木蔦(キヅタ)
2019-02-16 03:28:24
9362文字
Public ちょぎくに シリアス
 

双子審神者の初期刀【ちょぎくに】



相互片想いVer

まんばは本歌さんに恋していた。
しかし彼を前にすると憎まれ口を叩いてしまう。
こんなんじゃ嫌われる(というかもう嫌われてる)と思いつつも、本丸間の仲の悪さもあり、素直になることはできない。

他の仲間たちはそんなことを知らず煽る煽る。
「まんばちゃん、もっとギタギタにしてやればよかったのに!」
「なんであんなのが向こうの本丸の近侍なんでしょうね」
……(´・ω・`)」

そんな感じでいつも喧嘩していたがある日を境に長義の態度が軟化する。
喧嘩をふっかけても乗ってこない。
「今日も性格悪そうな面してるな、いやそもそも悪かったな。」
「まぁな」
「は!?あんた悪いものでも食べたのか?」
「まさか心配してるのか?」
「いや……

まるで自分に興味を失ったかのように思えて少し寂しく思っていた。
そしてちょうどその頃政府に指摘されたとかで本丸間の親睦会が執り行われる。
何でも、時間遡行軍の勢力が強まっているとかで、連携を――特にこの本丸は隣り合っているため本丸間をスムーズにとご指摘があったそうだ。
そのため初めて執り行われるこの親睦会にみんないい意味でも悪い意味でもそわそわしていた。

審神者の雰囲気は険悪だが、刀剣たちは意外にも和気あいあいとしていた。
結果から言えば親睦会はつつがなく終わった。
まんばはこれは長義と和解するチャンスだと気付いていた。
だけど小心者のまんばは話しかけるどころか、近づくことも目を向けることもできなかった。

親睦会が終わった頃から長義の態度は以前に戻り、再びまんばに喧嘩を吹っかけてくるようになった。
でもまんばは以前と同じように喧嘩することはできなかった。
少し前の余所余所しい長義の態度で、距離を思い知らされたようだった。
そもそも同じ敷地内とは言え、別本丸の、しかも仲の悪い刀剣なんだから、距離があって当然だった。


まんばの気持ちとは裏腹に、二つの本丸の刀剣達は以前よりも親しげになっていた。
それは良いことではあったが、置いてけぼりな感じがして少し寂しかった。
同時に、いまだに兄弟間の悪い審神者に親近感を覚え、自分が側にいなくては、という想いを強めた。


ある日、本丸が時間遡行軍の襲撃に遭う。
以前から政府より注意喚起は出されていた。
しかしまさかここがという思いだった。

弟本丸では練度の低い者が多い。
全員が同じ練度になるよう平等に出陣しているため、全体的に練度は低かった。
しかしまんばは近侍であり、何かと出陣せざる得ないことも多かったため、一振りだけ練度が突出している。
みんなは審神者を守るよう指示し、自分は時間遡行軍を殲滅しに向かった。

弟本丸がこんな状態だから、兄本丸も同様に襲われてるに違いない。
兄本丸では練度差が酷いので、強い者はまんばよりも練度が高いが、弱い者は弟本丸の刀剣より遥かに下だった。
練度の低い者を思うと、兄本丸の方がまずい気がしていた。
折れる刀がいないといい、とまんばは願う。
まんばは敵を確実に屠っていったが、一振りで抱え込むには負担は大き過ぎて、徐々に負傷・疲弊して行った。



ここ、お気付きですか?
『練度の高い者はまんばよりも高い。』
兄本丸で一番練度高いの誰でしょうね??





まんばは敵の相手を一挙に担い、徐々に疲弊して行った。
身体の節々が痛く、刀を持つ手にも力が入らない。

自分が折れたらどうなるだろうかと考える。
弟本丸の刀達は練度が低いと言ってもある程度鍛えているので、審神者を守りきることはできると確信していた。
審神者が側にいればすぐに傷もなおせるし。
政府が助けにくる方が先か、それとも兄本丸の精鋭部隊が殲滅する方が先か。
とりあえず、審神者は助かるし、刀剣達も審神者から離れなければ折れる心配はない。

ああ、良かった、折れるのが自分だけで、と思った。
敵からの攻撃にもう避ける力も刀を受けることもできないまんばは、破壊を覚悟したんだけど、もちろんここで現れるのが本歌さんで、まんばのこと守ってくれるんだよ。





本歌さんサイドな。

本歌さんはまんばとは仲が悪い。
だけどある日これは恋愛的な感情で、好きな子に意地悪したい小学生男子の態度だということを自覚する。
自覚したことで、絶対にまんばの事を手に入れる、誰にも渡さないし、審神者にだって邪魔させないという野望を抱く。
自覚後すぐはどういう態度を取ればいいかどぎまぎしていたが、まんばのことを手に入れると心に決めてからは迷いがなくなった。
そしてある計画を立てる。

