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Hizuki
2019-12-31 19:24:31
7181文字
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誘うは蒼穹、漆黒の翼を伴いて
【グラブル】ジクグラ。とある理由で艇を降りることを決めたジークフリートとそれを受け入れることを選ぶしかなかったグランの話。ちょっと特殊な部分があるので、注意書きを見たうえでどうぞ。来てくれるって信じてた。
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じりじりと迫り来る魔物。
地面に転がっているのは各々が征した魔物の骸。
「くっ、このままでは
…
」
「どうするランちゃん!?キリがないぜ!?」
ランスロットは双剣を握り直し、戦いやすい間合いを計っていた。
その背後で敵の攻撃を押し返しながらヴェインが問う。
「話している暇があるなら敵の数を減らせ!」
「分かってるって!」
パーシヴァルの炎の渦が魔物を取り囲み、その身は焼かれながら空中へ打ち上げられた。
炎に怯んだ隙を突いて、朱色の大剣で敵を薙ぎ払う。
「大丈夫か、グラン」
「うん、平気。まだやれる」
吹き飛ばされた僕の身体をジークフリートさんが受け止める。
剣を支えに立ち上がると、もう一度正面の敵を見据えた。
突然大量発生した魔物の討伐とその原因の調査がこの島に立ち寄った理由だった。
識者達の分析で風属性の強い魔力によって島の生態系が崩れたことが原因であると分かった。
原因が分かれば、あとはそれを取り除いて、魔物達を倒しきればいいだけ。
やること自体は至って単純ではあるものの、とにかく数が多い。
思っていた以上の敵の数に僕達はじわじわと消耗させられていっていた。
「
…
ここは俺が引き受ける。お前達は先に艇に戻れ」
一歩前に進み出たジークフリートさんが静かに告げる。
単身で引き受けると、そう言った。
「ジークフリートさん!?」
「大丈夫だ、片付けたらすぐに戻る。俺の強さは皆知っているだろう?」
僕達4人が驚くのを気にした様子もなく、さらりと言ってのけた。
何千何万の軍勢を単独で相手取ったという話も確かに聞いたことがある。
それはジークフリートさんの中に巡る竜の血がもたらした武勲。
同時にその血が元凶となって引き起こされた事件もある。
できることならばそれに頼ることは避けたい。
きっとこの場の誰もが思っていることだった。
考える時間なんて魔物達が与えてくれるはずがなく、聞こえてきた唸り声が思考を分断する。
「ここは通さんぞ」
大剣を振り下ろして魔物を吹き飛ばすと、近寄ってくる魔物達の道を塞ぐように剣を地面に突き立てた。
その光景を当人以外の4人が心配そうに見つめていて。
「さあ、行け!」
ランスロットが駆け出す。
ヴェインもそれに続く。
動き出そうとしたパーシヴァルが僕の方を振り返る。
「グラン、何をしている!」
一喝にも似た声にびくりと肩が跳ねた。
金縛りにあったかのように動けなかった身体が一瞬で自由を取り戻す。
僕の視線に気付いたジークフリートさんが微かに口元を緩めて頷いた。
…
大丈夫、絶対大丈夫。
そう自分に言い聞かせて、3人の背を追った。
僕達が艇に戻ってから半日近く。
場を引き受けると言ったあの人は未だに戻ってはこない。
一通りの手当てを受け、ひたすら甲板で帰りを待っていた。
「大丈夫ですよ、グラン。絶対帰ってきます」
「
…
うん」
ルリアの励ましに僕は静かに頷いた。
すぐにでもあの人の元へ駆けつけたい自分と、あの人の言葉を信じて待ちたい自分がせめぎ合う。
とっくに日は落ち、空は闇に包まれている。
見張り用に灯されたランプの炎だけが確かな色を持っていた。
ゆらりと明かりの中に影が揺らいだ。
近付いてくる確かな足音。
「待たせたな」
夜闇の中から聞こえてきたのは待ち望んでいた声。
視界に飛び込んできた夜色の甲冑と背に担いだ大剣。
「ジークフリートさん!」
甲板にいた3人も駆け寄ってきて同じように声を上げる。
いつ帰ってきてもいいように、いつでも迎えられるように、今夜の見張り役を僕達で買って出た。
戻ってきたらすぐに交代するとも言ってくれた元の面々も僕達の声を聞いて表に顔を見せた。
「おかえりなさい!」
「無事でよかったぁ!」
「話は後だ。まずは手当てを受けてこい」
ちゃんと帰ってきてくれたことにほっとしたのも束の間。
歩いていくジークフリートさんから何かがぽろりと落ちた。
拾い上げたところで、かけようとした声を咄嗟に飲み込む。
甲板に転がった小さなモノ。
…
それは、黒い竜の鱗。
急に身体から体温が奪われていくような感じがした。
あの場にいたのは獣や植物の魔物ばかりで、竜はいなかったはずだ。
なのに、どうして。
嫌な予感がする。
そして、こういう時の嫌な予感というものは、大抵当たるものだと知っていた。
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