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MN*B
2024-06-23 02:56:07
11045文字
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夏油兄シリーズ:pixivバックアップ
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虎杖悠仁っていう檻に捕まって出られない原作知識有り夏油傑の兄(死亡済み)だけど、死後が長いんだわ
――夏油傑は生きている。
固定名有り。男主。原作沿い。立場成り代わりもの。
世界(原作)の強制力に抗う系主人公。ただし悪役。
前話と同じく、なんでもモーマンタイな方向け。ネタバレ含む。
前話【
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21384239
】
シリーズ【
https://www.pixiv.net/novel/series/12070966
】
次話【 まだ 】
前話までのコメントやスタンプなど、ありがとうございました!
#夢術廻戦 #オリ主 #男主 #夏油傑 #五条悟 #虎杖悠仁 #宿儺(呪術廻戦)
2024年6月3日 01:46
1
2
3
宿儺の指がもう一本追加されたことにより、虎杖の身体に口が出せるようになった。基本的に目元にできた傷跡の下から出てるみたいで、少なからず宿儺の影響を受けているらしい。すくなだけに。
指を取りこんだ呪霊にも宿儺の面影が出るような感じと同じなのだろう。少年院の特級とか目が二対あったりする感じね。
それよりマシかな、外の様子は虎杖の目線から見られるし。徐々に影響が出てくるって考えると笑えないけど。
閑静な道を悟と虎杖の二人組が話しながら歩いていく。俺はそれを虎杖の目線からボケっと眺めていた。
流石の俺もこのシーンは黙って話を聞いてるだけで良かったのだが
……
そうはいかないらしい。
虎杖との話題が切れたタイミングで、思い出したかのように悟が口を開く。
「つーか嫌がらせかよ、今更化けて出てくるなんて」
俺が喋る事ができるのを早々に知ってからというもの、悟は事あるごとに話をこっちへ振ってくるのだ。生者同士でお話ししてれば良くない?
もちろん悟も虎杖と普通の会話をしているのだが、その合間合間でモヤッとボールを投げつけるかの如く、反応しづらい話題を俺にぶつけてくるわけで。それ即ち、不貞腐れているアラサーが男子高校生にウザ絡みしている図の完成だ。
「なんの恨み? それか後悔の念にでも駆られたわけ?」
俺をぶっ殺した張本人なのに、この態度である。もし恨みがあったとて、とり憑いたら即二度目の最期じゃん。だからって赤の他人にとり憑かんわ。
俺が詰められてるのと同様に、距離も詰められている虎杖の方が居たたまれなさそうにしている。しょーがない構ってちゃんだなぁ。
俺も渋々、本日何度目かの口を出す。
「不肖の身に置いて、できることを貫いたのみ。後悔なんぞない」
「相変わらずの卑屈っぷりだな、コンプレックス野郎」
悟からイーッと歯をむき出しにして嫌がられた。喋ったら喋ったでこれでだもんな。
シンプルになんでそう思われてんだろ。血反吐と辛酸なら舐めまくって来たけどさ。
俺からは顔も見えない虎杖が、俺に向かって不思議そうに問いかけてくる。
「なんでそんな尊大な喋り方すんの? 俺と話す時と全然違うじゃん」
「悪徳教祖始めたときにキャラ変してさ。以来、こんなもんよ」
「ただのキャラ変かよ!!」
いきなり叫んだ悟がウガーッと頭を掻きむしった。ど、どした?
