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かみや
2024-12-25 19:47:08
8419文字
Public
えーすり
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Happy Christmas
クリスマス前後の好きカプSS詰め込みました。
リンクから各ページに飛べます。お好きなものをお楽しみください!メリークリスマス🎄🎅✨
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12/25 21:02(灯レン)
12月25日。クリスマス。
こんなにも楽しくて、胸の中いっぱいにあたたかい光が満たされるような日だったんだ。
未だ冷めない余韻を引きずって灯は夜空を見上げた。キンと透き通った空気の中でも都会の空に星は見当たらない。ほう、と丸くついた息は白く染まって静かに消えていった。
MANKAIカンパニーのクリスマスパーティーは、初代組まで駆けつけて盛大に行われた。
美味しい料理の数々や滅多にお目にかかれない高級な酒たち。その場にいる誰もがキラキラと眩しい笑顔に溢れていて、まるで色とりどりのイルミネーションに囲まれているようだった。そんなあたたかい光の中に自分もいられることがなによりも嬉しい。
楽しかったなあ。思い出すと胸の中でイルミネーションがピカピカと輝きだして、自然と口元が緩んでしまう。カンパニーの皆は優しくてあたたかくて、分け隔てなく接してくれる。けれど、ここにいてもいいのだと思えるのは皆のあたたかい優しさだけではなく、やっぱり。
「クリスマスパーティー?ええやん!ほんなら灯と行くわ〜」
数日前。打ち合わせのあと、ぜひ来てくださいねといづみが誘ってくれた時、自分なんかが行って盛り下がったりしないだろうかと迷っていると、隣から楽しそうな関西弁が即答した。
「な!」
「あ、あの、」
「よかったあ!みんな喜びます!」
「えと、」
「あ、あれやで。別にスーツとか着て来んでもええで。そんな堅苦しいアレやないねんから。なあ?」
「はい!いつも通りで大丈夫ですよ」
いづみの柔らかな笑顔の隣で、白い歯を零してにかりと笑う。そうやっていつも明るいところに導いてくれる彼に救われているな、と思うと胸の中がきらきらと輝いて眩しいくらいに苦しくなる。
パーティーの帰り道。駅への道すがら、「いや〜楽しかったな〜!」と隣で彼が満足気に言うので素直に頷いた。
「はい、楽しかったです。こんなに楽しいクリスマス
……
初めてです」
美味しい料理でお腹が満たされていて、普段は飲まない酒を飲んだせいもあってなんだかふわふわしている。
「レントさんのおかげです。ありがとうございます」
ふわふわした心地のおかげか、ゆるゆると緩んだ口角からずっというタイミングを逃していた言葉がするりと出てきて少しだけスッキリした。隣から一歩前に出て顔を覗き込んできた彼は、ん、と頷いてにかりと笑ってみせた。
「ほんまええ顔しとるわ。よう笑うようになったなぁ、灯」
思いがけない言葉に「え」と驚いて立ち止まると、下から伸びてきた手がぐしゃぐしゃと髪の毛をかき回した。
「う、わ、レントさ、」
「わはは!かわええやっちゃな〜」
アルコールでふわふわする頭を揺らされて浮遊感が加速する中、ぐしゃぐしゃに乱された前髪の隙間から見えたいつもの笑顔に何故だかきゅうっと胸が締め付けられてくらくらする。
「明日は仕事なん?」
「あ、はい」
「ほーか、大変やなぁ。まあオレも仕事やけど」
もう駅はすぐそこだった。改札を抜ければ、それぞれ違う路線に別れることになる。そう思うと、胸の中のイルミネーションの輝きが減った気がした。寒空の中、すぅっと冷めていくような、心許ない気持ちになるような。このまま別れてしまったら、イルミネーションは消えてしまうのだろうか。
階段を上って、改札が見えてくる。珍しく彼は静かで、いつものように鼻歌すらも歌っていなかった。あと数メートル。
駅はクリスマスで浮かれる人々で溢れかえっている。改札の端で、柱の影に隠れるようにして名残惜しそうに抱き合う恋人たちが視界に入って慌てて目を逸らした。
「なあ灯」
不意に名前を呼ばれてどきりと心臓が大きく波打った。そのままどき、どき、どき、と波打ち続ける心臓のせいで何故だか彼の顔が見れなくて、けれど何か言わなければと口をぱくぱくさせていると、喧騒の中で穏やかに笑う気配がした。
「ほんまに今日は楽しかったなぁ」
ピッ。ICカードをタッチして開いたゲートを抜ける。この先はいくつかの路線に別れている。彼は右側、灯は左側。
「ほんならな。気ぃつけて帰りや」
灯の答えも待たず、すっと右側へ逸れた彼はいつもの笑顔でひらりと手をあげた。心臓の波打つ音が加速する。このまま何も言わなければ、彼は。
「レントさんっ」
普段出すことのない声量に喉がついて行かず、ひっくり返った声が出た。周囲にいた何人かが何事かとギョッとして振り返っていたけれど、数歩先で彼だけが平然といつものように振り返った。
夕焼け色の瞳はじっとこちらを見つめて、灯の言葉を待っている。
「
……
」
はく、と口を震わせる。
こういうとき、なんて言えばいいのだろう。
こんなにも楽しい気持ちを、まだ共有していたい。まだこのイルミネーションを眺めていたい。彼と。
「きょう、楽しかった、です。だから、あの、」
舌がもつれて上手く回らない。自分の心臓の音がやけに耳について辺りの喧騒が遠のいていく。まだ消えないで。ぽつぽつとイルミネーションが消えていくような心許なさを、なんと言えばいいのだろう。どき、どき、どき、と急き立てられるばかりで言葉が出てこない。
じっとこちらを見つめていた夕焼け色が、ふいにふっと緩んだ。
「あかし、」
丸みを帯びた柔らかい声だった。彼はこちらへすたすたと足早に歩いてくると、つま先が触れ合うほど近くで立ち止まった。じっと見上げてくる夕焼け色が構内のLEDにきらりと反射していて、綺麗、と頭の隅でそう思ったとき、その相好はいつものようににかりと崩れた。
「そういうときはな、『寂しいから帰らんとって』って言いや」
どきん、と心臓が大きく波打った。それが合図のように、イルミネーションが再び輝き出した。
視界がぱっと明るくなって、彼の姿だけがしっかり映し出されている。どき、どき、どき、と心臓は波打ち続け、身体中があたたかくなっていくのを感じた。けれど、やっぱりこのあたたかさを表す言葉は見つからないまま、灯はただこくこくと頷いた。その様子にわはは、と声を出して笑った彼は「ほんなら灯んちで飲み直すか〜」と灯の横をすり抜けて左側の路線の方へ颯爽と歩き出した。
きらきら輝いている。イルミネーションも、彼も。その眩しさに目を細め、灯は彼の慌てて後を追った。
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