MN*B
2024-06-21 01:40:20
18964文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

E.13 乱離乱心

シリーズ中第27話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。

このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいねなど…いつもありがとうございます。
お待たせしましたっ!!
今回は想定より文字数が伸びに伸びまして…あんまりしないと思いますが、もしかしたら投稿後にも推敲するかもしれません。
 

今回、花御戦です。
と言っても、そこは本題ではない感じですね。
ちょい暗めの精神描写入ります。あと、キャラからの当たりが強いというか…そういう風に感じるシーンがあるかもしれませんが、ヘイトのつもりはありません。

次回、野球と裏話回になります。
タイトルがもしかしたら変わるかもしれないです。
2週間以内は守る所存ですので!

 

【乱離乱心:ら(ん)りらんしん】造語
 

【伏黒と青嶺の考え方が同じ部分がある】

短い間とはいえ、同級生二人っきりでしたから。
青嶺の呪術師としての手本は伏黒です。
 

【花御の台詞表記について】

記号を打つのを省略した表記として「>> 」を使ってます。
まぁ…雰囲気でつけてるだけですね。

 
2021.8.2 13P、描写不足だと思ったので一文追加。青嶺がどういう状態になったのか明確にしました。


#オリ主 #夢術廻戦 #狗巻棘 #花御 #伏黒恵
2021年8月1日 23:54



 雄叫びをあげた衛が、右腕を振りかぶった!
俺にはほとんど視認できない素早さで、真希さんを拘束している木の幹が完全に切断される!!

その振りかぶった状態の衛へ、木の毬が飛んでくるが、彼が左腕を振るうと、それもいとも簡単に分断され、切り落とされた
そしてその勢いのまま、彼は呪霊へ掴みかかる?!

相手を川底へ押し倒し、右腕で頭を掴み、左腕で相手の片腕を握りしめているまるで引き千切ろうとしているかのようだ。
彼の指先は、相手の身体をジワジワと引き裂き、紫の体液を滴らせていた。彼の両手の先は、まるで刃のようになってしまっている


 真希さんが、組み合っている彼らから離れ、こちらへにじり寄ってきた。

「恵!どう見ても衛のやつ様子が変だ!!」

「わかってます!」

衛の両腕から発せられる呪具の気配が、徐々に呪霊のようなものへと変化していくのが肌で感じられる。気配が切り替わっていく、異様な状態。
俺たちは為す術もなく、彼らの争いを見ているだけしかできない。下手に手を出すと、おそらく"巻きこまれる"。

「衛ッ!!」

名を呼ばれても彼はこちらに耳を貸さず、唸り声をあげて、相手に掴みかかったままだ。今度は水飛沫をあげながら、相手の頭を川底にガンガンと打ち付けている。
言葉を失ったその姿。そこから溢れ出るのは、今まで見たことがないほどの攻撃性。理性すら失っている。


 臆病な犬ほど、吠える。攻撃的になる。それは、人間も変わらない。
恐怖からの攻撃。恐ろしいからこそ、排除しようとする。

だが衛が、今まで『呪霊』に怯えている姿を、俺は見たことがない。
それこそ今まさに相対している呪霊それに対してだって、つい先ほどまで正気のまま、戦い続けていた。
それが変わったのは、ここに来てからだ。今までに見たことがない『恐怖』でその表情は染まった。


 「相手の目的は俺。それに学生の襲撃。でも、もっとほかにもありそうだった」あの言い方からして、『学生の襲撃』の中に衛本人は含まれていない。彼単体に、何か目的があるそう受け取れる言い方だった。

 もし仮に、衛には、襲撃される理由がないとしたら衛という過呪怨霊には、この呪霊と戦う理由は存在しない。
過呪怨霊とはそもそも、とり憑いた相手が危険に晒されたなどの条件下に置いて顕現する呪霊だ。衛が顕現しっぱなしなのは、常にその状況だからという理屈かもしれない。
そして、狗巻先輩と一緒に敵と遭遇。そのまま戦っていたというのは理解できる。

 それでもアイツの目が覚めた時、その脅威は遠ざかっていたはずなのに
なのになんで、お前はこの場にやって来たんだッ







 交流会が始まる前。

 やっと東堂から離れることができた衛が、安堵の息を吐いているのが目に入る。
そうなるくらいなら、飯に付き合うのやめとけば良かっただろうに。と思うものの一緒に飯食ってた理由が察せただけに、強く言えない。これは全部五条先生のせいだ

そんなことを思いつつ、さりげなく彼に話しかける。

「衛。お前、まだなんか言ってないことあるだろ」

なんでそう思うんだ?」

いつも通りの、何も考えていなさそうな顔。その言い回し。察しがつく。

「やっぱりあるんだな。わかりやすいんだよ、お前」

断定した物言いをすれば、彼は気まずそうに視線を逸らした。その後、こちらを控えめに窺ってくる。そんなにわかりやすいか?って思ってるんだろうな。
そんな見え透いた彼の思考、というか顔に脱力しながら、俺は話を続ける。

「まずお前は、心当たりがないなら"ない"って言い切るか、心当たりがないって顔して聞いてくる」

自覚がないなら、なぜ俺がそう思ったかなんて質問はしない。ないと思うけどなんかあったか?って態度になるはずだ。
言っていない自覚があるから、答えを言わない。答えたくないから、質問で返事をする。

「お前の状態について、一言で説明しろとは言わねぇ。つーか、絶対に一言で終わらせんな」

コイツは自分のことを説明したとき、「言わば、」という言い回しをしている。それはつまり、『正しくはもっと別』だという話のはずだ。そもそも、こんだけ会話が成り立って術式も使えるのに"3級"だなんて信じられるか。
わざわざそう言う理由があるのかもしれないがそれって結局、必要なとこまで削ってるだろ、絶対。それで説明したつもりになんなよな

 追及する視線を送り続ければ、衛は目を泳がせ始める。
そして俺が何も言わずにいるだけで、遂に彼は観念したように話した。

「そうだな。さすがにあれは狡かった後で話す」

でも全部は嫌だからな。なんて悪あがきのような一言を付け加えた衛。
その声は拗ねたような、どこか軽さを含めた響きだったが

彼はいっそ、泣いてしまったほうがいいようなそんな哀しげな表情を見せた。






 なんでそんな顔すんだよ。
前からそうだ言葉と感情があってねぇんだよ。

「衛!もういい!!」

まだお前から話聞いてねぇんだから

「言うこと聞いてくれッ!」

このままでは最悪、アイツは死んでもおかしくない!
今はまだ相手を抑えているが、相手も抵抗する素振りを見せている。この均衡も長く続くとは思えない。どうにかして衛を引き剥がさなければ!

 それに。もし本当に、アイツが過呪怨霊だとしたらアイツが背負っているのは自身だけでなく、そのとり憑いた人間も守ってる。
その上、相手の呪霊の口ぶりからしても、アイツは敵だと思われてない。
なのにアイツは戦ってる。

それなのに俺が戦わないでどうする!?俺が一番、背負ってないんだ!

「ぐっっぁああああ!!」

最後の呪力を絞り出せ腹が裂けても!!

俺が式神を喚びだそうと構えたとき、

「やめろ!恵

腕が不自然に下がったままの真希さんが、冷や汗を流しながらも、半笑いになる。

「選手交代だ」