俺と虎杖は揃って挙動不審な長身男を遠巻きに見る。自分の身体も目玉もない俺は心情的に。
昔からこの子の情緒が分からんのよ。すーぐ怒るし。
悟のことは今更しょうがないから放っておくとして、虎杖との会話を続けることにする。
「つい教祖スイッチ入っちゃうんだよね。もう教祖やめてんだから、しなくても構わんのに」
「悪徳教祖やめたんだ。良いことじゃん」
「ま、殉教とか殉職って感じだけどね(笑)」
「へ~
……
」
習慣て怖いなー。夏油傑と違って俺じゃ、いつ何時、五条悟から殺されるか分かんなかったし。十年も警戒してやってればこうなるもんか。
これまた微妙に困った感じの様子の虎杖の脇から、悟がにゅっと首を突っ込んでくる。
「コイツはやめたつもりでも、この状態だって事がどっかから漏れたら、神輿を担ぎ上げる輩が出てくるかもしんないんだよね。だから
絶対
ずぇ~ったい
に主導権奪われないでよ」
「その場合って、俺はどうなんの?」
「うーん、良くて監禁? 必要なのは夏油任であって君は要らないだろうし」
「コッワ!」
「いやはや。もう俺だって要らないでしょ。高専側に戦争を吹っ掛けた上で負けてんだよ? そんな奴を組織のトップに戻したがるわけ~」
ナイナイ。手があったら顔の前で振ってるわ。
俺に“夏油傑”ほどの求心力はない。それは組織の規模が物語っている。これは卑屈でもなんでもなく事実だ。
俺は術師・非術師、所属も関係なく構成員をかき集めている。その上で高専側にも工作員を仕込んだりして頑張ったのだ。そこまでやって、やっと原作と同程度といったところだろう。
「そうだ、某の身体どうなった?
芥
あくた
に
付
ふ
した~?」
「それを言うなら、
荼毘
だび
に付すだろ。付した付した」
「誰が?」
「遺体は高専で処理したけど、位牌は実家の墓だって」
「マジか~。一応、俺って大量殺人&大規模テロの主犯なんだけど。せっかく戸籍もイジっといたのに」
離反した時点で何をするべきかを決めた結果、あの宗教団体を乗っ取る前に、自身の情報を戸籍から何から何まで消す事にしたのだ。
親殺しをするにも、弟から家族を奪うのは気が引けたし、そうするのであれば弟も殺さなくてはならないことになる。それじゃあ本末転倒もいいところだ。そもそも俺の掲げた教義的にも殺す意味や理由もない。
だから、俺の存在をなかったことにした。“夏油傑”がケジメをつけたように、それが
夏油任
俺
にとってのケジメだった。元よりそれが正しい形だ。
俺もやった事がやった事なだけに、最期に会った時に兄扱いされたのも奇跡的だよ。
ハッと何かに気づいたらしい虎杖が、勢いよく悟の方を向いた。
「軽く言われたけど、俺に憑いてるのって殺人犯でテロの主犯なん!?」
「君が取り込んだ両面宿儺も大概だからね」
「それな」
悟から「お前が言うなよ」と突っ込まれた挙句、出していた口元をズビシと突かれた。しかし俺ではなく虎杖が悲鳴をあげた事により、悟は謝る羽目になっていた。
へへっ、俺は痛くないもんねぇ〜!
とまぁ、以上が、夜蛾学長のところへ行く最中の会話だった。
そんな風になんやかんやしている内に、二人が高専の主要施設に程近い所まで来ているのが周囲の建物や道の雰囲気で分かった。
この場面、宿儺なら「殺す」とか言ってたけど、俺にはそういうつもりもないし。つーか無理よりの無理。
それよりも、この場に
夏油傑
俺の弟
が居ることの方がずっと重要だ。
二人の進行方向には、悟と似たような服装をした傑が立っていた。ずいぶんと長くなった後ろ髪を襟足で団子にして、余った部分を肩から流している。
悟は足取りも軽く大股で近寄っていき、楽しげな声をあげながらラリアットじみた勢いで傑の肩に腕を回した。傑も巨体にぶつかられても重心がブレず、苦笑混じりに小言が言えるのは流石だな。
傑は置いてけぼりにされている虎杖のことを手招いた。
「君が虎杖悠仁くんだね」
「うっす。もしかして学校の先生?」
「いや、私は」
「ハイハーイ! ご紹介しやす!」
悟は二人の会話を遮ると、五条悟お馴染みの人物紹介ポーズをして、紹介する人物に凭れかかったまま紹介を始める。
「こちら実の兄が呪詛師になったせいで肩身が狭い特級術師で僕の親友の」
「夏油傑だ。よろしく、虎杖悠仁くん。あと私は高専の教師じゃないよ、残念ながらね。
……
ところで、宿儺の器ってのは本当かい?」
「全っ然自覚ないけど、そうらしいっす! つーか宿儺って何?」
「そこからか」
おーい。もっと聞くべきことあるくなーい?
