ダダ
2024-05-23 12:36:00
5312文字
Public
 

二人の金光瑶

☆チラ裏。自己満足。息抜きで更新。
☆Xのツリー機能が不具合のためこちらで投稿します。Xに書くつもりで書いているので小説とは似て非なるもの。
☆キャラ崩壊もあるラブコメです。

⚠️あまり読み返してないので辻褄が合わなかったり誤字脱字あると思います。

 ある朝、起きたら金光瑶が二人になっていた。寝床には鏡写しのように全く同じ人物が並んでいた。先に目を覚ました一人目の金光瑶は、普段の彼とは人が変わったかのようにあけすけで下町然とした口ぶり。二人目の金光瑶は恥ずかしがり屋でどこか少年のような幼さを持っていた。
「やばい!今日って曦臣兄様が来る日だろ!?」
「あ!そうですよ!どうしよう、私たちはなぜこんなことになったのか
「悩んでる暇があるか!とりあえずお前と俺は一人として振る舞わないとならないんだからな」
「それなら君のその口調も気をつけて!そんなに粗野な言葉、もし曦臣兄様に知れたら
「わかったわかった。気をつけるよ。俺だって嫌われたくない」
「ううひとまず着替えましょう」
 二人でなるべく似たような服に着替えを済ませ、一人ずつこっそり応接室へと移動した。
 すると、ちょうど藍曦臣の来訪をつげに従者が来た。
「もう来てしまったよ!これからの我々の行動はどうする!?」
「まあ落ち着け、お前は本当に俺なのか? 動揺が顔に出てる。俺が先に接待しよう」
「なら私はこの隣の部屋で待機していたほうがいいね」
 隣の部屋に通じる入り口の前に美しい衝立が置いてあった。
「何かあったらこの衝立の裏で交代すればわからないでしょう」
「何かってなんだよ。まあ大丈夫だろう。曦臣兄様は気づかないさ」
「そ、そうだといいんだけど。とにかくその言葉遣いは気をつけてくださいね」
「まかせろ」
……(この金光瑶は本当に私なのでしょうか)」
 そうして二人目の金光瑶は衝立の奥へと引っ込んでいった。
 一人目の金光瑶はいつもの優しげな微笑みを浮かべて入り口の方を見つめていた。口調こそ粗野なものの藍曦臣への想いは変わらずというよりかなり明け透けに想っていた。

「阿瑶、いいかな?」
「どうぞお入りください」
 笑顔で迎えて礼をしようとすると藍曦臣に止められる。金光瑶は微笑み返して卓へと案内する。あれだけ混乱していた中で、すっかり茶の用意はできていた。
「しばらく会えなかったが、変わりはなかったかい?」
「ええ、変わったことと言えば仕事がさらに増したことくらいですか
 もちろん増した中には今朝方から続いている妙な出来事も追加されていた。ため息が出そうなところだが、金光瑶は茶を勧めつつ器用に答えた。
「おや、それは大変だ。私にも手伝えることがあれば遠慮なく言っておくれ」
「藍家宗主たる曦臣兄様のお手を煩わせるなんて恐れ多いことです」
 そう言うやいなや、ふふふとどこか含みのある目で艶やかに笑って見せると、藍曦臣はゴクッと喉を鳴らしつつ茶を飲み込んだ。
(ほらみろ、俺も上手いこと振る舞えてるだろ?)
 ニヤリとして衝立に目配せした。
「ところで兄様はまた絵を描かれておられたのですか?」
「えあ、いやそうだが、どうしてだい?」
「ほら、兄様の爪に墨が付いてる」
 藍曦臣の白く長い指の先が少しだけ墨で汚れていた。
「ははは、阿瑶はよく見ているね。うん、実は一幅描いていたんだ」
「そうでしたか兄様、少々お待ちを」
 美しく刺繍された手持ちの手巾を、茶用に置いておいた注器の水で濡らして軽く絞る。
「兄様、御手をお貸しください」
「?」
 藍曦臣の右手を取り、爪の際まで優しく拭ってやる。緩慢に丁寧に柔らかく拭いつつ金光瑶は話を続けた。
「出来上がった際はぜひ拝ませていただきたいものです」
「うん実は君へ贈るために今日持ってきているんだ。少し内緒にしておこうと思っていたんだが
「嬉しい曦臣兄様!」
 金光瑶は藍曦臣の手を握りながら、ほてったような目でじっと見つめた。藍曦臣は口に茶を含んではいないのにゴクッと喉を鳴らして金光瑶の艶麗を飲み込んだ。
「君にはつい、なんでも話したくなってしまう。隠し事はできないな」
 二人で笑い合う。
 藍曦臣は阿瑶に指を拭かれるのも、そのまま手を握られていることも、内心非常にドギマギしていた。只事ではない脈拍だった。なんならこのまま阿瑶に触れていたかった。が、しかし金光瑶が思っているより藍曦臣は目ざとかった。
(今日の阿瑶は少し様子が違うような気がする。いつもより距離が近い上に、触れ合いも多いような嬉しいが)
 このように藍曦臣は愛しい義弟の分析をし始めていた。