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数日後、誕生日プレゼントのお礼がてらナタルを連れてモルゲンレーテに来たハインラインはチャンドラを本社ビルロビーのカフェに呼び出した。チャンドラとの共通の話題はノイマンだ。
イラついて部下を怒鳴っているところを見られたが、その部下にフォローを入れてくれたり、スマートに差し入れを持ってきてくれる。
記念日や誕生日をきちんとできなくても怒らずおおらかだし、要所要所で声に出して想いを伝えてくれる。
誘い方も妖艶。ベッドの中でも最高。どこまでもハインラインを甘やかしてくるからダメになりそう。
…という話を、ナタルを膝に乗せて赤ちゃん用の米煎餅を食べさせながら熱く語った。
チャンドラもカフェ自慢のミルクレープをコーヒーのお供に食べながら、ウンウン頷いて聞いてくれた。
「可愛いと言われたのは記憶にある限り初めてだったんだが。アーニーに言われたからか全然嫌ではなくて、もう
…何というか
…胸がギュンとしたというか
…完全に不整脈だった!」
「色気のない言い方すんなよ。ときめいちゃったんだろ」
「うぐっ。そうとも言います。もう、アーニーがカッコ良すぎて脳のシワが消えてプリンになったような感覚に陥った
…」
「ははは! バカだな、アルバート。やっと気づいたのか? ノイマンは魔性の男だぞ」
「魔性の男!?」
「あいつそういうこと息をするようにやるからなぁ。人誑しなんだ」
「どう言うことだ!?」
「基本的に優しいヤツだし、偉そうにしないじゃん。そういう男は貴重だぞ。それでいて大西洋連邦からの亡命者なのにオーブでもコンパスでも出世しただろ。軍人としても有能だし、カガリとも親交があって将来有望。コンパス時代の部下だったユリーが言うには見た目が普通なのもポイント高いらしいんだ。頑張れば落とせるかも
…?って思える、結婚を視野に入れた本気交際向きの男らしい。バレンタインのチョコの数えぐかったなぁ」
「何
…だと
…? 本人にその気がなくても誰彼構わずたらし込んでくる可能性があるということじゃないか。不安なんだが!?」
ハインラインは改めてノイマンのハイスペックぶりをチャンドラから説明され、そのモテっぷりを聞いて愕然とした。
元々恋愛対象は女性のみだったノイマンだ。若くて綺麗な女性に言い寄られたら奪われてしまいかねないのではと不安が募る。
ナタルを抱きしめる手に無意識に力が籠った。
「最近は落ち着いたらしいけど、二十代後半はアホみたいにモテてたし、自分はいつも一緒にいたから彼女と勘違いされて逆恨みで格納庫裏とか呼び出されて別れろって脅されるし。いや〜付き合ってないから別れるも何も無いっつーのに全然話通じない女ばっかでさぁ。アレはヤバかった」
「そんなことが
…?」
「つっても、あの頃のノイマンは恋愛する余裕は無かったんで全部断ってたみたいだけど」
「バジルール女史を失ったトラウマですか」
「そ。だけどアルバートはそんなノイマンに体当たりで突っ込んで行って新しいアークエンジェル貢いだり押しかけ同棲したり努力と根性だったよなぁ」
チャンドラが笑って言ってくれたのでハインラインはホッとした。
「ありがとうチャンドラ
…」
「あはは、アルバートの非常識さがノイマンの心に響いたってことだよ。なんて言っても貢いだ額がケタ違いだよ
…やっぱ、ノイマンにはアルバートしかいないよ!」
「確かに。そんなつもりはなかったが貢いだと言われたらそういう風にも取れる。だとしたらそれだけは絶対誰にも負けない!」
ハインラインは自分の魅力の中で才能と財力が抜きん出て誇れる部分だと自負していたのでガッツポーズで言い切った。
ノイマンが一番大切にしている友人からのお墨付きほど心強いものはない。
…というママないしパパ友同士の忌憚ないやり取りをモルゲンレーテの本社ビル一階ロビーのカフェスペースでしていたので周囲は騒然となる。
「チャンドラ博士がハインライン博士をバカ呼ばわりしたぞ
…!」
「でもハインライン博士、嬉しそうだぞ!? 何が起こってるんだ?」
「貢いだ
…? 押し掛け同棲!?」
パワーワード連発井戸端会議の内容は尾鰭背鰭のついた噂話となり光の速さで広まった。
その結果、ハインラインがオーブに帰化してモルゲンレーテに入社する可能性や、チャンドラがモルゲンレーテを退社してハインラインの研究所に入るのではないかという憶測が飛び交い、プラント、オーブの株価が大混乱する事件となった。
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