芹沢亀吉
2024-09-08 23:48:45
12944文字
Public 風刺
 

シン・ウヨトラマン三部作

2022年5月21日~6月5日にかけてTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算49、50、51話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。


シン・ウヨトラマンⅡ

(※Twitterへの投稿は2022年5月24日~5月25日)

 楠木武一等陸佐の夢の中に光の巨人が現れウヨゾフィーと名乗る。

「楠木武よ、そなたは地球人ではない。惑星ヤマトの人間で光の巨人ウヨトラマンに変身する能力を持っておる。時は来た。今こそその力を使え。反日勢力を滅するのだ。」

 目を覚ました楠木が自分が己の巨大化を念じるとみるみるうちに身体が光に包まれ、全身銀色の細身の巨人、ウヨトラマンと化したのだ。

「素晴らしい!夢の通りだ!よおし、早速反日勢力を滅してやるぞ!」

 楠木改めウヨトラマンはそのまま飛び立ち、沖縄を目指す。

 沖縄に到着したウヨトラマンは腕から破壊光線を発射し、周囲を火の海に変えていく。

「グハハハハ!反日勢力の牙城を殲滅するのは爽快だな!沖縄の連中は事あるごとに日本政府に刃向かうから一掃しておかんとな!」
 
 以前から沖縄を敵視していた楠木ではあるものの、元をただせば沖縄にアメリカ軍基地の負担を強いる日本政府及び本土の日本国民に非があるため結局逆恨みでしかない。

「折角だ、米軍基地も破壊しておこう。大東亜戦争の仇を今取ってやる!」

 ウヨトラマンはアメリカ軍の猛攻など毛ほどにも感じず、普天間や嘉手納等在沖縄アメリカ軍基地を廃墟に変えていく。

「グハハハハ!俺様は天下無敵だぁ!中国軍め!来るなら来い!この楠木が鎧袖一触にしてくれるわ!」

 この暴虐な巨人は誰にも止められないのだろうか。

 そんなウヨトラマンの前に初老の男性が立ちはだかった。

「貴様はアラン・ジョナ!イギリス陸軍を辞め今はテロ活動をしているそうだな!かつてバグダッドでこの俺に恥をかかせた件は覚えているぞ!今その借りを返してやる。くたばれ!」

 イギリス陸軍大佐だった頃のジョナがバグダッドに派兵された時丁度楠木率いる陸自の部隊も来ていて、現地の子ども達をテロリストと決め付け撃とうとした途端に砂地を転がされて以来、楠木はこの反政府活動家を逆恨みしていたのだ。

 ジョナは無言のままウヨトラマンにシグザウエルP226自動拳銃の銃口を向け、引き金を引いた。

「老いぼれめ!耄碌したか!そんな銃でこの俺様をころ、グワッ!」

 突然楠木の身体が元に戻り、右肩に弾痕が出来ている。

「ど、どういうことだ?これは一体?」

 ジョナは呆れながら口を開いた。

「やっと自分の状況が理解出来たようだな、Mr.KAMIKAZE。君は幻覚を見ていたのだよ。」

 実はこの楠木、密かに部下が吸っていた危険ドラッグを没収しいつの間にか自分がそのドラッグに溺れていたのである。

「俺が幻覚を見ていただと!?デタラメ言いやがって老いぼれめ!大体ここは何処だ!?」

「自分が何処にいるかもわからんのか。ここは旧日本軍の地下施設の遺構だ。日本政府は現役自衛官の薬物乱用を隠蔽するため君をここに幽閉したんだよ。」

「まさか政府の連中は俺がここで逝くのを待っているのか!?楠木正成公の末裔であるこの俺が逝くのを!」

「そのまさかだ。この食器、君が先程食べた食事のだろう。毒物が検出されたよ。どうやら政府は君のしぶとさに苛立っているらしい。」

 みるみるうちに楠木の顔から精気が抜けていく。

「バグダッドで遊び半分で民間人を撃つ等数々の悪事を政府に隠蔽してもらってきた君が、今度は自分自身が隠蔽される側か。皮肉なものだな、Mr.KAMIKAZE。この毒なら今晩逝くだろう。では失礼するよ。」

 翌朝、硬直しピクリとも動かない楠木の身体に蠅がたかりブンブン羽音を鳴らす。程なくしてジョナは楠木とのやり取りを撮影した動画をネット上に公開し、現役自衛官の薬物乱用を隠蔽した上楠木の口を封じた日本政府に非難が殺到した。(終)