和泉 小夜
2021-10-26 04:33:21
3126文字
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大海嘯に沈む(光忠が長谷部を探しに行くパターン)

大体タイトルと注意書きに集約されてる気がする。お供はコレ→https://www.youtube.com/watch?v=0KpXr0YaoA8

昔々、恋人と海に行った時、恋人が海嘯に流されてしまった。
何年も探したけれど、ずっと行方不明で。結局、彼の死亡届が提出されてしまった。
僕は彼を諦め切れなくて、ひとりでずっと彼を探していた。

そんなことをずっと続けていたら、二人旅をしている少年と逢った。
弟くんかな、と思った方がお兄さんらしくて。ちょっとだけ驚いた。
お兄さんの貞宗くんは笑っていたけれど、弟の廣光くんは溜息を吐いていた。

お兄さんは最近この辺りを歩いているみたいだけれど、何か探しているの?と、聞かれた。
実は、と、何も知らないであろう二人に話した。
結局は誰かに吐き出したかったのかもしれない、なんて思いながら。

二人は笑わずに真面目に聞いてくれて、そうだったの、つらかったね、と。
貞宗くんは僕に優しい言葉を掛けて、頭を撫でてくれた。

『ねぇ、好い物が在るんだけれど』と、貞宗くんが僕に言う。
『運命の出会いを信じるのであれば、此れを付けて此の辺りを散策してみて』と、
ひとつのブレスレットを差し出してきた。
そのブレスレットには、真珠や宝石が付いていて、とても綺麗だった。

『此れはね、運命の人と出会わせて呉れるアクセサリーなんだ』
『運命の相手なら、死んだ相手にも逢わせて呉れるよ』
『お金は要らないけれど、貴方は此れに何を賭けられる?』
と、意味の分からないことを聞かれた。

廣光くんは止めているみたいだけれど、貞宗くんは無視をしている。

『貴方の捜し人が、貴方の運命の相手なら。此れを使えば必ず逢えるじゃない』
『だから、もし。其の人を運命の相手と信じるならば。此れを使うに何を賭ける?』
『お金なんて要らない。俺が欲しいのはもっと価値の在るものだから』
『其れは屹度、貴方の役に立つよ。だからどうかな?』

例えば貞宗くんは、何が欲しいのだろうか。
お金は価値が無い、みたいなことを言っているけれど。

『選べるのであれば、貴方が付けている其のネックレスが欲しいな』
随分と昔に買った安物だけれどいいのかなと思いながら、そのネックレスを渡す。

『折角だから貴方が歩くべき方向も教えてあげよう。此の道を真直ぐ行くと喫茶店が在る』
『其処に入って、珈琲やら紅茶やらを頼むと好い。迚も美味しいから』
『それじゃあね、光忠さん。またね』

そう言って貞宗くんは、廣光くんを連れて去ってしまった。
そういえば名前なんて教えていないのに、どうして僕の名前を知っているのだろうか。