芹沢亀吉
2024-09-08 23:48:45
12944文字
Public 風刺
 

シン・ウヨトラマン三部作

2022年5月21日~6月5日にかけてTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算49、50、51話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。


シン・ウヨトラマン

(※Twitterへの投稿は2022年5月21日)

 高麗人民共和国が東京に向けICBMを発射したとの速報を受け、日本中がパニックに陥っている。

「もう駄目だ、この国はお終いだ。」

 日本国民が絶望していたその時、空から全身銀色の巨人が現れた。

「ウヨトラマンだ!ウヨトラマンが来てくれた!」

 ウヨトラマンの全身に旭日旗を彷彿とさせる赤い模様が浮かび上がったその刹那、十字に交差した腕から放たれた破壊光線、ICBMは勿論高麗人民共和国そのものを消滅させたのを見れば、その威力の凄まじさは誰の目にも明らかであろう。

「ウヨトラマン万歳!」

 ウヨトラマンは日本国民からの賛辞には一瞥もせず、皇居に一礼して去っていった。天皇制自体が1945年の敗戦時に廃止しておくべきあたり、むしろ皇居にこそ破壊光線を撃ち込むべきなのだが。

「はい、カット!素晴らしい演技だ!」

 実はこれ、映画『シン・ウヨトラマン』の撮影であり、脚本と監督を兼任する安屋あんや昭英あきひでは主演の佐藤さとう正勝まさかつを演じる楠木くすのきたけし一等陸佐を褒めちぎる。

「一自衛官に過ぎないこの楠木を主演に抜擢して下さった監督の恩に報いたまでですよ。」

 実のところ役者経験の無い楠木の演技はとても見れたものでは無く、そんな楠木を主演に迎えてまで自衛隊にゴマをする安屋の姿勢は実に涙ぐましい。自衛隊の撮影協力を得た『シン・ウヨトラマン』は公開前から絶賛の嵐、2022年度興収第1位の映画になる、筈だった。

 ところが公開直前にとんでもない事実が判明。安屋が映画を批判する人達に嫌がらせするよう指定暴力団山河組に依頼していたのだ。更に安屋がスポンサーから得た制作資金をネットカジノに注ぎ込んでいた事実も判明し、結局『シン・ウヨトラマン』は公開中止に。

 それから数日後、楠木は武装した部下達を率いて安屋が社長をしている映画会社カラクリの本社ビルを襲撃した。

「貴様のお陰でこの楠木も大恥をかいたではないか!この守銭奴めぇ!」

 安屋を身ぐるみ剥がした上精神注入棒を振るい全身を滅多打ちする楠木の動きは実に手慣れていて、普段から部下達に全く同じことをしているのだろう。

 全身痣だらけの安屋は放心状態になり「逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ」と呟き続け、かつて自分が作ったアニメの主人公に己を重ねている模様。

「安屋貴様、何をブツブツ言っている!?さぁ早くこの楠木に詫びろ!土下座するんだぁ!俺様は楠木正成公の末裔だぞ!」

 突然カラクリ本社ビルが大爆発した。現役自衛官である楠木が武装した部下を率いて民間人を襲撃した事実を隠すため、航空自衛隊がミサイルを撃ち込んだのだ。その日の夕刊一面の見出しは「ガス爆発事故によりカラクリ本社ビル全壊」だったとか。(終)