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朝見草
2024-11-04 20:25:39
Public
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とんぼの旅
参加企画
君と僕のせかい
(@tonosekatl)様
special thanks イナノメさん
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▽百から広がる一
その世界に辿り着いた僕を迎えたのは、白い紙吹雪と、色とりどりの蝶と。
『遅い!』
辺りに響き渡る文句の声だった。
『いつまで待たせる気よ』
憤りを顕わに顔の前を激しく舞う様をなんとか宥めれば、白い蝶は暴れる飛び方こそ止めたものの、何か言いたげに中空に留まっていた。
「ごめん。抜けだすのに手間取って」
『ずっと待ってるのよ』
ずっと!と白い蝶が羽ばたく。
「知ってる。ずっと探してたから」
眉を下げた僕に呆れたのか、はぁ、という溜息の音と共に風が届き紙吹雪がそよいだ。口を尖らせ文句を言うのに渋々ながら受け入れてしまう、意地っ張りと人の良さが共存した性格に懐かしさを覚える。もう何年も聞いていない声だった。
『なんでこう、あんたってタイミング悪いのかしら。今ここに居るあたしは少し"ちがう"んだもの』
「僕と同じように、君もこっちのせかいへ来ている?」
『そう。だからあんたはまだ【あたし】に逢えてないの』
「そんな感じは、してた」
見れば分かる、と自負している僕らの縁。だけれど、まだ約束を果たせた実感は湧いていない。白い蝶は頷くように羽ばたいた。
『だから【あたし】のこと、見つけて』
言い残した白い蝶は紙切れへと姿を変えた。僕は手の上に残る白い紙を大切に握り込む。
「うん。
……
必ず会いに行くから、もう少しだけ待っていて」
ごめん、と再び口にした言葉はどこにも届かず、仄かに紙吹雪を揺らすだけだった。
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