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さもゆ
2024-12-06 17:44:44
8801文字
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BBB
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【血界】レオくんとお友だち/ほか
1レオくんとお友だち
2レオくんとギルベルトさんと上司組
3レオくんと堕落王
2020.12.27 たまごのお粥pixiv投稿作品
1
2
3
レオくんとギルベルトさんと上司組
ジョナサンが死んでしまった。
いや、殺されたのだ。
孫娘の前で、こちらが認知していない敵の手にかかって、ゴルフクラブで拷問のように嬲り殺された。
絶対に許さない。レオは孫娘の視点だった。そして、前まではジョナサンの視点だった。ジョナサンとして生き、孫娘を守り、幸せに暮らしていけそうなところだったのに。
ひどい。
ひどいよ、まさか
……
。
シリーズ2の操作キャラは前作の主人公の孫娘だとは聞いていたけれど、まさか、前作の主人公が目の前で殺されるなんて
――
。ゴルフクラブの殴打音のなか、孫娘を必死に操作しようとしても、ストーリーは敵に捕まり泣き喚く彼女の視点で無情にも進んでいく。
ジョナサンは殺された。
絶対に許さない。鬼畜シナリオとは知っていた。でもだってまだ序盤なのにこんなことって
……
。
「ジョナサンがこんなことで死ぬわけない
……
」
前作で、あんなに、どれだけ血だらけになろうと、孫娘のために生き抜いて来たのに。
「ひどいよ
……
」
※
「
……
ギルベルトさん。どうしたんですか、それ」
スティーブンが出社すると、既に有能な執事とその主はデスクに着いていて、まあそれはいつものことなので朝の挨拶を済ませたのだが、よくよく見ればいつものことではないものが張り付いていて足が止まった。
ギルベルトの腰にレオナルドがくっついている。
耳を澄ますとずず、と鼻を啜る音がする。くっついているというよりは、泣き縋っているらしい。
彼がこんな早朝に出社しているのも珍しいが、ギルベルトに密着しているのも珍しかった。彼は基本、パーソナルスペースが狭いが、それでも土壇場でない限りは一定の距離を保っているように思う。
「レオナルドさん」
コンバットバトラーの老翁、しかも再生者のギルベルトが、主以外に出す声にしてはやけに気遣わしげな声で年の離れすぎている少年を呼ぶ。ぐずっ、肩を揺らして鼻を啜ったレオは「ずんまぜん」と抱きついていた腕を離した。一度癖毛の頭をあやすように叩き、珈琲を淹れて参りますね、給湯室へ向かったギルベルトに、スティーブンは遅れて「あ、ありがとうございます」と礼を投げかける。レオと向き直った。
「なんだい。大号泣じゃないか」
糸目のまつ毛は濡れて束になり、まろい頬骨は赤くこすれ、乾いた鼻水が皮膚を引きつらせている。べそべそに泣いていた。
「う゛ぇッ、うええ」
声を出そうとして失敗した嘔吐くレオのそばに、それまで汗を飛ばして様子を見ていたクラウスが近寄って大きな手を右往左往させる。「れ、レオナルドくん
……
その、あまり気落ちしては。珈琲を淹れたらすぐ戻ってくるよ」その言い方は彼がなぜこうなっているか既に知っているものだった。スティーブンは益々首を傾げる。「ギルベルトさんと何かあったの?」
先ほどから、スティーブンの質問に答えようとしては、唇を震わしているだけのレオナルドは、やっと声を出すのに成功した。
「っじょ、じょなさんがッ」
「
……
ジョナサン?」
「こ、ころされたんですぅううわああああん」
「
……
、
……
友だちか?」
「ちがうけどっおれはジョナサンがッ好きだったァあああ」
ぎゃああ、怪獣の喚き声並みに泣き出したレオはそのままそばのクラウスに激突してひしとしがみついた。結構な勢いでしがみつかれたクラウスは少しもよろめくことのない代わりに、ぴゃっぴゃと汗を飛ばして慌てている。「れ、レオ」「おれがッ! おれがキャシーをあそこに連れて行ったからっ、せっかくジョナサンと二人でっ、これからは穏やかに暮らそうねって
……
! なのにっ急にわけ分かんねえ敵が出て来てキャシーの前でジョナサンは殺されるししかもその敵視点もプレイさせやがった! ちくしょうあのゲーム神だけど悪魔だ! 魔王だ! 地獄だァあああ゛あ゛」
――
ずずッ!! 「
……
絶対仇を取ってやる
……
敵の事情なんか知るか
……
俺はジョナサンとキャシーが好きだったんだ
……
絶対許さねえ
……
」「レオ
……
」
「
…………
」スティーブンは寄せていた眉を閃きで跳ね上げた。「あっゲームの話か!?」
「ただのゲームじゃないんすよぉ!」間髪容れずレオが叫び返す。「そのシナリオ上、前作と比べられて評価は二分してるんすけどあれは紛れもなく神ゲー
……
!!!! でもマジ鬼畜なんす!! 前作ファンの心を的確に抉りに来てる
……
!!!」
「はあ」
「そんでっ、う! ジョナサンがっ! ジョナサンが
……
ギルベルトさんに似てて
……
」
「えーと。主人公か?」
「前作の主人公なんす。俺は彼を一生懸命プレイして、彼の孫娘を守り切ったんですよ。で、今作はその孫娘が主人公で、だけど、孫娘視点で、
……
ジョナサンが目の前で殺された
……
」
「
……
うわあ。それは、その、残酷だな」
「ぐす
……
っ、そんなこと起きないって、思ってたんす」
湿り気を帯びまくった声が、クラウスの腹部から飛んでくる。
「絶対、死なないって
……
そしたら、なんかもっと、ギルベルトさんと重ね合わせちゃって
……
俺めちゃくちゃギルベルトさんに甘えてたし、ライブラの皆さんも俺なんかよりずっと不死身なのに、でも、再生者でもこの街じゃ死ぬかもしれないって思ったら
……
っ」
スティーブンは言葉を慎重に選び取ろうとして、数秒押し黙ったが、結局慎重さも何もない言葉が飛び出した。「ゲームひとつでそこまで考えるの凄いな、きみ」
ぎゃん! 更に泣き声を上げるレオをクラウスが必死に宥めようとしている。レオがぐすぐすと言った。
「キャシーがクラウスさんなら良かった
……
」
ゲームに疎いスティーブンでも、それはそのゲームの構成全てが破綻するだろ、ということが分かったが。さすがに言いはしなかった。
珈琲を淹れたギルベルトが戻ってくる。レオはもちろん、たぶん、しばらくはこの話を聞いた者は例外なくこの老執事を労わるだろう。
ゲームではなく、それはレオナルドの影響力である。
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