草枕
2024-08-01 17:09:35
1889文字
Public PBD
 

PBD・海底列車探索一日目

二万点・ケレウスの海底列車探索パート一日目まとめ


荷解きをして、列車内を物見遊山といこう。
ケレウスは己に宛てがわれた部屋の扉をくぐった。
死ぬかもしれない目に遭って、もう故郷に帰る見込みもない──ショックを受けている者もいるのだろう。決意が揺らいで、そんな自分を宥めている者も。自分と言えば、あの町から離れられたことが幸運な身の上である。上々な気分で、車内探検と洒落込みたいなあ、手始めに与えられた部屋から……と意気込んだところでたたらを踏んだ。床に置こうとしたトランクの目測を誤って、鋲ががたんと音を立てる。すわ襲撃かと思ったが、揺れたのは車体ではなく自身のようだ。
(大勢の前で自己紹介なんて、へっちゃらなんだけど)
思い当たる節のない唐突な眠気に、ベッドに座り込む。トランクの中の衣類にシワが付く前に、ハンガーに掛けたいという思いはいつしか泡になって溶けた。間もなく、スプリングは控えめに軋み、痩身の男の赤毛が枕に沈んだのだった。