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留守田
2024-12-25 11:13:45
3306文字
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贈り物のはなし
ちらのーとへノートした話のちょっぴり加筆修正したバージョンです。
1ページ目がアセアス(モブ視点)、2ページ目がアスTavです。またもや自Tav(ヴァリス)とか名前付きのスポーンとか脳内設定モリモリの仕上がりとなっています。
1
2
アスタリオン様の眷属
……
つまりご主人様の
落とし子
スポーン
である俺達の間で、一年の締めくくりにご主人様へ何か贈り物をしようという話になった。
時には恐ろしく残酷なお方だが、あの熱を持つ手のひらで俺達を温めるかのように接してくださる事もある。
それに、旦那様がそれとなく聞かせてくださる話では、俺達が陽の光を恐れなくてもいいようにご主人様はいずれ世界を霧で覆い光を遮るつもりなのだという。
既に飢えている俺達を家畜で養うだけでなく、俺達の苦しみをも少しずつ取り除こうとするアスタリオン様の慈悲に敬意や感謝の意を抱かない兄弟姉妹は居ない。程度に差はあれ、普段の奉仕や貢献以上に何かしたいとは全員が考えていた。
となると、やはり何を贈るべきかで揉めに揉める。スポーンの兄弟姉妹としては一番の古株であるアドヴェルが取りまとめ役に回ったが、両手で数えられる程度でも人が居れば議論は白熱出来てしまうのだなと目の前で交わされる激論を見て思う。
様々な意見が出ては厳しい反論に晒され没案として消えて行く中、とうとう困り果てた俺達は旦那様から御知恵を借りる事にした。スリンは「こういう時こそ旦那様は役に立たないぞ」と不敬極まりない事を言っていたが。
くじ引きで代表者となった俺は、旦那様に事のあらましを説明してジッと答えを待つ。
「なるほど。贈り物か」
旦那様は暫し目を閉じると、ハッと目覚めさも名案であるかのように御自身を指差した。
「私を連れて行ったらどうだ?」
自信に満ち溢れた笑顔が眩しい。
……
いや、確かに旦那様に聞いた俺が間違っていた。
俺達はスポーンとしてあらゆる自由を捧げた身ではあるが、旦那様はそれ以上のもの
――
己の全てを捧げてご主人様の側に居る。ご主人様を喜ばせるというただ一点においては俺達のようなスポーンとはかけ離れた視座を持っていて、要するに手段を選ばない。
様々な制約を無視すればご主人様が最も喜ぶ贈り物、献上するに値するのは旦那様自身だろう。でもそんな事をやれば首が飛ぶ。いっそ首が飛ぶのなら一瞬で済むから幸運な方だ。
「いえ、そういう訳には」
「そうか。なら
……
」
再び旦那様は目を閉じる。読みかけていた本を閉じ、表紙を指で刻むように叩いた。
「
……
ふむ。まあアスタリオンの事だ、何を贈ってもあまり喜びように大差はないだろう」
お前達に求めているのはこんな事じゃない、と怒りさえするかもしれない。と旦那様は仕方なさそうに笑った。
「身に着ける物を贈るのは私が許せそうにないが、それ以外なら高価なものでなくても構わない。実用的な物の方がきっと好きだろうが別に気にしなくていい、お前達の心を贈ってやれ」
「ご主人様のお怒りは」
「なに、構い過ぎた猫が怒るのと一緒だ。万が一にでもお前達を傷付けようとするなら私が口を挟む」
結局、俺は花を執務室に生ける事にした。まだ生きていた頃の朧気な記憶に残る、雪の中に咲いていた丸く白い花を。
植物に詳しい兄弟曰くそれは毒を持つ花だったらしい。一目見て花は嫌いだと仰ったそうだが、毒を持つのだと聞くとご主人様は途端に興味を持たれたのだと言う。
俺のように目の届く場所へ置いておいた者もいれば、直接手渡した者もいる。何にせよ旦那様が言うには
……
普段の倍は大袈裟に文句を言いながら贈り物を受け取り、時折眺めては百面相になっているのだとか。
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