バスツアー①おひとり様限定バスツアーに参加するまんばの話
https://privatter.net/p/6746264
バスツアー②親友二振りで参加したまんば達の話
https://privatter.net/p/6792602
※番号はありますが単発の話。単に『怪しげなバスツアーに参加する』という共通設定のみ。
※他の刀←んば表現があります。恋ではありません。
まんばは婚活バスツアーというものに参加する。理由はまんばの所が弱小本丸だからだ。
まんばの本丸はできて2〜3年だが、刀剣の数は少なく、お金もそんなにない。資材がなかなか集まらず、任務がこなせないのが原因だ。
レア刀剣もまったくいない。
弱小のうえに、貧乏で成績不信だった。
そこで審神者とまんばは考えた。他からレア刀剣を譲り受けることはできないか、と。
レアは他の刀より少しだけ能力値が高いことが多い。戦力になるだろう。
しかし交換ならまだしも譲渡となると難しい。
レア同士の交換はできるだろうが、何の見返りもないのにレアを提供してくれるわけがない。
だからそんな時、目に入ったのがテレビでやっていた特集だった。
『別本丸で遠恋してたんですけど、ついにこの前結婚しました』
別本丸恋愛の特集をやっていて、今は結婚のために本丸移籍をした刀のインタビューだった。
『なぜ三日月さんが移籍なさったんですか?』
三日月宗近と言えばレアだ。天下五剣だ。審神者が早々に離すわけがない。なのになぜ彼が移籍したのか。相手は三日月よりもレア度が低い刀剣だ。
『それは俺が二振り目だからな』
衝撃を受けた。
長男より次男!一振り目より二振り目!
レアだとしても二振り目なら譲渡の対象になる!
審神者とまんばはコレダ!と考えた。
そして早速婚活に身を乗り出したのだった。
でも婚活はかなりお金がかかる。どこかの紹介事業に頼むと登録料、パーティー参加料、紹介料
…莫大な金がいる。
貧乏本丸にそんな金を出す余裕はない。
そんな時に格安のバスツアーが目に入った。裏には参加者の体験談が載っている。運命の人と出会ってる参加者が多いようだ。
レア刀剣は割引対象と書かれている。まんばは残念ながらレアではないがこれだけ安いなら参加しない手はない。しかし意外にも連絡するとまんばは半額となった。なぜかわからないがラッキー。
こうして、まんばはレア刀剣を捕まえるため、ツアーに参加することになったのだ。
まんばは前日身体を磨き上げ、当日とびっきりオシャレ(良い布を羽織っただけ)をしてツアーに参加した。貧乏だが、それ故に少ない予算でやりくりするのは長けてる。限られた物を使い美しく魅せるのはお手の物だ(加州が)
集合場所に向かう。たくさんの刀達が集まっている。時間はまだだが、戦いは既に始まっている。まんばは燃える。
なぜかみんなまんばを遠巻きに見て、近づいてこない。みんな人見知りなのかと思う。
チラチラとレア刀剣を探す。
(天下五剣
……、源氏
……、吉光の刀
…、結構レア多いな
……)
誰に狙いを定めるか、と考えたところで、ぽんっと肩を叩かれた。
振り向くと長義がいる。
「お前が参加してるなんて珍しいね?」
(山姥切長義ーー俺の本歌、入手は限られているが、レア度は低い。機動値は高いが、他の能力はさほど俺と変わらない
……。うちにはいないが、今は強い刀がほしい
……)
「
……本歌もこんなツアーに参加するんだな」
「まぁね」
「悪いが俺の事は放っておいてほしい。俺は真剣に参加しようと思ってるんだ」
「真剣?婚活を?」
「もちろん」
「俺なんかどう?」
そんなことを言われてまんばはびっくりする。本歌がまんばにその気があるなんて思いもしなかった。
「いや、俺は強い男が好みだから」
「俺が弱いって?これでもカンストしてるし、本丸では近侍を務めてるんだけど?」
(本丸所属?しかも近侍なんて、婿を取れないじゃないか、レア度以前に絶対ダメだ!)
「長男はダメだ」
「は?」
「あんたは眼中にない、他をあたってくれ」
まんばは素っ気なく言うと、長義の側から離れる。
バスに乗り込む。隣はまさにさっき別れたばかりの長義だった。うんざりする。
車内を確認すると何振りか長義がいる。こういうことに興味なさそうなのに結構いる。しかもチラチラまんばのことを見てる。
まんばはその視線を無視し、席に着く。
「よろしくね」
「
……ああ」
その後バスは山方面へ。山の麓で降り、ロープウェイで頂上まで登る。山からの景色を眺めながらみんなで昼食。
まんばはそこで一緒に乗った刀と仲良くなる。ご飯も隣同士。
(これは良い雰囲気
…!)
