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澄ひろえ
2024-09-09 00:01:17
8758文字
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をかしき影を追う先へ
ククゼシ2人旅ツイート小説「光のレティシア編」を加筆・修正したものです。久方ぶりですがよろしければ御覧ください。最終ページは後書きです。
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日の出前に俺達は村を出た。トロデ王達と合流し、地図上の構造物目指して進む。
「あれ、かしら?」
朝日が昇りきった頃、ゼシカが前方を指差した。小高い丘の上に石でできた柱が二本。その上を渡すように一本の棒状の石がある。
確かに、止まり木っぽい・・・が、あんなのに止まるって神鳥ってどんだけ大きいんだ?
『神鳥の止まり木』と呼ばれる構造物の前に立つ。ここで、レティスの影の目撃情報が多いが、さてどうなるか。
と、ふっと辺りが暗くなる。
「ククール!見て!」
ゼシカが地面を指差す。それは巨大な鳥の形をした影。
影は何度かこの場所を旋回したかと思うと、いきなり別方向へと向かって行った。
「大変!逃げちゃうわ。追いかけなきゃ!」
ゼシカが走り出す。俺も慌てて後を追って走り出す。トロデ王達も急いで着いてくる。そう、走らないと引き離される速度で影は進む。
ときおり方向を変えながらひたすら進む影。それをひたすら追いかける俺達。
・・・何なんだよ、これ。俺達鬼ごっこしてるわけじゃねーんだぞ!
日差しがきつくなってくる。汗が流れて目に染みて痛い。
・・・やべぇ。頭いてぇし、何かクラクラしてきた。
通気性の悪い服を着て、炎天下の中走り回ってたらそりゃ体に変調きたすか・・・。
「ククール、息上がってるわよ、頑張って!」
あのー・・・なんで、そんなに元気なんですかね?ゼシカさん。
影はひたすら進む。一直線に。
そう、一直線に、広大な沼・・・紫色をしてごぽごぽと何やら泡立っている毒の沼地のど真ん中を。悠然と。
「・・・」
流石のゼシカも一瞬躊躇う。しかし、沼地を避けて通れば確実に遠回りになり、影を見失ってしまう。
「行くわよ!」
ゼシカは自分に言い聞かせるように一声上げると、毒の沼地に踏み込んだ。ゼシカは苦痛に顔を歪ませたが、それでも走り出した。
「すまないな、姫様。後で看るから」
俺はそう言って、ゼシカの後を追う為毒の沼地に足を踏み入れた。足に刺すような痛みが走る。おそらく靴を履いてない馬ならかなりの痛みを伴うはず。それでも、ここまで来て影を見失うわけにはいかない。
痛みを堪えて、毒の沼地を渡りきった。影は岩で出来た坂を上り、高台へと向かっていく。
足の治療をしたかったが、それより影を追うことを優先させる。地図で見ればそこが行き止まりだった。まぁ影が岩山を飛び越えてしまったらそれまでなんだが。
もはや気力だけで俺達は高台を登り切った。
影はそこにいた。しばらく旋回していたかと思うと、いきなりふわりと地面から離れて浮き上がり、こちらに向かって飛んできた。
・・・ぶつかる!
俺は咄嗟に片目を瞑り、腕で顔を守る。影とぶつかった瞬間影は光を放ち、消えた。
そして、丁度影の消えた辺りに黒く渦巻く空間の入口が現れた。
「・・・これが、異世界への破れ目?」
ゼシカが呟く。
「みたいだな・・・すぐには消えそうもないか。今の内に足の治療するぞ」
俺は手早くトロデ王(馬車に乗ってたから無傷だ)を除く全員の足の治療を行った。
そうして、改めて異世界への破れ目へ向き直る。黒く渦巻くその先は全く見えない。
この異世界の破れ目を抜けた先のどこかに神鳥レティスがいる。どんな世界が待ち受けているか分からないが・・・レティスに魔犬に対抗するための協力を得るためなら行くしかない、か。
「よし、覚悟決めていくか」
俺がそう言って、歩き出そうとすると不意に左肩を引っ張られる感覚を感じた。
「・・・?」
訝しんで振り返ると、ゼシカが俺のマントの裾を掴んでいた。
「どうしたんだよ、ゼシカいきなり」
「だって・・・ほ、ほら!異世界へ飛んで離ればなれになったらいけないじゃない!?ね?」
や、そんなことは無いと思うが・・・まぁ不安なんだろう。どことなく緊張した顔してるしな。
まぁそんなの指摘するだけ野暮ってもんだ。この騎士の端くれのマント一枚でそれが解消できるならそれでいいさ。
「ああ、わかった。離すなよ」
「うん!」
ゼシカがほっとしたように頷く。
それでは改めて出発・・・しようとしたところで、今度は反対側である右肩を引っ張られる感覚を感じた。
「・・・?」
訝しんで振り返ると、馬姫様が俺のマントの裾を咥えていた。
「姫様・・・まぁ構わないけどな」
・・・これも騎士の務めか。俺は馬姫様の首筋をポンと叩く。
すると、今度は服を下に引っ張られる感覚がした。見れば、御者台から降りたトロデ王が俺の騎士服の端を握りしめていた。
「おい、おっさん!あんたは馬車に乗ってればいいだろ!?」
「何を言うんじゃ。ずるいぞい!儂だけ仲間外れにするんじゃないわい!」
・・・この王様は。
「だーっ!これではぐれたら承知しねーからな!ほら、さっさと行くぞ!」
俺は半ばやけくそな気分で異世界への破れ目へと足を踏み入れた。
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