アヤ↑30
2023-12-27 13:37:18
8975文字
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その嫁、怪物につき。

きみのまちサンドロックのドクターファン×うちビルダー(ナギサ)の話。ファン先生の様々なトラウマの元凶であろう、継母と義兄がサンドロックに来たら…なif話。
・トラウマに苦しむファン先生がいます。
・ナギサの口悪い、ブチギレ状態
・ファンナギ結婚済み。



「なーんてね」

ナギサはそう言うと槍の矛先を二人の近くの地面に突き刺す。
震えていた二人はいつまでも痛みが来ないのを感じて恐る恐る顔を上げたが近くに槍が刺さっているのを見てひいっと小さく悲鳴をあげる。

「・・・ファンが嫌がることはしたくないからさー。てか民兵団に逮捕されるっつーの」

槍はそのまま引き抜かれ、ビルダーの背中に収まる。
殺されはしなかった。しかしその雰囲気はまだ恐ろしく冷たい。
ナギサは座り込んでいるタスクとリタの前にしゃがむとそのパサパサの金髪を引っ掴んで耳元で言った。

「だけどあたしはアンタらを絶対に許さない。二度とあたしらの前にもサンドロックにも現れるな。・・・・・・次会った時は容赦しないから」

ナギサの言葉に二人は首が千切れんばかりに何度も縦に振った。


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翌日、ファンが目を覚ますと隣でナギサが眠っていた。
あれからずっと彼女が添い寝してくれたのだろうか。

「ナギサ・・・」

そっと彼女の顔にかかっていた髪に触れると飴色の寝ぼけ眼がファンを見る。

「・・・ん、おはよ。・・・よく眠れた??」

「ああ。お陰様で。起こしてすまない・・・。今お茶を・・・」

そう言ってベッドから出ようとするファンをナギサが手首を掴んで引き止める。

「行かないでファン・・・まだ一緒に寝よ??」

「でも・・・いいのか?」

「言ったでしょ。休もうって。それに・・・昨日一緒にゆっくりできなかったし。もっと側にいてほしいな・・・」

「ナギサ・・・」

愛する妻にそんなお願いをされてはファンも無下にはできない。
まあ、もう少しだけ、二人きりで過ごしてもバチは当たらないはずだ。
ファンは再びベッドに潜るとナギサの頬に手を添える。
そして彼女の唇にそっとキスをおとした。

「ありがとうナギサ。・・・愛しているよ」

「うん。あたしも」

お互い愛を確かめ合い、ナギサはふにゃりと笑うとファンにぴったりとくっついてそのまま眠りに落ちる。
やがてファンも目を閉じ、診療所の寝室は二人の寝息しか聞こえなくなった。



きっとこの先ファンは知ることはないだろう。
傍で眠る妻は昨夜は怪物の如く怒り狂っていたことを。
その怪物によってさんざん打ちのめされた継母と義兄は再びその怪物に遭遇するのを恐れて朝早いうちに慌ててサンドロック発の列車に飛び乗って街を去っていったことを。
彼の側で眠るナギサは昨夜とはまるで別人で穏やかで幸せそうである。
とりあえず、二人の平穏が脅かされない限り怪物が目覚める事はなさそうだ。
嵐が去ったサンドロックは再び平和な1日が始まろうとしている。


ー終ー