和泉 小夜
2018-12-20 22:36:08
2155文字
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雨の日(秋田藤四郎+太鼓鐘貞宗)

お題箱に「秋田藤四郎がどう動くか見てみたい」と頂いていたので書いた代物。
ひっどい。


出口は近いように見えて遠い。
幾ら歩いても、走っても近付けない。
段々と息が切れてきた。でも、止まってはいけない。
止まったら、飲み込まれてしまうから。
後ろから秋田藤四郎の声が聞こえる。
振り向いたら、常世へは二度と戻れない。振り向かずに走る。

もう何時間も歩き、走った気がする。
出口は全く近くならない。
最初は普通だった秋田藤四郎の声も、次第に叫び声やら泣き声に変わっていく。
もう諦めかけた瞬間、連れ二振の声が聞こえた。
『貞!』
『貞ちゃん!』

腕を前に引かれ、抱き寄せられる。
よく見ると、二振とも、本体を構えていた。
振り返ると、秋田藤四郎が、此世のものとは思えぬ表情をして立っている。
何を言っているかは聞こえない。
だが、怨み言だろうということは容易に推測できる。
暫くすると、秋田藤四郎は消えてしまった。