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草枕
2024-08-01 17:09:35
1889文字
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PBD
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PBD・海底列車探索一日目
二万点・ケレウスの海底列車探索パート一日目まとめ
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③
一日は終わったが、眠気は訪れない。
当然だ。突然の眠気に半日を寝て過ごしたし、そもそも夜こそはギャンブラーのゴールデンタイムである。寝付けないことに焦りを覚えるような、お行儀の良い生活習慣は放り捨てて久しかった。
だから、夜更けにも関わらず響いた三度のノック音に対する違和感はない。何か困りごとでもあって、起きている自分の気配を感じた誰かが訪ねて来たかな。顔合わせで思いがけず見かけた、既知の顔がいくつか思い浮かぶ。
「はいはーい、どちら様かな?」
車内の探索はまだだが、それでも客室の窓に似て良い建材だ。ドアはしっとりと重く、それでいて力を加えればすべらかに開いた。
────誰も居ない。廊下を見渡せど、ただ凪があるだけだ。ノックの音は、気のせいだったのだろうか。初めての環境だ、車両が立てた音を勘違いしたのかもしれない。どこか腑に落ちないながらも、ベッドに戻ろうと振り向く。
「
…………
ぇ?」
一瞬、上手く息ができなかった。
寝具の上に、プレゼントボックスが置いてある。
あまりにも見覚えのある、アビソリアで広く知られたショッピングモールの包装紙とリボン。
どうして、いつのまに。イテラスキッドの車体が揺れた気がした。誰も居なかった筈で、ここに在り得ざるものが在る。ピンク色のリボンが、冷静になろうとする程に、それに失敗する自分を追い立てる。手の込んだサプライズなどという、ありふれた発想は思い浮かぶのに、唐突に降ってきた恐怖に抗えず、膝をついた。そうだ、メッセージカードでも確認すれば、そこに例えば知り合いの名でもあれば。苦しい。耳鳴りに上半身も床へ沈んでゆく。苦しい。しかし、この贈り物の主を確認する勇気こそ、いちばんはじめに失われている。ケレウスは許しを乞うような姿勢で、この恐怖の終わりを願った。
──意識が途切れる寸前、歪みきった視界の中で、プレゼントボックスもまた、押し潰されたようにひしゃげていた。
*
嫌な夢だった。
ホラー映画風というか、なんというか。
登場人物が怪奇現象に襲われる理由と、何が起こってるのかよく分からなくてイマイチ!って評価がたくさん付きそうなやつ。
オマケに、夢を見た割に眠れた感じがしない(ベッドから落ちていたせいかもしれない)。二度寝もできずに内容を反芻してしまって、後味も最悪。この頭の重さは二日酔いレベル星4って感じ。カフェインが入った栄養ドリンクのパックでも貰えると有り難いな、と部屋を出ようとして。
…………
これまで自分が居た室内の、扉についた無数の手形に、ケレウスは今度こそ小さな悲鳴を上げた。
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