【サリ東】距離の詰め方はお化け其々【カミ東】

原作者様に齎されたイラストのお姫様抱っこと養われている発言で無事脳が焼かれました。サリーさんvsカミキリ様からの和平合意。突貫作業。後半匂わせ&捏造ご注意。

深層心理。捻じ曲げられない性質。無意識に泳ぎ回る逢魔が時が明け六つを追う姿はまさに誘蛾灯。

逃げられる余地を与え壁際に追い込み見下ろした。身長差に物を言わせ交差した視線。
初コンタクトの時とは打って変わって一人張り詰めた空気の中身構えているやけに気が合った流れでマンション入居勧誘した大家様子に概ね悪い気はしない。
誰にでも友好的な態度が瓦解して、雲間の隙間から差し込む光の梯子のように普段と違うのが垣間見える瞬間の高揚感は何ものにも代えがたい。
壁についていた手のひらを緩く握りしめるのに合わせ、肘を畳み不完全な檻を狭め戸惑う東雲に迫る。
「サリーさん?」
戸惑い様子を窺う己自身に近くも違う声音にサリーの睫毛に影が掛かり、さながら値踏みする目付きにムッと睨み返す暁の瞳に黄昏の腹の底が笑う。

以前サリーは東雲に問い掛けた。



 お前は私のやった家賃 かねで暮らしテいる
  つまりお前は私に養われていル

   そうダな?

何故かサリーの気配を察した途端、そそくさ何処かへ行こうとする東雲を物理的に逃がさぬよう抱きかかえ問い掛けもとい問い詰めた。
そして、サリーの言葉に半ば困惑しなんともはや煮え切らない肯定を返したのだった。
未だに手に残っている強張り縮こまる東雲の柔い体。無自覚で東雲がサリーと自分の間に築く腕の壁と丸めた爪先。息を飲む上目遣いに香り立つ人間らしさ。牙のない虎は殆ど子猫と変わらぬ。
さてはて当時容易く連れ去れる似て非なる華奢なオリジナルを自身の領域内に連れ去れなかったのは何故だったか。



空いていた手で薄っすら引き攣っている東雲の頬を指の背で撫でていた刹那、一陣の疾風が東雲とサリーの間に許可なく割り込んだ。
焦燥感に駆られた宵闇を睥睨する夕暮れは冷たく、ただ朝焼けだけが状況を把握できずに置いてけ堀をくらい目を瞬かせている。
「今取り込み中なんデ」
遠回しで直接的な牽制。東雲の意識と視線を戻すべくサリーの手が彼女の頬を包み、竦めている肩を抱き寄せるのを見越していたらしくカミキリが東雲に抱き着くなり音もなく東雲と共にその場から消え去ってしまった。

「ソウ来るか」

檻から連れ去られてしまった夜明けを未練たらたらに先程まで頬を撫ぜていた指の背を自身の頬に当てた。
前回といい今回といい。忌々しいをいっそ通り越して称賛に値する危機感知能力にほくそ笑む。
次は如何出し抜いてくれようか。悪巧みに浸る時間が楽しくて仕方ない。
人だろうが人では無かろうが早い者勝ちであるこの世にオリジナルを手元に置き神の手でも届かない場所に連れ去るのを緩む口元を押さえ思考を巡らせる。





「いやー、助かったわカミキリさん」
見慣れた廃神社。カミキリの実家と言っても過言ではない境内に降り立った東雲は未だに抱き着いて離れないカミキリの頭を柔く撫でた。
「最近サリーさん変っていうか、やたら迫ってきてよォ」
困るってほどじゃないんだけど。そう一言付け加え乾いた笑い声を零す東雲にカミキリは無言を貫き、慎ましやかな東雲の胸に顔を埋め動かない。
「どした? 腹でも痛い?」
「~~ッ」
気遣う東雲にカミキリの腕の力が一旦緩み、今の情けない顔を見られたくなくてより一層抱きしめる力を強めたのだった。