MN*B
2024-06-21 01:45:58
23164文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

E.15 ヒトもケモノ

シリーズ中第29話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。
このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいねやコメントなど…いつもありがとうございます。
お待たせしました。
今回、暗め暗めの話です。
話の時系列がちょっとだけ前に戻って、また現時点まで帰ってきます。
前回に突っ込もうかと思った部分ですが、長すぎたのと、話題がまとまるので、こういう形にしました。
次回、何とも言えません。
何書くかは決まってます。そんなに文字数ないかなぁ…って思ってるんですが、ちょっとどうなるかわかりません。
2週間以内にあげたいと思ってます。
番外編もこの間あげました→ novel/15851197
釘崎と青嶺の話です。
楽巌寺学長のときにそんな話あった?って部分は、まだ描写してないとこです。
たぶん次回、その話について掘り下げるかと。
ところで、順平&七海さんのほうはどうなったんだ?と思われている方もいらっしゃるかもしれませんので、ここでちょっと言及しておきます。

その話についてですが…予定としては、本編の時系列が八十八橋終了後(アニメ化部分終了)になってから、あげていくつもりです。
このシリーズのほうに投稿すると思いますが、繋がってはいるものの、番外編扱いに近いと思います。
今回、だいぶ深いやり取りを五条さんとオリ主にやらせましたが…この手の話を、ほんと序盤のほうでやりかけたのが五条さんです。
その場合だと、この話より緩くはなりますが…この流れになったら突っ込むのが五条さんなので。あのときはホント困りましたね…。
追記 「記憶_」の内容一部、言い回しを変えました。表現したい内容的に、変えたほうがいいと思いまして…。すでに読んでくださっていた、何名かの方々には本当に申し訳ないです。

#オリ主 #夢術廻戦 #五条悟 #伊地知潔高 #夜蛾正道 #パンダ(呪術廻戦) #伏黒恵 #オリキャラ
2021年8月29日 21:42



 呪符が四方に貼りつけられた一室。床に置かれた灯篭だけが、この部屋の光源だ。
その中央に置かれた椅子そこに座らされているのは、身体に太縄が巻かれ、拘束されている男。
その男の前に、俺は一歩踏み出した。

「くみや、じゅうぞう

頭を垂れていた男は、ゆっくりとこちらのことを見る。

……なんだ。五条悟じゃねぇのかよ」

ガッカリだといったふうに、男は力なくまた項垂れてみせた。

「お前じゃあなぁちいせえし、骨も細そうだ。作るならそうだな、肋骨でフロアランプなんていいかもなぁ」

「しいて言うなら、髪が年寄りのとは違って、質は良いだろうな。ただ短いからなぁ

とんでもないことをブツブツ呟いている。
伊地知さんから説明は受けたが話を聞いてなくてもわかるくらい、ヤバい奴だ
なんて切り込むべきか迷いつつ、俺は口を開く。

白髪おかっぱのガキは?どうなんだ」

「アイツも短かったな。眼球は加工に向かねぇし特段良いともなぁ

「ほかの仲間はどうだ。材料に使いたくなった奴はいないのか」

「どうもなぁ……呪霊は死んだらなんも残んねぇしつまらねぇなぁ」

話にならないな。
ただ、この流れで呪霊の発想になっているところをみると、やはりコイツは呪霊と組んでいたんだろう。
この言動も、誤魔化すためだとかでもなく、コイツの素だな。尚更やべぇ奴でしかない。

「やっぱ五条悟。ハンガーラック

伊地知さんからの話にもあったが五条さんが言ってたのは、こういう部分のことか。確かに、本人が来ても面倒そうだ。
しかも、俺が話したところで意味もないだろ、これ
俺はため息を押し殺して、俺の後方に控えている伊地知さんのほうを振り返る。

「あの、これせめて、質疑応答してるのを聞いてるだけじゃダメっスか」

むしろ最初からそうするべきだったかもしれない。
話しながら、俺はなんとなく右腕を摩った。
巻いてある感覚にどうも慣れないのか、指先が……

違和感。そしてこちらを見ている伊地知さんの表情。
俺はとっさに、自分の手に目を落とす。

「オイオイオイ!なんだよその手は!!」

男にも目に入ってしまったのだろう興奮した声があがった。
思わず、舌打ちをしたくなるような瞬間だ。俺の右手に巻かれていた呪符が破かれ、"指先"から、短くとも"刃"が覗いている。

