和泉 小夜
2021-10-26 04:33:21
3126文字
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大海嘯に沈む(光忠が長谷部を探しに行くパターン)

大体タイトルと注意書きに集約されてる気がする。お供はコレ→https://www.youtube.com/watch?v=0KpXr0YaoA8

それからも貞宗くんとは色々な取引をした。彼は本当にお金に興味が無いみたいで、
彼はお金ではない、僕が大切にしているものを僕から取っていった。
気が付いたら片目も失っていて、声も出なくなって、腕も脚も動かなくなった。
記憶もほとんど無くなってたし、此処へ来た最初の目的すらも覚えていなかった。
でも、もうそれはどうでもいい。僕はその店員さんが欲しくて堪らないから。

そうしてたくさん取引したおかげか、ようやく店員さんと付き合えることになった。
また明日、と別れて。次の日に喫茶店に行ったら、別の男が僕の名前を呼んだ。
だって姿も声も全く違うから。僕の愛する人は何処へ行ったのだろう。
貴方は誰?と聞きたくても、貞宗くんに声を差し出してしまったので話すことすらできない。
僕の名前を呼ぶ彼は、僕の記憶には居ない。ほとんどの記憶をあげてしまった。
そういえば、誰に記憶をあげてしまったのだろう。もう何も覚えていない。
あれだけ仲良くしてもらった子なのに、もう何も覚えてないなんて。

結局、この綺麗な男の人は僕の恋人になったらしくて。
しかしどうしてだろうと思う僕は、簡単な意思疎通すらも出来ないことに気付く。
腕が使えないから文字が書けない、声が出ないから話すこともできない。
僕は、ずっと、この知らない人と暮らしていくんだろうか。
そう思うと、気が狂いそうになる。

そんなことを考えていると、頭の中に声が聞こえる。

『だから言ったじゃないか。全て疑えと』
『願いを叶えるには代償が必要なんだよ。知っていたでしょう?』
『でも決めたのは全て貴方だよ、光忠さん。俺は其れを叶えてあげただけ』
『貴方は代償を支払った、俺は其れで貴方の願いを叶えてあげたの』
『人間って莫迦だよね、甘い餌を与えれば何でも、何れ程大切なモノでも差し出すんだから』
『此れで貴方との契約は完了したから、貴方の全ての記憶を貰って行くね』
『それじゃあね、光忠さん。どうか息災で、お元気で』


待って、待ってよ。僕は、この人となんて暮らしたくないんだ。
どうして、僕は彼と、知らない人と、ずっと暮らさなくてはいけないの?
意味が分からない。誰か助けてよ。