▽鶴、巻き込み事故に遭う
「千年か、随分頑張ったね」
『そうでしょう、そうでしょう』
「性格も丸くなってきたんじゃない?」
『常にメンテナンスをしており、部品の摩耗による不具合など有り得ません』
「だって、昔ならどれだけ頼んでも出してはくれなかったろう」
『
……さあ、転送システムの準備ができました。仕度をなさい』
「ありがとう、『かみさま』」
『全く、今回だけですよ』
アクリル板で仕切られた先のカプセル状の機械に乗り込む。千年前から随分と変化した世界で、かみさまの言葉は変わらずモニターに映し出された。
『良い旅路を』
白一色の研究室から、暗転。
「いつも思うのだけど、少しちょろ過ぎやしないかな」
優しくすれば大抵のことを叶えて貰えると噂の『かみさま』。実際のところそれは事実で、僕だけに留まらず多くの人間が度々世話になっている。まさか世界の『外』にまで干渉できるとは知らなかったが。
風が頬を撫でる。耳に届く懐かしいチャイムの音。制服姿で河川敷の四つ葉のクローバーを探すような、そんないつかが過って目を開けた。
「今度は泣かれる前にちゃんと僕から見つけたいけれど」
青い世界に一歩を踏み出す。
『門限までには帰ってくることです』
そんな声が聞こえた気がした。
元世界