レア度も申し分ない、二振り目、条件はとてもいい。
食後も頂上付近の探索やおみやげ購入の時間があったので、その刀と周辺を回ろうとしたが、まんばは急にがくんと後ろに引かれる。茂みの中へ。
「あれ?」
先程まで一緒にいた刀がまんばをきょろきょろ探す。
まんばは口を塞がれて、声が出せない。
後ろを見ると長義だった。なんでこんなことを、とまんばは思う。
まんばと一緒にいた刀は、他の刀に呼ばれてどこかへ行ってしまった。
「っぷはぁ!お、お前の所為でチャンスを不意にしたじゃないか!どうしてくれるんだ!」
「あんなやつ、お前に合わないよ」
「わからないだろ!」
まんばはプンスカ。長義から離れようとするも、まとわりついてくる。邪魔。
ちなみに余談だけどこの辺りから長義はまんばのことを「俺の写し」呼ばわりするようになる。これは山姥切長義なりの「マイスイートハニー」(違う)
…
「俺の」って他に牽制かけたいだけ。
まんばにとっては「写しの分際なんだから場を弁えよ」としか聞こえない。
あいつの所為で他の刀が寄ってこない!プンスカ。1日目を終えてまんばは部屋で一人怒る。
(風呂でも行こ
…)
まんばは大浴場へ。
その途中、他の刀がまんばの事を噂してるのを聞いてしまう。
「あの山姥切国広、美刃だよな!」
「だよなぁ
……」
山姥切国広は今回ひとりしか参加してない。自分のことだ、と思ってドキドキ
…。おしゃれ()してきてよかった
…!
物陰に隠れて聞き耳を立てる。
しかしその話は思わぬ方向へ行く。
「山姥切国広はチョロいらしい」という話が出る。
|||ω・`)!?
「確かにちょっと声かけただけでも頬染めてた」とか「カップリング成立率高いって聞いた」とか口々に言ってる
まんばはバカにされてる感を受けてプルプル。
風呂は出直そうと一旦部屋に戻る。
「主!こんなツアーじゃ婿は見つからない!」
審神者に連絡する。
『でも格安で婚活できるのはそれくらいしかなかったし
…』
「安いだけで碌なのがいない!」
『でもこのままだとレア刀剣迎えられないよ?』
「ううう
……」
まんばは迷う。折角旅費を捻出したのに、それが無駄になる。
『多少性格が合わなくても、強い子が来てくれるといいな。上手く引っ掛けてきて』
――引っ掛ける?
まんばは審神者の言葉に違和感を覚える。
そして散々愚痴った後、風呂へ。たまたま他の参加者の一期一振と会う。なんやかんやで一緒に入る。
「山姥切殿はどうして参加なさったんですか?」
「それは」
強い刀を貰い受けたいため、とは言えず口籠る。
「あ、込み入った事を聞いて申し訳ない。無理に言う必要はありませんよ」
「
……そういう一期は?」
「うちの本丸では結構恋仲の者が多いのです。私は独り身なので、純粋に彼らが羨ましくて
…。あんな風に愛し合える相手と出会えたらな、と。」
それを聞いてまんばは衝撃を受ける。先程の違和感もわかってしまった。
そんな誠実な想いで来ている刀がいるのに、自分や彼らのような意図に沿わない者が参加していていいのだろうか。
審神者の引っ掛ける、という言葉は『恋仲だと錯覚させて、騙して本丸に連れてくる』というニュアンスだ。一期のような純粋な想いで来ている者がいるのに、そんな不誠実なことをしていいのだろうか
…?
