◇地上編 プロローグ
昔々、地上には人間とモンスターという2つの種族がいました。人間とモンスターはお互いの国の名産や資源を分かち合い、助け合い、友好な関係を築いた、平和な時代です。
それから長い時が経ち、徐々に悪いことをする人間が増えました。優しいモンスターを騙し、連れ去り、強制的に人間の奴隷にしたのです。しかし、その悪行はモンスターの国の宰相が上手に隠していたため、誰にも分らずに長い時が経ってしまいました。
宰相は大変傲慢で不遜なひとでした。自分は王にふさわしい、と考えるようになり、どうにか女王に取り入ろうとします。しかし、それには女王にとても気に入られ、自分とは意見の合わず、しかしとても頭の良い騎士団長が邪魔でした。それならば、と彼を貶める計画を立て、彼と仲の良い博士をかどわかそうとしていたのです。
人間の青年がその話を偶然聞いてしまいます。これは大変だ、と青年はすぐに知らせに行こうとしましたが、後退りで物音を立ててしまい、あっけなく宰相の用心棒に捕らえられてしまいます。そして、誰にも話さないように、と酷いことをされ
―― 。
捕まった青年は、モンスター国皇女のお友達でした。お友達が約束の時間に現れないことを不思議に思った彼女は、騎士団長に相談します。もしかしたら道に迷っているのかもしれない。人間をよく思っていない誰かになにかされているかもしれない。皇女は気が気ではありませんでした。
相談された団長は、勘の鋭いひとでした。以前から、自分や博士をよく思っていないあの宰相なら、何か知っているかもしれない、とさっそく宰相の屋敷へ向かいます。用心棒をなぎ倒し、宰相を問い詰め、地下牢に向かうと、ぐったりとした青年の姿が。体はとても冷え切った状態でした。
団長は急いで城に戻り、皇女とともに博士の元へ駆け込みます。青年の治療をしてほしい、と。しかし、青年はもう事切れたあとでした。
この青年が巻き込まれた事件により、これまで信じてきた平和が終わり、長い長い人間とモンスターの戦いの火蓋が切って落とされるのです。
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