しかし俺の存在ガン無視で話が弾んでいく。いや、話題の中心は俺の事なんだけどさ? ここに至るまでの道程とは段違い過ぎるでしょ。
「俺に憑いてる人が呪詛師? 教祖って言ってたよね。テロとか殺人とか言ってたけど、具体的には何やった人?」
「元は盤星教っていう宗教団体があったんだけど、そこを乗っ取ったかと思えば、本拠地を爆破。その後は姿をくらましたんだ。国内外で活動報告が上がってたけど捕まえるまでとはいかず、呪術界を騒がせたお尋ね者だよ」
そうそう、海外を回ったりしてたっけ。理由は忘れたけど。たぶん銃器関連だったかな。
「去年のクリスマスには新宿と京都で大規模な呪術テロを引き起こした。しかも事前に予告・宣戦布告済みでね」
傑が呆れたような声で言い、さらに悟が引き継いで喋る。
「しかも当日は、禪院っていう
呪術界
コッチ
じゃ有名な家
……
御三家、まぁ呪術の名家みたいな
家
トコ
なんだけど、そこに重火器で乗り込んでった挙句に爆破。呪術抜いても立派なテロリストだ」
「爆弾魔なん?」
「なんなんだろうね。本人はエンジョイしてたみたいだけど」
「呪術師の中でも珍しいタイプだよ、火器を扱う戦い方は。呪霊に現代兵器ってか呪力のない攻撃は効かないからね」
悟は「ホント何がやりたかったんだか」とこれ見よがしにクソデカため息を吐いた。
そこまで散々しゃべくった後で、傑がやっと俺の方に水を向ける。
「それでまぁ、一本分とはいえ宿儺を打倒? 降伏? させたね」
「リスキルしてやったぜ! アッハッハッハ!!」
待ってましたとばかりに高笑いをあげてみせれば、傑は予想外にも呆気に取られた顔で
虎杖
こっち
を見てくる。心なしか視線は目元の下辺り
……
あ、そうか。傑は俺が喋れること知らなかったか。
話の流れ的に、弟に俺の存在が秘匿されてないのは分かってたけど、そうじゃなかったらどうしようかと思った。いや、関係なく喋り出す自信しかなかったわ。
「俺みたいなヤツに指とはいえ呪いの王が押し負けるとは、とんだ番狂わせだろうーな! ざまぁみろッ!!」
俺が構わず返答を終えてから、虎杖が複雑そうに呟く。
「この人、時たまテンションおかしくなんだよね」
「生前と変わりなくて安心したよ」
傑は困った顔をしながら笑った。そこに確認を含めて爆弾を放りこむ。
「いやぁ、それが二度目となると初見殺しとはいかなくてさぁ! そりゃ二度目だから当然だしね! そうそう。だから、この子が取りこんだ指の数は二本だよ~」
「あ、てめっ」
「悟」
傑がいつもより細い目をして、悟の事を見た。二本目はやっぱ悟の独断だったか〜。
「チクってんじゃねーよ、ハゲ」
「うるせぇ若白髪」
「は? 地毛なの知ってんだろ」
「俺を挟んで喧嘩すんのやめてくんねーかな」
迷惑そうにする虎杖。それにたじたじになった悟が、当てつけにこっちを睨んできた。アイマスク越しだし、虎杖越しだから効きませぇ〜ん!
呼吸するシジミばりに舌をベロッと出して煽れば、流石に弟からのストップが入った。ふへへ、サーセン。
傑は悟を宥めたり、虎杖との間を取り持ちながら軌道修正に成功し、一向はやっとこさ夜蛾先生の下へ向かい始める。
勿論、その最中でも会話は途切れない。
「よくもまあ兄さんも、あんな状況で置き土産していったよね」
「えー? なんのことかサッパリぽんですなぁ」
「とぼけんなよな。あの野郎が飼ってた呪霊が他にも居てたまるかよ」
人の物パクるの何回目だっつーの、と苛立ち紛れに罵られた。そりゃ一人の半生分くらいかな。
そんでこの様子だと、伏黒甚爾が持っていた倉庫呪霊は純愛砲に巻き込まれず無事に逃げ延びたようだ。よしよし。便利なものは残しておくに限る。
「宿儺の指まで入ってたし。別名『呪術界の火薬庫』の肩書は伊達じゃなかったね」
「え、なんのこと?」
「自分がそう呼ばれてたことくらい知ってんだろ。すっとぼけやがって」
そっちじゃなくて、俺は指なんて入れてないぞ。そんなことをした覚えは全くない。マジでどういうこと?