風呂から出て一期と別れた後、まんばは悶々として、外を散歩する。
「何してるの?一人歩きは危険だよ」
「ひっ!ほ、本歌
…!」
背後から声をかけられ、びくっとする。
「本歌こそ、なんでこんなところに
…!」
「見回り」
「何の?」
肩をすくめて答えない。
「お前は?どうしたの?眠れない?」
「あ、いや、ちょっと考え事したくて
…。まとまらなくて
……」
「どうかした?」
まんばは、うーんと思いながらも、長義にはいいか、と思う。彼は眼中にないので、今考えている事を話してドン引きされても、軽蔑されても平気だ。
かくかくしかじか。
自分の目的は伏せて、他の参加者の気持ちと自分の気持ちの齟齬を感じ、なんだか目的を見失ってしまったと話す。
「だから、不誠実だったなって
……」
「お前は優しい子だね」
「別に
…」
「これからそういうつもりで参加すればいいんじゃないかな」
「
……」
しかしまんばには強い刀を本丸に招くという目的がある。まんばと恋仲になる相手がレアなら問題ないが、そうでなければ審神者の命に背くことになる。
参加費もドブに捨てることになる。
「そんなに思い詰めなくていいんだよ」
長義はまんばをぎゅっと抱きしめて、幼な子にやるように頭をポンポンとした。
まんばは次の日から考えを改める。表面上は何も変わってないが、条件などではなく、内面を見るようにした。もちろん、審神者の命があるため、条件を無視することはできないが。
まんばは他人と話すのは苦手だが、今回限りと思い、積極的に話しかけた。
が。
「俺の写しが世話かけたね」
必ず長義に邪魔される。
「あんたと話すことはない!あんまり俺に関わるな!」
「俺には誠実に接してくれないの?」
「あんたに向ける誠実さなんていちっっミリもない!」
長義とギャーギャー喧嘩してるといつのまにか周りはいなくなってる。
正直長義と話したくない。彼は眼中にない。あってはいけない。本丸所属だし、一振り目だし、カンストだし、しかも近侍だし、何一つ条件を満たしてない。だからきっと審神者は渋い顔をする。
本丸に移籍できない刀と恋に落ちても、反対されるだけだし、不毛だ。
だけど
どうしてこんなに気になるのか。
好きになってはいけない、そう思うたびに無理してる自分に気づく。そんなことを考える時点で好きになりかけてる。おかしい。
惹かれる気持ちとダメだと言う気持ちがせめぎ合う。
「ううう
……」
まんばは頭を抱えた。ついに今日は最終日だ。誰かを選ばなければならない。
まんばは運営スタッフから用紙を渡される。いいなと思った相手の名前を書き、提出する。もしもカップリングが成立したら、同室になれる。
きっと長義は自分の名前を書く。自意識過剰かもしれないが、よそ見もせずまんばばかり構っていたのでさすがにわかる。
「どうしたものかな
…」
夜、まんばはひとり部屋にいた。
紙には長義の名前を書かなかった。
それは本丸を裏切る行為だし、審神者との約束を違えたくなかった。その代わり他の刀の名前も書かなかった。まんばが本気で恋がしてもいいと思える相手はいなかった。
(折角お金を出してもらったが、主にはダメだったと謝ろう
…)
そう思い、荷造りをする。明日は帰らなければならない。
しかしまんばの部屋に来客がある。
それは運営だった。
部屋を移動するように言われる。まんばは人違いではないかと主張するが、運営は間違いないと言われる。
まんばは納得がいかないながらも、ちょうどまとめてあった荷物を持ち移動する。
部屋に入ると長義が待ってて、にこりと笑う。
「やあ、待ってたよ」
「どうして
…」
「お前が白紙で出すかもしれない事は想定済みだったからね。」
長義が近づいてきて、まんばに壁ドンする。
「好きだよ。お前の返事が聞きたい」
「お、俺は、
………」
まんばは俯いて、どう答えたものか迷った挙句、絞り出すように言う。
「俺はあんたを選ぶつもりはない
……」
まんばは審神者を裏切れない。長義を選ぶ事はできない。
「俺が聞いてるのは、好きか嫌いか、だ」
まんばは答えられなくて、目を逸らす。
逸らした先には布団が一組置いてあって、まんばは驚く。
まさかこれから抱かれるのか、と思うと赤くなったり、青くなったり。
例えばここで長義を受け入れてしまったら抱かれるのだろうか、と想像し、まんばは答える。
「す、好きじゃない!」
「ふーん?」
まんばは布団に引き倒される。
「さすがに傷ついたな」
「えっ!」
長義が悲しそうな顔をする。
今までずっと拒否してきたし、今も酷い言い方をしてしまった。まんばは長義に一切好意を示してないため、本気で嫌っていると思うかもしれない。
まんばは罪悪感でズキスギと心を痛める。
「好きじゃないなら、好きになって」
まんばに覆い被さって来てキスをする。まんばはびっくりしつつも、嫌ではない自分がいることを再確認する。やはり長義に惹かれている。しかしそんなことはあってはいけない。
まんばは胸を押し返す。
「だめだ、それはいけない
……」
「嫌なら本気で抵抗して」
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