さもゆ
2024-12-10 00:38:59
5888文字
Public 狂戦士
 

ベルセルクまとめ

前半二つは泣きかけながら書きました。
1…旧鷹の団、ガッツ入団前のグリフィスとキャスカ。
2…旧鷹の団、キャスカ入団後のキャスカとジュドー。
3…海馬号、セルピコの「らしくない」
4…海馬号、パックの「向いてない」

2020.12.28 たまごのお粥pixiv投稿作品


海馬号、ガッツとパック。

向いてない

 



 こんな無茶な戦い方してたら、いつか死んじゃうんじゃないのかって何度も思った。
 だってオレってほんとはすごくそーいうの向いてないんだよ、そーいうのってのは、深刻~でシリアス~で血がドバーッ! って出て眉間に皺なんか寄っちゃって体が震えて震えて仕方ない感じのことね! ほら覚えてんでしょ? 忘れたとは言わせないぜ相棒、そしてオレの宿主、オレのベッチー運搬係ガッツ! そうオレたちが出会ったのは……ええと何年前だっけそこんとこはちょっともうあやふやなんだけど、仕方ねーじゃん妖精なんだからきみらとは時間の概念違うんだよ、とにかくまあ、血の滲みまくり臓物溢れまくり骨折り損のくたびれ儲けな日々をさーオレたち二人で送ってきたじゃんか?
 あーいうの大真面目に向いてなかったんだよ、オレ。だって愛しの古巣エルフヘルムはのんびりまったりこっくりこっくりしちゃうよーな最高の桃源郷なんだモン。涙とは無縁の場所だったんだぜ、流血沙汰なんてもってのほかさ!
 でもさ~だからほんと……

「良かったなァって」
「何が」
 ぺったり。ガッツの傷ついた鼻頭に跨って眉間に張りつく。眉毛の生え際を指先で弄りながら「こんなさー安心安全な船旅ができるとは思わなかったじゃん」と言ってやると、ベッドに寝そべったままのガッツは僅かに身じろいで「そーだな」と言った。夜はぐっすり眠れるし、キャスカを見守ることもできているし、何よりガッツの傍らで同じだけ戦う仲間がいる。治癒係もばっちり。パックはだらりと、大きな顔の上に四肢を投げ出した。
「最近さー、オレ、かなりお調子者できてっじゃんか?」 
「会った時からお調子者だろ」
「っまー! 失礼ですこと! 誰がオレを泣かしまくったと思ってんだよ!? オレは忘れてないぞ!」
……。ありゃテメェが勝手に泣いてたんだろーが」
「ガッツの代わりにね」
 一瞬、尻の下にある鼻からの息が止まったような気がした。
 構うもんかと言葉を続ける。
「オレ、忘れてないよ。テレジアのことも、ジルのことも。今どうしてるんだろ。笑って暮らせてたらいいなあ」
……
「だからさ、ねーガッツ、あの頃と比べたら、今はすごく良くなってるなァって思ったんだよ」
 じょりじょり、眉毛を逆向きに撫でる。こんなふうに触れるようになるまで、時間も事件もいっぱいあった。随分素直になったものだと思う。これから、妖精島に行くんだ、オレたちは。まさかこんな血臭の漂う大男を連れて故郷に戻ることになるとは、少しも想像しなかった。
 想像しなかったことの連続だったけれど、故郷に着いたら、きっとみんな、笑っている。これは想像通りになってほしい。
……なんか湿っぽくなっちゃった。やっぱオレ向いてないんだな」
 呟いて、ぶちっ、眉毛を一本引き抜いた。
 ガッツが「いっ」と驚き、パックは包帯だらけの手が伸びてくる前に羽を広げて飛び上がった。
 抜いた眉毛をぽいと捨てながら明朗に笑う。
「ってーわけで、お前にはいつかオレを泣かせた責任取ってもらうからな! 覚えとけよなー、ガッツ!」