DRRV11037
2024-11-25 19:21:35
6237文字
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DRRVと再演に関する考察



0.5章について

清忌さんと小栄くんの対立について。

  1. 基本的な二人の設定
清忌さんと小栄くんは意図的された対比を持つ二人組である。両者は共通して“コミュニティからの孤立”を課題としながら、清忌さんは孤高を目指すほうへ進み、小栄くんは集団の輪に紛れ込むアプローチをとった。

  1. 清忌=過去、小栄=未来
清忌さんはDRRVの中で2番目に誕生し、小栄くんは4番目に誕生した。どちらも作者がまさに虐められていた時期に最初のバージョンを作ったキャラクター。
清忌さんは初期から一貫して「自分は特別だから他者と馴れ合わなくていい」という主張だが、小栄くんは旧設定と現行設定で信条が大きく変化している。虐めの当時に描かれた小栄くんは「嫌なことを1言われたら10言い返す」人だったが、現行設定では「ただただ笑って受け入れろ」と言う。
そのため、虐められていた当時の作者の思想を色濃く反映しつづけるのは清忌さんであり、(相対的に)未来の価値観を持つのは小栄くんである。

  1. 清忌と虐め
清忌さんはダンス教室の仲間につけられた傷を自慢げに見せつけるが、これは、虐めが既に始まって傷ついていることを示唆する。
彼女は不安を裏に秘めたポジティブ思考の持ち主で、自己正当化と自己防衛を繰り返す。傷を誇るのは、傷の醜さを認めて自分の惨めさに直面するのが怖いから。必死に自己肯定に走って平気なふりをしている。

  1. 小栄と虐め
小栄くんは (恐らく誰もが見れば分かることだが) 過去が重く、排斥の痛みを知っている。だからこそ彼は強迫的なまでに多数派に同調するし、だからこそ孤立した他者に手を差し伸べる。“異質であること”が全く好ましいことではないと経験的に理解している。やはり小栄くんは未来から清忌さんを振り返り見ている。

  1. 小栄の思想は正しいのか
小栄くんが好むように集団に迎合したところで、既に始まった虐めを抑えることはできないかもしれない。そもそも作者が虐められた原因は、虐められる親友を庇って虐めっ子に暴力を振るったことらしい。もしも小栄くんの考えに従うならば、友達の被害を無視することになる。それは集団思考の上では正解であるが、非道徳的な行為であり、無理な相談だと思う。
実は、小栄くんは自分にリスクが及ぶ場合には“虐めに加担するタイプ”だと設定されている。なぜかというと、虐めに反対することは集団から外れることを意味するため、日和見な小栄くんには絶対にできないのだ。そういうときの彼は、虐めの傍観者たちと全く同じような心理になる。
寧ろ、集団から外れてでも虐めを止める勇気は清忌さんの特性である。もちろんそれは孤立を伴い、時に傷つけられる茨の道だが、孤高を嘘でも愛せる清忌さんなら喜んでやるだろう。
だから、小栄くんの迎合主義が必ずしも道徳的に正しいとは限らない。
(作中では清忌さんが殺人未遂を犯しているので、その話題での清忌さんはめちゃくちゃ非がある)

  1. 未来からの脅し
小栄くんは最後に、自身が握ったスキャンダルを利用して脅しをやる。「教えたる、地獄や」は、作中でも“孤立→虐め”の展開を暗示しての台詞であるし、実際作者を待っていた展開もそんなようなものだった。
小栄くんは未来の自分の主張を組み込まれた、このシーンにおける未来人である。しかし、他人に心を閉ざし、自分自身の心の声も聞けない状態の清忌さんとの対話は成立しなかった。そのため、彼は内在化された他者として虐めを加速させる。これは小栄にとっても、作者にとっても再演である。
たとえタイムスリップしても、当時の自分の孤立を改善することはできないのかもしれない。

まとめ:
過去の俺「虐められても平気平気!私は一人になるのが楽しいんだ!」
未来の俺「アカンて!!やめーや馬鹿!!痛い目見んと分からんのか!!」