MN*B
2024-06-21 01:40:20
18964文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

E.13 乱離乱心

シリーズ中第27話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。

このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいねなど…いつもありがとうございます。
お待たせしましたっ!!
今回は想定より文字数が伸びに伸びまして…あんまりしないと思いますが、もしかしたら投稿後にも推敲するかもしれません。
 

今回、花御戦です。
と言っても、そこは本題ではない感じですね。
ちょい暗めの精神描写入ります。あと、キャラからの当たりが強いというか…そういう風に感じるシーンがあるかもしれませんが、ヘイトのつもりはありません。

次回、野球と裏話回になります。
タイトルがもしかしたら変わるかもしれないです。
2週間以内は守る所存ですので!

 

【乱離乱心:ら(ん)りらんしん】造語
 

【伏黒と青嶺の考え方が同じ部分がある】

短い間とはいえ、同級生二人っきりでしたから。
青嶺の呪術師としての手本は伏黒です。
 

【花御の台詞表記について】

記号を打つのを省略した表記として「>> 」を使ってます。
まぁ…雰囲気でつけてるだけですね。

 
2021.8.2 13P、描写不足だと思ったので一文追加。青嶺がどういう状態になったのか明確にしました。


#オリ主 #夢術廻戦 #狗巻棘 #花御 #伏黒恵
2021年8月1日 23:54



 四人分の足音と、その後ろからは床板が割られ、砕け散る音が響いている。
軽く振り返って確認すれば俺たちが通り過ぎた廊下は、樹木で串刺しにされ、崩壊していくのが見えた。ついでに、それを操っている呪霊の姿も。

俺たちは建物のなかを走り抜け、迫りくる呪霊からどうにか逃れようとしていた。

 俺の前を走る恵が、彼の隣を走っている狗巻先輩へ話しかけている。

「大丈夫ですか、狗巻先輩!」

「しゃけ!:奮戦」

返事をした狗巻先輩は、喉薬を飲んでいるがその顔には大量の汗が流れているように見えた。いい状況とは言えない。
そんな彼を確認した恵は、今度はこちらを見てくる。

「衛ッお前の呪法は使えないのか!?」

「っそれは

俺は言葉に詰まった。視線を彼から外し、剥き出しの自分の両手を見る。


 俺の呪法は誰かがそばにいるときは使えない。今の俺の扱い方では、おそらく範囲攻撃になっているからだ。というのは言い訳か。

 あのとき使った祓禳呪法 修祓 は、対象の魂の形を"元に戻す"ことに特化させたもの。
対して、俺が初めから使っていた 一拍 は、とりあえず殺すためのものだ。アバウトすぎる。
イメージが曖昧なせいで、制御も上手くいっていなかったのだろう。だから自分も殺す勢いだったわけだ。

 今の状況だと、修祓は相応しくなく、一拍では自殺行為
では、どうするべきか。
思いつくのは新しく扱い方を生み出す。もしくは、そもそもの扱いを向上させるということ。

 扱いを向上させるか。自分でもよく言えたものだと思う。
さっきだってそうだ。構えても、あれではきっと呪法は使えなかった。まず、出現させられなかったのだ
そして、その理由もわかっている。


 後ろを振り返るゆったりとした動作で、だが着実に迫ってくる脅威。

迷っている時間はない。理由はわかっているのだから覚悟を、決める。
俺は揺れる手を握りしめた。

「っ使える!だけど隙がデカいから、相手から一度止められた!」

俺の呪法は、言うなれば殴られると不発に終わる。衝撃で集中が途切れると、形作った拳銃は消えてしまうのだ。
その上、さっき食らった相手の攻撃あれは一体なんだったんだ?考えている余裕もない。

狗巻先輩っ!」

恵は狗巻先輩へ声をかける。その意味合いは明確で、狗巻先輩も力強く頷いた。

「来るぞッ!!」

京都校のカモさんが、後ろを振り返り号令をかける。
それに合わせ、俺たちも呪霊のほうを向いて構えた!

