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澄ひろえ
2024-09-09 00:01:17
8758文字
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をかしき影を追う先へ
ククゼシ2人旅ツイート小説「光のレティシア編」を加筆・修正したものです。久方ぶりですがよろしければ御覧ください。最終ページは後書きです。
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聖地ゴルドから南西の海に存在する岩礁。そこが光の海図の示す地点。
俺達は今、そこへと船を進めていた。
光の海図もあり、海図の示す場所も分かっていたであろう伝説の海賊ですらたどり着くことが叶わなかった隔絶された台地。
果たして俺達もまた招かれざる客になるのか、それとも・・・。
岩礁には4本の柱のような岩がせり出している。俺達は船を岩礁にぶつけないよう慎重に進めていく。そして、丁度4本の岩から対角線で結ぶと中央になる地点で船を停める。
「どうやらこの地点みたいだな」
俺達は世界地図と光の海図を見比べる。間違いなさそうだ。さて、どうなるか・・・。
と、まさにその時、
「ククール、光の海図が・・・!」
ゼシカが声を上げた。海図が光を放っている。それと同時に海面も光を放ち始めた。
「共鳴しているのか・・・?」
俺は辺りを見回した。
光は大きくなり、船を、岩を包み込む。そして、海面の光がまるで海に線を描くように伸びていく。やがて、船と岩を包んでいた光は消えた。だが、海に伸びた光の道筋は消えることなく残っている。
いきなり、船がゆっくりと動き始めた。丁度光の道筋の上をなぞるように。
「これ。勝手に船が動いているのか・・・?」
俺達は誰も操舵に触っていない。それなのに、船は滑るように進んでいく。
「導かれてるの・・・?私達・・・?」
呆然といった様子でゼシカが呟く。
・・・俺もにわかには信じられない。でも、この光景を見る限りそうとしか思えない。
船は一定の速度で進んでいく。やがて、隔絶された台地が見えてきた。・・・光の道筋は隔絶された台地の岸壁に向かって伸びていた。
「ね、ねぇ。このまま進んだら、あの岸壁にぶつかっちゃうんじゃないの!?」
ゼシカが焦った声を上げる。確かにこのまま進めば船が激突してしまう。激突してしまったら?・・・しまったら・・・何も考えたくはない。
「みんな、俺の周りに集まってろ!ヤバかったらルーラで飛ぶ!」
トロデ王も馬姫様の手綱を引いて急いで俺の側に来る。
船の先端が岸壁に差し掛かった。
「・・・!?」
俺達は一瞬自分達の目を疑った。船はまるでそこに何も無いかのように岸壁をすり抜けていく。船が壊れなくて何よりではあるが、それでも俺達自身がすり抜けられるとは限らないわけで・・・。
岸壁が俺達の目の前に迫ってきた。咄嗟にギュッと目を閉じる。
・・・何の衝撃も感じない。
恐る恐る目を開くと、船は岩に囲まれた入り江をゆっくりと進んでいた。船は入り江を抜け、砂浜へと停泊した。俺達は辺りを警戒しつつ船を降り、辺りを見回してみる。
ここが、隔絶された台地。目に映る植物も見たことのないものばかりだ。
と、辺りが一瞬暗くなり、また明るさが戻ってきた。
・・・影?
俺はくいと見上げる。が、目に映るのは青い空と白い雲。影の主は見当たらない。
妙だな。あれだけ大きい影をなす主なら、そんなにすぐ見失うようなものじゃないはずなんだが。だが、しばらく待ってみても、もう影の主はやってこなかった。
・・・やれやれ、隔絶された台地だけに、何が起こるか分からないな。とりあえず探索するか。
俺はキラーパンサーを呼ぼうと鈴を鳴らす。が、キラーパンサーはやってこない。・・・流石にここにはいないのか。
「はぁ、徒歩での探索か」
俺はため息をついた。最近すっかりキラーパンサーに頼りっきりだったからな。足が鈍ってなければ良いんだが。
「仕方ないわね。それにしても、この地図頼りになるのかしら?だって、長い間誰も訪れたことのない大陸でしょう?」
世界地図を見ながらゼシカは言う。まぁ確かに、どこまで信用できるのやら。俺はゼシカの横から地図を覗き込む。おぼろげに見える村っぽいものと、何か門のような構造物が書き込まれている。
「なんだこりゃ?」
地図上の構造物らしい物を指さしながら俺は首を傾げた。
「そんなの聞かれても私だって分からないわよ。ここの村にたどり着ければ何か分かるかもしれないわね」
「そうだな。とりあえず、地図が正しいと仮定して、村を目指すか」
「どうやら決まったようじゃの」
馬車の御者台に飛び乗り、手綱を握りながらトロデ王が言う。
「ええ。かなりきついけど、がんばりましょうね、姫様」
ゼシカはそう言って馬姫様のたてがみを撫でた。馬姫様は「任せて」とばかりに嘶く。
・・・まったく、うちの女性陣は頼もしいねぇ。
「んじゃ、行くか」
俺達は砂浜を出発した。しばらく歩いていると前方にやがて見えてくる長く細い上り坂。
・・・こいつを上がれって?やっぱりキラーパンサーが恋しいぜ・・・。
うんざりしつつも上り坂をひたすら上っていく。
それにしても、暑い。いや、熱い。砂漠の時の暑さとは違ったうだるような暑さが俺達の体力を蝕んでいった。ギャリングの養子達を護衛した砂漠の時に痛感したが、俺の騎士服は防御には適しているが、通気性が非常に悪い。熱がこもって逃げてくれない。流れる汗を拭いながらやっとの思いで坂を上りきった。
「あ!ククール見て!」
ゼシカが一足先に駆け出して叫んだ。後をついて行くと、岸壁の上から青々とした海が広がっている景色が見えた。へぇ・・・絶景かな。
海から吹いてくる潮風が火照った体に心地いい。俺は大きく深呼吸をする。
「今、時間は・・・昼過ぎた辺りか。よし、今日はここでもう休もう」
いきなりの俺の提案に、ゼシカがえっと声を上げて驚いた表情で俺を見た。トロデ王と馬姫様もこちらを見ている。
「この昼間の暑さで進むのはきつい。今休んで、夜に出発して歩いた方がいい」
俺の提案にゼシカは少し考えていたが、頷いた。どうやらゼシカもこの暑さには参っていたみたいだ。トロデ王達からも異議の声は上がらなかった。
軽い食事の後、ゼシカとトロデ王は馬車の中に、俺は馬車の下に潜り込んだ。眠れるかと思ったが、波が岸壁を打ち返す音に耳を傾けていると、やがて睡魔が訪れる。そのまま眠りに落ちた。
目覚めた時には既に日が暮れていた。俺は馬車の下から這い出し、服に付いた土埃を払う。
暑いのは暑いが、直射日光が無い分昼間に比べれば遙かにマシだ。
「おはよう・・・っていうのも何か変ね」
馬車から降りながらそう言って、ゼシカは笑った。
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