「呪いか?いや呪物?お前このまんまじゃ、食われてお陀仏だろ!」

「一旦戻りましょう」

先ほどとは打って変わって、男は楽しげに話をし始めた。
逆に伊地知さんは、険しい表情をして退出を促してくる。だが俺は、それに小さく首を横に振り、男へ向き直った。

「手だけじゃねぇな?腕もか?腕もだろ?鋼みてぇだが、硬いだけじゃなさそうだな

俺は服の袖を捲り、呪符をさらけ出す。手首を過ぎた辺りまで、その下に凹凸があるのが目に見えてわかった。
そして指先刃が手袋も突き破って出てきている。
俺はそれらを、男の前に突き出した。

欲しいか、この腕が」

「あぉっんん!何を言い出すんですか!?」

俺の名前を呼びかけた伊地知さんは、慌てながら誤魔化した。
だが男は彼のことは気にせず、俺と俺の腕をジッと見てくる。

「俺を低く見積もるなよぉ?その部分は本体じゃねぇななぁそうだろ?」

その質問には答えず、俺は黙って相手のことを見つめた。
相手は返事がないことも気にしないで、独り言に近い喋りを続ける。

「いいなぁ!刃を武具に再加工もいいけどよウィンドチャイムもいいイイ音が鳴るいいぞぉ」

勝手にテンション上げてる

「できるのか?加工、というか増産?」

「できなくもないだろうなぁ。ただ、簡単じゃねぇ。まぁそうなったらお前は死んでるだろうな」

そういえば、獣鉤手は元々、左右一組だったはずだ。元は一つだったものを、コイツが言うように、どうやってか増やした可能性もあるのか
だがこの言い方だと、その方法は不穏そうな気配がする。正しい情報なのかは疑問だが。
というか、なんなんだコイツなんでこんなに食いつく上に、詳しい感じなんだ。

 明らかに、最初よりもテンションが上がっている男。
この状態なら、口も軽くなっているだろうと考えた俺は、質問を続ける。

「お前は、五条悟に釣られて来たのか?それ以外の目的は?」

「そうだよ!ハンガーラック!!それが作りたくて来たのによぉ!帳のなかに五条悟は来ねぇし!!」

縛られて身動きが制限されたまま、男は騒ぎ立てた。ギチギチと縄が鳴いている。

「それ以外は?高専所有のものを狙って、とかは?」

「俺は職人だ!材料を求めて来ただけだっつーの!!」

本当に、それだけか」

「ああ、それだけだ。お前みたいなのがあるって知ってたらなぁ

そこでまた男は、ブツブツと独り言レベルのことを呟き始めた。
これ以上聞いたところで、俺としても気分が良くない。
そう思って伊地知さんのほうを見れば、彼は強張った表情で頷いた。

「戻りましょう」

俺たちは、呟いている男を置いて、その部屋を後にした。




 背後で扉が閉まり、それと同時に、伊地知さんは深く息を吐いた。
俺も割と攻めた物言いをしたからな。後ろで聞いていた彼は、気が気ではなかっただろう。

「悪い、伊地知さん。ちょっと話が逸れてたな

「いえそもそも学生と面会させるのがどうかと。しかもアレでは、話にならなくて当然です」

伊地知さんはズレてしまった眼鏡を指で押し上げた。
それを横目で見ながら、俺は自分が感じたこと、そこから考えられることを話す。

「俺の体感としては、アイツは嘘を言ってるふうじゃない。俺のことも知らなかった

「相手の呪霊は、君のことを周知しているとのことでしたね」

「ああ。相手も一枚岩ってわけじゃないらしいなもしくは、アイツはデコイ。ロクなことも知らずに来た」

あの呪霊なら、俺の腕の状態を知っている。なのにも関わらず、アイツが食いつくネタも言わなかったってことになる。そこまで対話をしていない可能性もあり得るが。
つまりアイツは呪霊とも組んでいたように見えて、情報を交換するほどの間柄でもない。今回だけの協力関係だった可能性が高いな。

「やはり、問い詰めるだけ無駄というわけですか

伊地知さんは、疲れたようにため息をついた。
あ、また眼鏡ズレたな。