ろころころ
2024-12-31 03:51:04
8785文字
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正義と鉄槌

うちよそ軸のアムリタから彼の正義を解釈しているので、よその子、うちよそ要素が出てきますがあまり気にしなくても読めます。


──────平和とは、多くの死体の上に築き上げられた人々の願いである。


何の罪も犯していないのにも関わらず、家畜小屋に縛り付けられていた母は、まだ幼かった不死者にそう言った。

武力で平和を実現することは出来ない。何故なら、武力による説得は何処かしらに歪みがあり─────それが膨らみ大きくなった暁に、見せかけの平和は崩れ再び戦が起きるから。

しかし、だからと言って"平和的な解決方法"だけで人々は平和を築くことは出来ない。
なぜなら人間というのは実に愚かで、地獄を知らねば自分のいる場所が如何に天国であるかを実感することが出来ないからである。

人々というのは、更なる幸せを求め、戦を行い、地獄と化した世界を嘆き、平和を築き──────そしてまたその愚行を繰り返す。

彼の母はこの事を知っている、非常に聡明な女性であった。だからこの場所にいる愛すべき唯一の存在であった息子に、何も持っていない自分が与えられる唯一の愛の形としてその導きを示した。

「弱きを守る者は、助けを求めている人を助ける者は、その行いが知られればきっと英雄として称えられるでしょう。けれども、平和のためには悪の権化を断ち切らなければ、同じことの繰り返しになる」

母は言った。その身体には、無数の暴行の跡が痛々しく浮かんでいた。

「──────アムリタ。貴方には、その"永遠の平和の障害となる存在"を断ち切る存在になって欲しいの。血で汚れた英雄には、石も罵倒も飛んで来るかもしれないけれど。それでも、誰かがやらなければ、世界には見せかけの平和しか訪れない」

その息は既に薄く、その声は風でボロ小屋が軋む音で掻き消されるほどに小さかった。彼女は何度も死を望んでいた。それでも、生きていたのは奴らの遊戯であった。

「ごめんなさい私の、願いを貴方に託してしまうのは、重荷になってしまうかもしれない……けれども、どうか忘れないで………わたしの、いちばんのねがいは、あなたのいきるみらいのへいわ──────」



ガコン



少年は、母の首を斬り落とした。

















久しぶりに夢を見た。
なんとも、懐かしい夢であった。

…………………


戦う理由。それを問われることは、多々ある。
例えば救助隊であれば、要救助者を助け出すため。

アムリタ────ウェンはフレイムに匿って貰った礼として救助隊の活動に協力してきた。しかし、彼は本来こちら側に居て良い存在では無い。正しい行いをし、世界の英雄として持て囃される存在には、彼はなれないのだ。

何故なら、彼は死体であり、兵器であり、多くの人々咎人の命を奪った大罪人。
彼が救助隊の一員として力添えしているのは幼い自分を匿ってくれたフレイムへの恩返し、そして咎人を見つけ出す為の手段。

本来 、アムリタという大罪人は此処に居て良い存在では無く──────そして平和になった世界に存在してはならない存在である。

何故なら、彼には戦うことしか出来ない。
死ぬ事が出来ず、母の道標以外を信じることが出来ず、戦うことしか知らない青年は、

もはや悪を駆逐するだけの兵器と化していた。