【タボ星】一等席

ターボババアと星子さんのお話詰め合わせセット。ノリと勢いでどうぞ。

お小遣い制




招き猫暮らしにもそこそこ板についてきたのを見計らって星子はターボババアに招き猫の貯金箱と唐草模様のがま口財布を渡した。
ターボババアの顔にありありと浮かぶ嫌悪感。馬鹿にするのもいい加減にしろ、低く掠れた怒号が家を揺らす。

「家の手伝い一回につき10円」
「話を聞けやクソババア!!」
「お前えの名前付きだ。感謝しな」

親切丁寧に大判に刻まれしターボの文字。怒りのボルテージが上がりに上がり白く丸い手に込められた力はまさに招き猫貯金箱を圧縮せん勢い。あと一歩のところで陶器製の白い体に罅が走る寸前、星子の天の川のような声音がターボババアの三角の耳を揺らす。

……フンッ」

込めていた力を抜き罅割れを免れた無垢な猫の目を覗き込み、招き猫にしては大層目付きの悪い目でテレビの前で横になり馬鹿笑いしている星子を一瞥した。
腹を抱え足をバタつかせ笑う星子の前に回り込み、わざわざ視界だけではなく音でも意識するよう貯金箱を置いたターボババアは顎をクイっと動かす。

「うつ伏せになれぇい」
「へいへい」

寝返りを打ち豊満な星子の胸が畳の上でやわく形を変え、折り重ねた腕を枕に横向きに頭を乗せた星子の涼しげな目元が背中に乗る重みに合わせ緩やかに瞼を閉じた。
丸い足がテンポよく腰を踏む心地よさに間延びする星子の声が全てを物語る。
うどんの生地踏みならぬ合理的に星子を踏んでいる事にターボババアの目がいやらしく白目を剥き──、一生味わないと思っていた現状に猫口に笑みを浮かべた。



「ババアから金もぎ取んだぜ。ざまあみろってなるだろ」

都合よくこき使われるのも無きにしも非ず。
されど、10円玉を渡す際に「助かった」と目と目を合わせ言う星子に寒々しく凍えていた心が融けていく感覚にターボババアは入れ物の胸を擦ったのだった。