木蔦(キヅタ)
2021-03-14 19:54:31
13711文字
Public
 

嵌られて孤立するまんばの話【ちょぎくに】






起きて極んばを見ると背を向けていた。顔を見ようとしても逸らされる。無理矢理したのを怒ってるようだった。

少しでも機嫌を取るため、朝ごはんを取りに行く。

「国広、ごはんだよ。お前の好きな和食だ」
「そこ置いておいてくれ」

素っ気ない。

「あと、早く出てってほしい」

やっぱり怒ってるし嫌われてる……
自分のご飯を持って、とぼどぼ自室へ。

無計画に事を進めるんじゃなかったと後悔する。絶対嫌われた。

なんとか挽回すべく、あれこれ打開策を考える。
布んばと共に執務室へ向かう。布んばはなぜか調子が悪そう。よろよろしてる。
「変なものでも食べたのか」
「いやなんでもない……

廊下でばったり極んばと二振り目と会う。戦装束だからあちらは出陣らしい。極んばと目が合うが、嫌そうに顔を歪められる。

……行くぞ」
「あ、初期刀くん??」

今の反応はちょっとショックだった。

二振り目は「じゃあ」とニコッと笑って、極んばを追っていった。心なしか隣の布んばが肩を震わせ、後ろに引いたように見えた。

ふたりして、執務室でため息。
「おい、手が止まってるぞ」
「そっちこそ」

こいつ一丁前に悩みとかあるのか、また俺の国広を嵌めようとか考えてないよな?とじろじろみる。

なんだか今日は憂いを帯びた表情。目も腫れてる。

「写しくんもう少ししっかりしてくれないかな。ひとりでこういう仕事できるようになれば、二振り目とのトレードを主に進言するんだけど?」
その言葉に布んばがびくっとする。

「いらない!俺は本歌とがいい!」
「はぁぁ??」

俺が困るんだが!と思う。長義は極んばと一緒にいたい。

「二振り目といたら俺がタヒんでしまう!」

真っ赤な顔でそう言うから、なるほど、と思った。恋しすぎて、ドキドキして苦しいのだろう。うぶなことだ。
そして極んばも自分に対してこうであればなと思う。
朝の態度も、廊下での態度も、
頬を染め、恥ずかしがって目を逸らし「だって、顔なんて、見れない!」と……

イイ……

違う、国広に嫌われた挽回策を考えねばならなかった、と思考を戻す。

「俺がタヒんだら二振り目が犯人だと思ってくれ!」
「そんな大袈裟な」
「大袈裟じゃない!ヤりコロされる!」
「槍?それは大変だなぁ」
「本歌!大変だと思ってないだろ!」

山姥切国広は食欲旺盛だから、ひとまず、おやつで釣る作戦で行こう。一押しの大福屋で……

そうして午前は過ぎて行った。


午後、仕事にケリを付け、極んばの所を訪れる。極んばは昼前に出陣先から帰ってきてるので、部屋にいるはず。

手には茶請けと鶯丸に選んでもらった深蒸し緑茶。

「国広、入っても良い?」
……何か用だろうか」

いいぞ、じゃないことにショック

「おやつがあるんだけど、一緒にどうかな」
さすがに食べ物を挙げられたら断られないはず。
……しょ、食欲がないから、いらない」
「食欲がない!?」
部屋に押し入る。
「お前が食欲ないなんて病気じゃ??また写しくんに何か言われたのか?」
「ひゃ!そ、そんなんじゃない!勝手に入ってくるな!」
「いやおかしい!朝もちゃんと食べたのか?」
「た、たべた!だからそんなに近づくな!」
極んばが真っ赤でぷるぷる震えてる。

ふと気づく。長義は極んばの肩を抱き、押し倒さんばかりに迫ってる状況。
困ったように眉を顰め、潤んだ瞳が長義を見つめてる。

「い、いい加減離れてくれ!」

バンッと突き飛ばされる。(ちなみにお茶は部屋に入った際、机に置いたので無事)

極んばがうろうろと所在なさげに視線を彷徨わせる。顔はまだ真っ赤。

これは……

「で、出てってくれ!あんたと話すことはない!」
「いやだ、出てかない」

極んばの手を取りぎゅっと握る。極んばは必死で顔を逸らす。

「顔、見せてほしい」
「いやだ出てけ」
「国広」

極んばは観念したのか、渋々顔を向ける。しかし俯き加減。チラチラ長義を見る。

「なんで、顔見せたくないの?」
「嫌だからだ」
「何が?俺が?」
「う……。あんたに顔を見られるのが、だ!」
「なんで、嫌なの?」
「は……

蚊の鳴くような小さい声で「恥ずかしいからだ」と聞こえた。

照れ隠し?

長義は内心にっこりする。
「恥ずかしくて俺は避けられてたのか。あんな態度取られて傷ついたな」
「!」
極んばがパッと顔を上げる。
「す、すまない、別にあんたを傷つけたかったわけじゃないんだ!」
内心うんうんと頷く。
「急なことだったからどうしたらいいかわからなくて、動揺してしまったんだ」
うんうん
「今回のことは胸の奥深くに閉まって、なかったことにするし、あんたとはもう関わらないから!」

は?


途中まで雰囲気良かったのになぜ絶縁宣言に繋がる?

「な、なんで胸の奥深くに仕舞っちゃうの。しかも関わらないって何?なかったことには絶対しないよ」
「え、なんでだ……
このチャンスを逃してなるものか。
「絶対に何か食い違いがある。お前は口下手なんだから、ちゃんと言わなきゃ伝わらないよ。ね?思ってること全部話して。」

極んばは口をしばらく噤んだ後、ぽつりぽつりと話し始める。

「け、今朝、気づいてしまったんだ……
「何を?」
「俺は、あんたが好きだと」

桜がブワァと舞う。両想い、嬉しい。

「恥ずかしすぎて、どんな顔すればいいかわからなくて……

だから今朝照れ隠しであんな態度だったのかと納得。

しかしなぜ絶縁宣言なのか、理解できない。
「じゃあなんで、胸に仕舞っとくの?」
「俺に好かれるなんて困るだろ。だから」
「待って待って、昨夜何されたかわかってる!?」
……?何されたか??」

わかってない!!Σ(=Д=;)

「あれは本来恋仲の者がすることだ!俺はそういうことをお前としたいって思ってる!」
「え、それって!長義、あんた」

ようやくわかってくれたらしい。

「正気か……?頭大丈夫か……??」
「なんで神経疑われてるの」

そして極んばを説得し、恋仲になり、一件落着した。

お疲れ様でした!長いことお付き合い頂きありがとうございました!
本当にこれで終わりです!


■どうでもいい設定
・布んばは二振り目にひんひん言わされてる。逃げては捕まり、威嚇しては調教され、助けを求めれば囲われ……
・(一振り目長義くんの策略により)そのうち補佐が交代する。そうすると勤務中も……
・本歌は暗転した時点で、まんばに自分の想いは知ってもらえたと思っていた。好意を態度で示したつもり。まさか伝わってなかったとは思いもしなかった。
※二振り目のえちち小説書きました。18歳未満の方はご遠慮ください。パスワードは投稿日(6桁)です。
https://privatter.net/p/7290795