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ぷの
2024-11-22 11:07:41
10628文字
Public
レイチュリ ※ベ限
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今日はなんの日
日付小話まとめ。
P1 - 11月11日 ポッキーの日
P2 - 11月22日 いい夫婦の日
P3 - 3月14日 ホワイトデー(2025/3/14追加)
P4 - 5月10日 メイドの日(2025/5/12追加)
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【11月11日】
チョコのかかった細長い棒状のプレッツェルの先を無音で動いている唇に当てる。メモを見ながら口の中で発音を確かめていたレイシオは、邪魔をするなと目を細めてアベンチュリンを見た。レイシオが興味を引かれたみたいだから暗号の解読を頼んだけれど、もっとパパッと解いておしまいだと思っていた。こんなに夢中になって放っておかれるなんて。次からは解析班にだけ投げよう。
体温でチョコが溶け、カサつきひとつない唇を汚す。反対側の先を摘まんだ指を捻ってプレッツェルを転がすと、茶色い口紅でますます汚れた唇から甘い香りが漂ってきた。唇を舐めようとする舌先を棒でつついて阻む。がぶりとプレッツェルに噛みつかれて、アベンチュリンは口の端を引き上げた。
「ねえ、あまーいキスしようよ」
摘まんでいた棒の端を口に咥え、ポリ、と一口かじる。レイシオの口は動かない。ポリポリポリと食べ進んで、あと少しで唇が触れる寸前で止める。
したいと思っているかな。睨まれたし、あまり乗り気じゃなかったかも。
まさかの弱気の虫が顔を出して、そこから進めなくなった。溶けたチョコがアベンチュリンの唇も汚していく。
やっぱりやーめた!
そう引こうとしたのを見透かした絶妙なタイミングで、レイシオの手が首の後ろに当てられて引き寄せられた。癖でつい薄く開けてしまった口から外れた最後の棒切れは、レイシオの口の中に消えた。もっと開けと下顎を引かれる。己の唇を舐めて甘いトッピングを施したレイシオの舌が、迎えに出たアベンチュリンの舌先に擦り付けられた。チョコを押し付けて外へ出た舌はアベンチュリンの唇を舐めて再び戻ってきた。
あっま。
食べ進んでいるときはただのチョコだったのに、気持ちひとつでなぜこうも味が変わるのか。
甘味を感じるのは舌先だ。いつもならぞろりと奥まで入り込む舌が、舌先だけをしつこくねぶる。尖らせて硬い切っ先のように、力を抜いて柔らかく受け止めるクッションのように、押しては引き、撫でてはつついて、同じ温度に混ざりあう。
もっと奥まで引き込もうと顎を開いたところで、なんと、レイシオの舌は出ていった。アベンチュリンに中途半端な熱を残すだけ残して。
「待て、閃いた」
「ええー!」
目を開いてはいるけれど、焦点は中空でどこも見ていない。じっと固まって考え込んでしまったレイシオと自分の口をウェットティッシュで拭き取り、リップを塗った。このしっとり唇は僕が作りました。
まあ、収穫ゼロではなかったし。アベンチュリンもまた暇なわけでないので、心の栄養補給の時間はおしまいだ。糖分がほしくなったら食べるかもしれないとお菓子の箱をその場に置いて、自分の仕事に戻った。
艦橋で解析班から届いた暗号の解読結果と報告書に目を通していたアベンチュリンの端末に、レイシオからメッセージが届いた。なんだかわからない文字の羅列を見て、可愛いところが顔を出したぞとにんまり笑う。休憩を取ると言い置いて艦橋を後にし、レイシオの個室に向かいながら通話で呼び出す。ワンコール鳴らないうちに繋がった。ほーら可愛い。
「おやつのおかわりの催促かい?」
『そちらの解析も終わったのか』
「復号化しなくたって君の言いたいことはだいたいわかる。間違ってるなら解析班が作ったツールで確認するよ、履歴が残るけど」
『その必要はない』
個室の扉はロックされていなかった。入室してきっちりロックをかける。レイシオは出ていったときと同じく椅子に腰かけていて、タブレットから顔を上げてアベンチュリンを迎えた。置いていったお菓子の箱は手つかずで残されている。
「全部食べてよかったのに」
「必要ない。君が持って帰れ」
部屋の奥まで歩いて、くるりと身を翻してベッドに腰かける。
「それで、さっきのメッセージはなんて書いてあったの?」
答えの代わりに向けられたタブレットの画面に、即席で作ったらしい簡素な画面の暗号化・復号化ツールが表示されている。そこには先ほど見た暗号化文字列と、元になった文章が残っていた。
『半分しかないマントで凍えていないか?』
出たよ、照れ隠しの教養問題。今日が何の日か調べてなかったら、こんな古い宗教のエピソードなんて知るわけがない。調べたからお菓子で遊んだわけだけど。そういう思考を辿ってくるところがレイシオだ。
「君ねえ、夢枕に立つほど気に入ったって素直に言いなよ」
「そうだな。また寒くなったから温めてくれ」
「ハイハイ、主の御心のままに」
両腕を広げて待てば、レイシオの大きな体が覆い被さってきてベッドに沈められた。コツコツと下顎をノックされて開くと、ほんのりチョコの香りが残る口の中に舌先を掬って招かれた。
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