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さもゆ
2024-12-10 00:38:59
5888文字
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狂戦士
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ベルセルクまとめ
前半二つは泣きかけながら書きました。
1…旧鷹の団、ガッツ入団前のグリフィスとキャスカ。
2…旧鷹の団、キャスカ入団後のキャスカとジュドー。
3…海馬号、セルピコの「らしくない」
4…海馬号、パックの「向いてない」
2020.12.28 たまごのお粥pixiv投稿作品
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31巻、ヴリタニス戦でガニシュカ大帝雷撃時のガッツ「頭冷やせ!」が好きすぎた結果の産物。
らしくない
――
頭冷やせ! らしくねェ! いくらお前でもオレを抱えて飛び跳ねるのは無理だろうが!
……
ですって。
生温かい潮風が戯れてくる金髪頭のなか、また同じ台詞が吹き上げられてきて、参ったなあと見張り台の縁に体重をかける。
眼下では海馬号のおおよそ全てを見渡すことができ、イシドロは今日も無賃乗船(とは言え不慮の事故じみた無賃乗船だ)でも立派な騎士であるアザンに稽古を挑んでいるし、水夫たちはあくせく仕事をしているし、ヴリタニスでの怪我がようやく癒えてきたらしいガッツは杖をついてはいるものの甲板に出られるようになっている。彼の視線を辿った先では、黒髪をたなびかせ海鳥に手を伸ばすキャスカがいる。ということは、彼女の後ろにある扉の奥ではファルネーゼがシールケから魔術を教わっていることだろう。その扉から、船首近くで航路を確かめているロデリックに視線を移し、そして最後にまたガッツへと固定した。
春めいた風は時折、刺すような冷たさをまとって肌や服までもを撫でてくる。セルピコは分かりやすく溜め息さえ吐いてしまえば、この風が自分を労わってくれることを知っていたが、何やら機嫌よさげに吹いてくる彼らをそのままにしていた。ちょうど冬の忘れ形見のような冷たい風が耳を擦って、いいですねと思う。その調子で、頭を冷やしてくれたら。
らしくねェ、ですって。
何度目か、同じ台詞が耳の奥で蘇る。雷に燃えるヴリタニス。地響きで揺れる不安定な港。
だいぶ直情型、しかもほとんどのことを反射で生きているようなあの大男に。らしくないと言われた。
そう言われるくらいには、こちらのことを分かられているということです。
「
……
参ったなあ」
何が参ったって、私もいま思い返せばらしくない行動をしかけたと反省しているところが、あんまりにも参ってしまう。全てを切り裂く強大な雷、あんなのが降り注ぐなか、考えなくったって、彼の言う通り「無理だろうが」な話なのは分かるはずだ。あの時、それを分かっていながら、私は満足に動けない大男のそばに寄って、何をしようとしたんだか。全く参る。困りもの。あれは無駄な動きだった。らしくない。
どうしたの、セルピコの呟きを拾い上げた風がそんなふうに髪を混ぜてくる。なんでもないですよ、くすぐる風に笑いかける。無理ですよねえ。いくらあなたたちの力を借りたって、ガッツさんを抱えて飛び跳ねるのは。私の背骨が折れてしまいそうです。
けれど、今後、いざとなったら、とセルピコは考えてしまう。シールケの力にも頼れない状況に陥ったら。ロデリックのように共に運んでくれる人間がいなかったら。ファルネーゼが望んだら。
あの大男を抱えて飛べるくらいの力は、つけておいた方がいいのかもしれない。
「
……
筋力差と体重差を舐めてますね、それは」
やっぱり全然、らしくない。
セルピコは生温かい風に、とうとう、もう少し冷たく吹いてくれませんか、と言葉にした。
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