのだ。個人間に詳細な事情があるとはいえ、それらを考慮した上で被告側に有利な判決を下すなど、裁判所であっても珍しい事例である。アムリタは刑事には詳しくは無いが、世界を滅ぼした人間を悪と言わずに何と言うかもわからないのだ。
とはいえ、結局のところレオンや彼とわかり合う必要は無いだろうというのがアムリタの結論であった。恐らく、彼らは彼ら自身で幸せを掴み、平和の道を歩むことが出来る。レオンの"守るものも無い、戦う意味の無い貴方なんかに負ける訳にはいかない"という言葉も、商人の彼の"たった一人を、ましてや仲間を救う覚悟もない奴が救助隊や神を名乗るナよ、偽善者共ガ"だなんて言葉も、正しいのかもしれない。
けれども、結局のところアムリタという人間は、どんなに足掻こうと兵器にしかなれないのだ。
"平和のための戦い"が矛盾してると言われようとも、母の道標を信じて戦ってきた彼は、戦うことでしか正義を証明出来ないのだ。
(正義とは何か
…
正しさとは何か
…
それを俺だけで判断することは不可能だ。そして─────)
救助隊。彼らの心を照らし暖める炎のような優しさは─────死体であり兵器である、無機物にとってはあまりにも恐ろしいのだ。
彼らの"平和の炎"が世界に広まってしまえば、アムリタはエデン大陸には居られなくなる。何故なら、炎というのは兵器にとっては動力であり爆発へと誘導する存在であり、死体にとっては燃される天敵であるため。
平和な世界に、兵器も死体もあってはならない。
「
………
クローヴィス」
「んあ?なんれすかぁ?」
「
……
もしこの大陸に平和が訪れる時が来たら、俺は別の世界に旅に出ることにした。まぁ、相当先の話だろうが」
「
………
たびぃ?なんれれすか、ここじゃダメなんですか?」
「
……………
俺は平和の元にいるべきじゃない。俺は戦うことしか出来ないし知らない。平和になった世界で何をすれば良いのかも。故に、俺は"正義"を求めながら、平和を求める世界で戦う」
「
…
すてるんですか」
アムリタは立ち上がった。
「捨てるわけじゃない。お前に託しただろう」
「私だって言いましたぁ!幸せになれと!戦うんですか?うそつきですか?ばーかばーか!」
「俺は平和の下で幸せにはなれないんだよ。わかって欲しいとは言わない。お前と俺は、戦う理由も目指す先も違うのだから」
そう言って、立ち去る背中をレオンは見ていた。
「
………
この世界は、貴方を幸せには出来ないのでしょうね」
エデンの園から知識を得た罪で追放された人々が、
知識
罪
を重ねて生み出したのが兵器。そしてその
兵器
罪の重なり
が生み出すのが──────
死体
罪の塊
なのだから。
Fin.
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