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ダダ
2024-05-23 12:36:00
5312文字
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二人の金光瑶
☆チラ裏。自己満足。息抜きで更新。
☆Xのツリー機能が不具合のためこちらで投稿します。Xに書くつもりで書いているので小説とは似て非なるもの。
☆キャラ崩壊もあるラブコメです。
⚠️あまり読み返してないので辻褄が合わなかったり誤字脱字あると思います。
1
2
3
二人が仲睦まじくしていると衝立を挟んだ隣の部屋からゴトン!と大きな音がした。
「今の音は?」
「あ!その!なんでもありません。様子を見て参りますので少々お待ちください
…
っ!」
動揺から明らかに何かあるような態度で一人目の金光瑶はそそくさと隣室へと向かった。
声の大きさを最小限にして、それでも表情と語気を荒げる。
「お前っ!なに
…
」
言い終わらないうちに二人目の金光瑶が詰め寄った。
「お前ときたら!私の兄様にベタベタして!!色目まで使ってやりすぎです!下品!」
互いに声量を限りなく小さくしている代わりに、荒い鼻息がかかりそうなほど顔を突き合わせて言い合いが始まった。
「下品だぁ?フンっ、俺が上手く対応してるからバレてないんだぞっ」
「私が隠れてるからバレてないんです!なんですか、手
…
手を握って
…
」
「はーん、お前は俺に嫉妬してるんだな。俺だって曦臣兄様が好きなんだ。早くやりてえんだ!だから進めようと
…
」
「や、や
…
っ!?」
二人目の金光瑶はあまりの発言に顔を真っ赤にして憤懣やるかたない様子で睨んだ。
「もういいです!私が行く!!」
「おい
…
待て!ま
…
」
「阿瑶?何かあったかい?」
藍曦臣の声が間近で聞こえた瞬間、二人の金光瑶は肝が冷えて押し黙った。
時間のかかっている金光瑶を気にした藍曦臣がもう衝立まで来ていた。
「どうしたんだい?」
「な、なんでもありません」
咄嗟に声を出したのは二人目の金光瑶。すかさず一人目の金光瑶が袖を掴む。
「おまっ
…
」
『私が行く!』と二人目の金光瑶は目でものを言って素気無く袖を払う。すぐさま微笑みを湛えた表情に切り替えて部屋をあとにした。
何事も無かったかのように衝立から出てきた二人目は、会いたかった気持ちを込めに込めた輝かしい微笑みを藍曦臣に向けた。
「大丈夫だったかい?」
「ええ、大したことはございませんでした。失礼致しました」
「ならば良いのだが
…
なんだか嬉しそうだね?」
「そ、そうでしょうか」
もうこれ以上頬が上がらないように両手を添えて恥じる金光瑶を見て、藍曦臣はこの上なく胸のときめきを覚えた。
「それは
…
兄様にお会いできて阿瑶はとても嬉しいからです」
「でも先ほどから私たちは会っているのにかい?」
まるでいま会ったかのように言うそぶりが面白くて、藍曦臣は軽く笑って金光瑶の手を取った。
「
………
」
金光瑶は手を握られたことに耐えられず、自らそっと手をすり抜けさせた。もちろん嫌というわけがなく、ただひたすら恥ずかしくて照れているだけだった。
「すまない、急に手を取ってしまって
…
先ほどは阿瑶が手を拭ってくれたので、その
…
」
今度は藍曦臣が自分の行動を恥じた。義弟が手を握ってくれたのだから、自分も少しは触れても大丈夫だと思ったのだ。言い訳がましいのも体裁悪く、尻窄みで言葉が消える。やはり少し不躾であったと思い直して金光瑶を見ると金光瑶も顔を赤らめて藍曦臣を見ていた。
互いに無言で見つめ合う。
「曦臣兄様
…
」
「阿瑶」
このとき金光瑶は一人目の言葉をなぜか思い浮かべてしまった。
『早くやりてえんだ』─ あのときは怒り心頭に発したが、いまは猛烈な恥ずかしさと共に淡い期待をしている自分も認めざるを得なかった。
「お、お茶が
…
冷めてしまいましたね。淹れ直します」
「あ、ああ
…
」
目線を逸らしたのは金光瑶のほうからで、一瞬漂った甘い空気を払拭された藍曦臣はハッと我に帰るのだった。
その後、しばしいつものように歓談していたが藍曦臣はなんとなくこの金光瑶にも違和感を感じていた。だがそれは気のせいかと思いつつ、そのまま藍曦臣の書画を見るに至った。
「君の審美眼は確かなものだから、ぜひ品評しておくれ」
「私が品評など烏滸がましいことです
…
それにどこにその必要性がありましょうか。兄様の画は本当に素晴らしいのですから
…
」
卓に広げられた藍曦臣の画を眺めてうっとりと笑いかける。そのゆったりとした動きと少し潤んだような瞳で微笑みかけられて、藍曦臣はまた脈拍が早まった。この小さな義弟を抱きしめたくなる衝動を懸命に我慢した。
「兄様、ここにいる人物はもしかして
…
」
「そう、君を描いてみたんだ」
「ではこの隣にいるのは
…
」
「
……
ははは、私だよ」
藍曦臣は少し恥ずかしそうに説明する。
「君とこんなふうに楽しく語り合う素朴な場所があってもいいと思ってね」
山水図にはまるで雲深不知処のような仙郷が描かれており、下部には仙二人が草庵に佇んで観瀑しているようだった。
まるでこれは『連れ帰って隠す』みたいな画ではないかと思う人もあるだろうが、描いた本人は全くそんなことは考えずに筆を取っていた。つまり無意識のうちに『そう』描いていたのだ。
ところがこの金光瑶も相当なもので、ただひたすらに義兄に対する賛辞と喜びと愛しさが溢れるだけであった。
「曦臣兄様、阿瑶は果報者です。このような美しい景色の中に兄様とご一緒できて
…
この画の中ではずっと
……
」
『ずっと、永遠に、一緒に居られる』この言葉は飲み込んだ。叶わないことが、この画を眺めるときは叶うのだ。
「このような素敵な山水画をありがとうございます」
隣に立つ義兄へ頭を下げようとすると、藍曦臣は金光瑶の肩を軽く抑えた。
「礼は不要だよ。君が喜んでくれるだけで、それだけで良いんだ
…
」
「兄様
…
」
と、甘い雰囲気が醸されてきたそのとき、再び隣室でガタガタ!という音が聞こえた。藍曦臣は訝しげに尋ねる。
「また
…
。もしかして隣の部屋に誰かいるのかい?」
「い、いえ!そんな!はは
…
誰もおりませんよ。ただ、ちょっと、そう最近、鳥が迷い込むことがありまして!」
「鳥?」
「そう、鳥です!巣を作ろうとしているのでしょうね
…
ははは、物を落とす癖があるんです。度々申し訳ありませんが、少し様子を見て参りますので少々お待ちくださいませ」
やや早口で捲し立てると、ぴゅーっと衝立の後ろに引っ込んで行った。
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