このまま本丸同士の仲が悪いままではまんばを口説き落としても手に入れられない。
だから本丸同士を和解させるために一計を案じる。
政府から指摘があったと偽の報告をし、親睦会を企画した。
その時まんばとは話せなかったが、目的は本丸全体の和解なので、大成功だと思っている。
そしてその後も本丸間の壁が薄くなるよう、和解に努め、それは効果が出ているように見えた。

しかしまんばの様子がおかしいから、どうしたのかってちょっと心配してた。
いずれ問い詰めないとなって思ってた矢先、時間遡行軍による襲撃を受ける。

本歌さん率いる精鋭部隊は3部隊分いる。
審神者と練度の低い刀剣達を一箇所にまとめ、数振りでそこを守るよう指示。
他の刀剣達は3振りでグループ行動するようにし、中傷になったら審神者の元へ戻るように言う。
自分は単独で弟本丸の元へ。

そこでまんばくんが大ピンチなのを発見し助ける。
破壊寸前だったので間に合ったことは奇跡だと思っている。

時間遡行軍の目に触れないように、倉庫に隠れる。

「お前、なんで一振りなんだよ……!」
「みんなには主の側にいてもらってる。」
「練度低いとは言え仲間の事もっと信用しろよ!」
「してるから主のことをお願いしたんだが……。」
「お前、ほんっと危なっかしい。人の身がいくつあっても足りない。」
「弱 く て 悪 か っ た な」
「違う、俺が折れそう。」
「はぁ?」
「お前になんかあったらって考えただけで折れそう。人の身は厄介だな。」
「全然意味わからん。なんであんたが折れるんだ。」
「お前のこと、何より大切だって、失いたくないって思ってるからに決まってるだろ!」
「は!?た、大切!?失いたくない!?な、ななな///」

あれ、おかしいな、と思った本歌さん。
普通の反応は「放っておいてくれ」「あんたには関係ない」「他本丸の刀剣が大切?ご慈悲が深いんだな本歌様は。」という突き放したものでは、と思う。
もしやこれは脈ありなのでは、と考える。

本歌さんは何が何でもまんばのことは手に入れたい。



まんばサイドに戻るな。

まんばは大好きな本歌さんに助けられて、最期に一目見えただけで嬉しいとか思ってた。
まんばは重症なんだけど、それを悟られないようにしてる。
写しなんて捨て置けばいい精神から。

少し意識が朦朧としてるんだけど、骨髄反射的にポンポン会話できる。日課ってすごい。
しかし本歌さんから告白めいた言葉をもらって一気に覚醒する。
取り繕うこともできず、素の反応を返してしまう。


「俺はお前のこと好きだよ。」

って耳元で囁かれて脳内が爆発する。あと心臓も爆発する。
しかしそのせいで、まんば本気でやばくなる。
出血多量の所為で、今まで繋ぎ止めてた意識が一気に低下し、本気で朦朧としてくる。
このまま折れるんだ、最期に本歌に看取ってもらえて嬉しいなって思いながら、意識を手放す。




もちろん折れませんけど。

起きた時は弟審神者が目の前にいて、まんばは「あれ?折れてない??」って混乱する。
弟審神者は「長義くんが運んでくれたんだよ」って教えてくれる。
ちなみに時間遡行軍は殲滅されてる。政府から救援も来た。

「もー!まんばちゃんが中傷で運ばれてきた時はびっくりしたよ!意識ないんだもん!」って他の刀剣から言われて、驚く。
重症じゃなくて中傷??と何度も聞き返す。
確かに自分は重症だったはずなのに、とまんばは思う。


もうおわかりだと思いますが、長義くんが霊力補充してます。
本来なら流れてる審神者の霊力が異なるため受け入れにくいけど、ここは双子審神者なので、霊力も似通っていて、拒絶反応もない。
さらに本歌と写しという相性もあって、すんなり受け入れられます。


それに気づいたまんばは、今、身体に長義の霊力流れてるんだって自覚して赤面。
それを見ていた事情を知らないみんなは「?(・ω・)」


弟審神者は「とにかくお礼言いに行きなね」って菓子折りを持たせてくれる。
まんばがお礼言いに行って、でもやっぱりツンデレっぽく言っちゃって、だけど本歌さんは余裕な大人の対応してくる。
ここで、想いが通じあってハピエンなんだけど、誰も事の重大さに気づいていない。

本歌さんはまんばくんを自分のものにしたくて、それを自他共に認めさせたんだけど、実は本来の意味でも自分の物にしてる。
まんばくんが意識手放した後、自分の霊力を吹き込む事でまんばくんにマーキングしたっていう……
これは策士ですよ……山姥切長義……

これからじわじわ自分の霊力で染め上げてくんですよ、山姥切長義は。
さっきも言ったように双子審神者だし、本歌と写しだから、全然誰も気づかないわけですよ。
そして気づいた時には手遅れなわけです。


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