そんな俺の疑問はそっちのけで話はどんどん進んでいく。だから話の中心人物を置いていくなって。
「僕としては根本的な話、両面宿儺を抑え込めるっていう点があんまり信用ならないんだけど」
「それは当然だ。ちなみに、任兄さん的にはできるんだよね?」
「さぁ? 一応フラグを建てておくと、一気に十本以上取りこまない限り大丈夫だと思う」
「不安だなぁ。俺の命がかかってんだけど」
「ワハハ」
しょぼくれた虎杖に、笑って話を濁しておく。
俺がした話の前提となっているのは、虎杖悠仁の器としての強度についてでしかない。俺が何本まで耐えきれるかは未知数だ。どうなるかはその時が来れば分かる。
「お前とその器が、宿儺に勝てるのか」
「勝つよ」
大口を叩く。叩いとかないと揃って処刑されるし、何より、弟の前でくらい見栄を張っていたい。
そしてそれ以上に、希望があるから余裕ぶっていられるのがデカかった。
「それに、もし俺が勝てなくてもお前らがいる。最強の二人がいる以上、呪いの時代は来ない」
これは確信だ。どんなに策を弄しても、この世代に
羂索
呪い
は勝てない。
前世での俺は、
この世界の最後
原作の最終話
を見届けることは叶わなかった。だが、知り得ている情報の上で、俺は最善を尽くしてきた。
もっとやるべきこともあっただろうけど
……
あの身体に因果を集約させることを優先したから仕方がない。あの終わりに後悔もなかった。
「お前らなら勝てるさ。それとも
……
負けちゃう?」
「勝つさ」
最強の声が揃う。こちらを振り向いて、真正面から言ってくる二人の姿が眩しい。
――
まったく。俺もしぶといもんだよ。
「あはは。この光景を見るために死んだと言っても過言じゃないな」
「死んでたら見れないじゃないか」
「天から見守ってたら引きずり下ろされたんですぅ」
「地獄から這い上がってきたの間違いだろ」
「悟。一応、実の弟がここにいるの忘れてないかい?」
「一応、だろ? コイツお前の兄貴やめてんじゃん、ケッ」
またキレつつある悟と、それを適当にあしらう傑。そんな二人の後ろ姿が視界に入っている。その向こうには、“夜蛾学長”が待っているであろう場所へ続く扉が見えた。
その扉をくぐる前に心の裡で問われる。
「なぁ、なんでお前って死んじゃったの?」
「心中カップルにラブビーム撃ち込まれちゃって」
「へ?」
厳密には違うんだけどね。でもまぁ、まともに答えず、俺は虎杖に激励を送っておく。
「呪術師になれないと君も死んじゃうからね。面接ガンバ〜」
「何それ! 聞いてな
――
」
スッと意識が沈む。
ちょっと思ってたよ。宿儺が
出てこない
原作で観測できていない
間は俺も出てこれないんじゃないかって。
だからって、これはないっしょ。
次にちゃんと目を覚ました時、空は曇天だった。
……
やっべ、寝過ごした。
夏油任
最悪の呪詛師、別名『呪術界の火薬庫』と呼ばれた男。
一般社会から見ても普通にテロリスト。故に、火薬庫(戦争を勃発させかねないから)。
離反したのは四年生の時。さしすより一歳上。
夏油傑
兄には負の信頼もあるので、突拍子もないこと(憑依した)でも割とすぐに納得した弟。
兄の思想は特に気にしていないが、同調もしない。
兄が離反したせいで上層部との折り合いがすこぶる悪くなり、高専の教師にはなれなかった。
五条悟
夏油兄を信用してない。でも信頼する部分が残っている。
親友が教師になれなかったので、渋々教師になった。
夏油兄が離反した後と殺した後で、傑と「なんで納得できんの?」「家族だからかな」みたいな会話をしてる。この話の後にも同じ会話をする。
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