「《止まれ》ッ!」

枯れ始めた彼の喉から、呪言が放たれる。飛ばされていた木の毬のようなものが、呪霊と同じくその動きを止めた。
俺は固まっている相手と向き合い、構える。そんな俺の横でカモさんの攻撃が飛び、相手の頭部を一部削った。

やってみせる周りに影響がでないように相手を、っ!!

構えた両手の中に現れる拳銃 ソレ
逸れないように、揺れないように握りしめ、引き金を引く!

 祓禳呪法 潔斎 けっさい

ダン!と銃声が響き渡る。
それと同時に相手が後方に吹き飛んだ!?ついでに、周りに出現していた木の毬も、一緒くたに消し飛んでいく。

なんだ今の!?
撃った俺も状況を把握できず、この手の中から拳銃が溶け消えていく
そして視界が揺れ

「衛ッ!?」

倒れる寸でのところで踏ん張る。俺は、腕を引っ張り上げられつつ、体勢を立て直した。

「急げ!呪霊はまだ祓えてないぞ!」

その声で、俺たちはまた走りだす。
俺はフラつきながらも、三人に後れを取らないように走る。

「反動か?!」

恵からの心配の滲む声。俺はそれに、緩く首を横に振って答える。
さっき撃ったのは、今までのものとも違った。しかもあれは、ただ呪力を撃ち出しただけで、不完全だ。怖気づいたのか、俺は。

 グラつく視界と、揺れる身体を安定させながら、今の自分の状況を再認識する。

「たぶん呪力切れだ

交流会での戦い、それに続いてコレださすがに使い過ぎた。限界が近いのだろう。
でも、もしかしたらあと一発いけるかもしれない。だが、術式に回す余力がなくなれば……

「というか君のあれはなんだ!?それにその気配は!?」

前を走っているカモさんが、こちらを振り返って言ってくる。
それに思わず、叫ぶようにして言い返す。

「ッ知るか!なんか新技だ!俺もどうしてこうなったのか知りてぇよ!!」

「マジで今その話どうでもいいんで!!」

状況が状況なだけに、たぶん全員ヤケクソでのやり取りだ。
俺にも、全く余裕がなかった




 相手との距離を保ったまま、俺たちは建物の扉から外へ飛び出す!
目の前にある屋根へ移り、ある程度行ったところで、後ろへ向き直る。俺たちが出てきた場所から、呪霊とそれが生み出した樹木が姿を現した。

 右手を構え、獣鉤手を使うか改めて検討する。
だがやはり俺の行える攻撃で有効なのは呪法しか、ない。
しかし、今の俺は呪力が底をついている。呪法を撃てるか賭けになるだろう。さっきの攻撃も、結局は拳銃 アレを具現化しなければ使えないのだ。

恵が顕現させた鵺へ話しかけているのが耳に入る。

「狗巻先輩が止めてくれるビビらず行け!」

俺が、もう一度狙うなら鵺が相手を帯電させたあと


 深く息を吸う。構えを取る。
もう一度せめて、時間を稼ぐだけの

気が遠くなるような、世界から切り離されるような感覚が消える感覚。
手の感覚も薄れるなか視界に収めた両手と、その向こうに見える相手。それに向かっていく鵺……から、相手の手が貫通したのが目に入った。

「は

かき集めていた呪力が霧散する。そこを通過した物体が、俺の胸に刺さった。その衝撃で、思わず数歩後退る。
そんな俺の横を、カモさんが弾き飛ばされていく。

「加茂さん!生きてますか!!」

その叫び声に振り返れば、恵が彼を抱えている。そのさらに後ろでは狗巻先輩が血を流し、膝をついているのが見えた。
俺では、人一人を運ぶのも苦労する呪力もない。この状況では、恵の式神がいないと撤退も難しい。


 視線を前に戻す。
まだまだ余裕そうな呪霊の姿が、そこにはある。

「クソッ!」

今の俺に、できるのは!!